初代全日本大学王座をかけての決戦となった今年のパナソニック電工杯第64回毎日甲子園ボウル。関西大-法政大という甲子園では初顔合わせとなったこの試合は、攻守のライン戦で優位にたった関西大が終始試合のペースを掴み、ゲームをコントロール。法政大の反撃を封じ込め50-38のハイスコアリングゲームを制し、62季ぶりに学生王者へと返り咲いた。【1Q】 法政大のレシーブで試合開始。RB#29原が自陣30ヤード地点までリターンし、攻撃を始める。法政大は最初のシリーズでRB#29原のオープンへのランプレーを中心にプレーを展開。関西大DLの圧力に苦戦するも、9分27秒のロングドライブを見せ、DL/K#97丸田の24ヤードFG成功へと導き、先制点を挙げる(関西大0-3法政大)。 一方関西大は直後のキックオフリターンでRB#1藤森が好リターン、フィールド中央付近から攻撃を開始。関西大はQB#14原口のドロープレーが冴え、効果的なゲインを続け、エンドゾーン目前へと迫る。 最後はRB#22松森が法政大守備をすり抜け逆転のTDランを決める(TFPキック成功、関西大7-3法政大)【2Q】 2Q序盤は法政大攻撃にミスが重なる。センターのスナップミスで大きく後退すると、次のプレーではQB#4山口が関西大守備のラッシュに投げ急ぎ、関西大DL#8飾磨がこのボールをインターセプトし、攻撃権を法政大から奪い取る。しかし関西大はこの機会を活かせず、3rd&OUTで攻撃権を明け渡してしまう。 ライン戦で劣勢に立つ法政大は、スクリーンパスやオプションプレーなど関西大DLを振り回すプレーを選択する。エースWR#81栗原へのパスも通りはじめ、少しずつ攻撃のリズム掴んだ法政大は、このシリーズをRB#29原の4ヤードTDランに結びつけ再びリードを奪う(TFPキック失敗 関西大7-9法政大)。 この後は両チームこう着状態が続くが、均衡を破ったのは関西大。法政大QB#18高島へ主将LB#33大舘がファンブルフォース、これをリカバーして攻撃権を得ると、QB#14原口のキープで敵陣34ヤード地点まで前進。TDこそ奪えないが、DB/K#30小原のFGで再逆転を決める(関西大10-9法政大)。 この後、法政大はRB#29原のロングゲイン、関西大は2Q終了直前の、RB#1藤森の78ヤードキックオフリターンなど、エースのビッグプレーをTDに結びつけ、関西大17-16法政大のスコアで前半を折り返した。【3Q】 後半になっても関西大QB#14原口のキーププレーは止まらない。3Q序盤には中央を走り、ロングゲインで一気に敵陣まで前進し、DB/K#30小原のFG成功に結びつけると(関西大20-16法政大)、3Q 8分28秒に、またしてもQB#14原口の豪快なランプレーでTDを決め、法政大を一気に突き放す(TFPキック成功 27-16)。 これ以上離されたくない法政大も、反撃を試みる。関西大DB陣のパスカバーの前にパスプレーが沈黙するが、セットバックからのRB#99楠原のダイブやショットガンからのQB #4山口のキーププレーでダウンを更新し続け、最後はQB#4山口のパスを受け取ったWR#81栗原が、執念でボールエンドゾーンへ届け、反撃の狼煙をあげる(TFPパス成功 関西大27-24法政大)。 一度法政大へ傾きかけた試合の流れを再び引き戻したのは関西大エース藤森。 法政大がけり上げたキックオフのボールをキャッチした藤森は、味方ブロッカーが切り開いた隙間を一瞬ですり抜け、フィールドを独走。法政大からさらなるリードを奪う84ヤードキックオフリターンTDを決める(TFPキック失敗 関西大33-24法政大)【4Q】 なんとか食らいつきたい法政大。3Q終了直前にフィールド中央でRB#29原がQB #4山口のパスをレシーブ。関西大のタックルミスの隙にランアフターキャッチでエンドゾーンまで到達し、関西大33-31法政大と2点差のスコアで最終第4Qを迎える。 どちらが先に点を取るかで試合の流れが決まるこの状況。こう着状態を先に打ち破ったのは関西大だった。 疲労の見えた法政大守備を攻撃ラインが圧倒し、RB#22松森、#1藤森が快走すれば、QB#14原口も、勝負所でWR #7池井へのパスをヒット。これでさらにドロープレーが決まり始め、4Q 4分17秒に追加点のTDを奪う(TFPキック成功 関西大40-31法政大) WR#81栗原、 # 7宮本、RB #99楠原らスキルポジションの選手に、けが人が続出した法政大はRB#29原がランとレシーブで孤軍奮闘。エンドゾーン6ヤード前まで前進し、最後はQB#4山口が執念の走りでTDランを決めなんとか食らいつく(TFPキック成功 関西大40-38法政大)。 しかし関西大は法政大守備にアジャストを許さず、終盤になってもQB#14原口が不沈艦のごとく走り続け、FGで再び点差をひろげる(関西大43-38法政大)。 さらに関西大は続く守備の際も、法政大QB #4山口の浮いたパスを、DB#5中村がインターセプト。フィールド中央付近で攻撃権を奪うと、原口がここでもフィールドを爆走。68ヤードの独走TDランで法政大を一気に突き放す(TFPキック成功 関西大50-38法政大)。 残り時間で逆転を狙う法政大だが、関西大DL#95水村が、QB# 4山口を死角からとらえQBサックで万事窮す。攻撃権を得た関西大が着実に時間を消費し試合終了。 関西大が見事勝利をおさめ、甲子園ボウル制覇を達成した。記事/早坂茂(スポーツ法政OB)撮影/稲垣祐希(UNN関西学生報道連盟) ※関西大RB#22松森(写真上から1番目)、関西大QB#14原口(同3番目)撮影/P-TALK(http://www.p-talk.jp/) ※法政大RB#99楠原(同2番目)編集/畠中隆好(Office NEAR)