11月21日に関西大学のリーグ戦優勝が決まり、史上最高にもったいない消化試合とも評される立命館大学パンサーズと関西学院大学ファイターズの試合が行われた。 「４年を男にして送り出せ！」。鳥内監督は立命大戦前に選手たちにこうハッパを掛けた。甲子園ボウルへの道が閉ざされ、その上、立命大にも負けてしまうという最後だけは４年生に経験させたくなかった監督の思いが、この日は選手にしっかりと届いていた。 関学大は、自陣34ヤードからの第１シリーズで、ＱＢ#6加藤からＷＲ#18萬代へのパスが決まりハーフライン付近まで前進。ここでもＱＢ加藤からＴＥ#95垣内へのパスや、ＲＢ#7松岡、#99河原、ＱＢ加藤自らのランなどで敵陣25ヤードまで前進した。 ここからもＱＢ加藤からＲＢ河原へのシャベルパスは成功したものの、２回のランプレーがいすれも不発。４ｔｈダウン４となったところでギャンブルを選択し、ＷＲ萬代へのパスが決まりゴール前12ヤードとした。ここからはＱＢ加藤、ＲＢ松岡のランで２ヤードまで迫ると、最後はＱＢ#17浅海からＷＲ#87柴田へのパスが決まりＴＤ（ＴＦＰキック成功）。７－０と待望の先制点を奪った。 対する立命大もすぐに反撃を開始。自陣41ヤードからＱＢ#11松田（大）がＷＲ#17呉田へのパスで一気に敵陣35ヤードまで攻め込むと、ＲＢ#27高野橋、#39川端のランでゴール前５ヤードとし、ＱＢ#15谷口のランなどでさらに前進。最後はＲＢ#10北川が１ヤードを走りＴＤ（ＴＦＰキック成功）。７－７の同点に追いついた。 その後はお互い決め手に欠いたが、勝ち越しへの執念を見せたのは関学大だった。 前半終了間際、立命大攻撃の際にタイムアウトを使って時間を残し、残り40秒で自陣44ヤードから攻撃権を得た。まずＲＢ松岡が右のオープンを走り敵陣へ。ここからパスを２回失敗したが、相手の反則を誘いゴール前25ヤードから攻撃を再開。ＲＢ松岡のランで２ヤード進むと、最後はＱＢ加藤からＷＲ萬代へのロングパスが決まりＴＤ（ＴＦＰキック成功）、14－７で前半を折り返した。 後半に入ってからも関学大の攻撃姿勢が続く。キックオフではオンサイドキックで攻撃権を狙う。これは失敗に終わったが、ＤＢ#23頼本のインターセプトで得た自陣３ヤードからの攻撃でロングドライブを展開。 敵陣に入ってからの４ｔｈダウン１０では、パント隊形の構えからＱＢ#17浅海がわざと遅れてフィールドに走り込み、スナップを受けＷＲ#87柴田へパスするスペシャルプレーが成功。ここからはＲＢ松岡へのパスでゴール前17ヤードとし、最後はＱＢ加藤が走り抜けＴＤ（ＴＦＰキック成功）、21－７とリードを広げた。 攻撃の手を緩めない関学大は、次のシリーズで自陣10ヤードからロングドライブを展開し、最後はＫ#3大西が27ヤードのＦＧを成功させ、24－７としほぼ勝利を手中に収めた。 さらに試合終了間際にもＲＢ#38平田が23ヤードを走りＴＤするなど、試合を通して常に攻めの姿勢に撤した関学大が、31－７で勝利を収めた。 関学大の鳥内監督は「昨日、このチームでのファイターズは最後やから、生き様を見せなあかんというた。みんなが協力しあってようやってくれた。ディフェンスがしんどいと思ったので、ＦＧではなくＴＤを狙った。攻撃が最大の防御であるという気持ちで戦い、成功したと思う」と、内容の充実した最終戦にホッとした表情。 一方、立命大の米倉ヘッドコーチは「完敗です。チームフィロソフィーであるオーバーパワー出来なかったことが全て。今年は様々な困難な状況が起こった中で、ここまで良く持ってきてくれた。来年は関大、関学をオーバーパワーできるチームを作り上げたい」と、雪辱を誓う。 「様々なことがあって、逆に学べることの多かったシーズンでした」と、実家に不幸があり、精神的なショックから一時は復帰も危ぶまれたエースＱＢ松田（大）。「４回生の姿勢がチームを創る。全員がこの本当の意味を理解したと思う。来年の４回生に期待をしたい」と、やりきった表情で話していた。記事； 江田政亮（スポーツライター）編集； 畠中隆好（Office NEAR）写真； （上から）・関学大4回生・立命大#10RB北川 ※撮影：阪西直登（UNN関西学生報道連盟）・関学大#6QB加藤 ※撮影：阪西直登（UNN関西学生報道連盟） ・立命大#11QB松田（大）
