甲子園ボウル出場をかけて今年度から初開催となる全日本大学選手権・西日本代表校決定戦。関学大、立命大など並みいる強豪を打ち破った関西大学カイザース(関西学生リーグDivⅠ1位)と、名城大学ゴールデンライオンズ(東海学生1部リーグ1位)が、神戸市王子スタジアムで激突した。 まず奇襲を仕掛けたのは名城大だ。キックオフでオンサイドキックを決行。しかしボールがサイドラインを割り失敗に終わる。そうして得た関西大先制チャンスで、RB#5播川がタックルを受け負傷退場。続くプレーでRB#1藤森がボールをファンブルし攻守交替。嫌なムードが関大ベンチを包んだ。 その流れをしっかりつかみたい名城大は自陣17ヤードから攻撃を開始。RB#29酒井のランや、QB#7古川からWR#11森(健)、TE#85森(章)へのパス、そして4thダウンギャンブルもRB#17川本のダイブプレーが成功し敵陣に侵入した。ここからもQB#7古川がWR#11森(健)へ、そして反則で罰退後もRB#17川本へのパスを決め敵陣15ヤードとした。 ここからもRB#29酒井、QB#7古川、RB#17川本のランで、さらに前進しゴール前4ヤードとした次のプレーで、痛恨のファンブル。関西大LB#2豊田に押さえられ、攻守交替となった。 そんなピンチを脱した直後の関西大にビッグプレーが飛び出す。自陣5ヤードからRB#1藤森が右オープンを、自身も「記憶にない」という最長の95ヤード独走しTD(TFPキック成功)。第1シリーズでのファンブルミスを取り返すプレーを見せた。 目を覚ました関西大は敵陣44ヤードからの攻撃となった次のシリーズでも、RB#99楠田、#1藤森、#27藤井らがランで着実に前進。QB#14原口からTE#89青木へのパスでゴール前5ヤードとすると、RB#99楠田が2度中央突破を試みTD(TFPキック成功)。14-0とし、ムードを完全に取り戻した。 関西大は、前半終了間際の自陣32ヤードからの攻撃で、QB#14原口がパスを中心にロングドライブに成功。最後はWR#12森田へ19ヤードのTDパスが決まり(TFPキック成功)、21-0で前半を折り返した。 後半に入った第1シリーズで、名城大は2度のファーストダウンを奪うが4thダウンでフェイクパントに失敗。 一方の関西大は自陣40ヤードからRB#1藤森の3度のランと、QB#14原口からWR#16岡、TE#89青木へのパスが決まり、ゴール前4ヤード。最後はRB#1藤井が左オープンを走りTD(TFPキック成功)、28-0。その後も関西大は2本のTDに成功し、42点を奪った。 対する名城大は、試合終了間際に来年に希望をつなげるTDを奪ったが、時すでに遅く42-6で、関西大が61季、60年ぶりの甲子園ボウル出場を決めた。 関西大の磯和監督は「オフェンスの第1シリーズのファンブルや、直後のディフェンスもズルズル行かれたので、藤森の独走TDはホッとした。名城大も素晴らしいチームだったが、2シリーズ目以降アジャストできて良かった。(甲子園ボウルで対戦する)法政大は、春に定期戦をしていて手の内を知り尽くしている同士。春は0-36でボロ負けしているだけに、この点差をひっくり返したいと思う」と、決意を新たにしていた。 一方、名城大の槇野監督は「第1シリーズのオフェンスで得点出来ておれば、選手も自信を持てたと思うし、相手が浮き足立っていたかも知れない。あれが全てだった。でもわずか32名のチームがしっかり当たって、しっかり走って、点を取られ続けても自滅せずタフに戦えた。(所属する)東海リーグにとってもよい結果だったと思います」と粘りを見せた選手達をねぎらっていた。記事;江田政亮(スポーツライター)写真;松本尚也(UNN関西学生報道連盟)編集;畠中隆好(Office NEAR)