全日本大学アメリカンフットボール選手権
パナソニック電工杯 第65回毎日甲子園ボウルオフィシャルサイト
2010.12.24
ワセダ、かく戦えり。-「日本一」の夢は後輩へと引き継がれた-
『日本一』という目標を掲げ、この1年間突き進んできた早稲田大学ビッグベアーズ。クラッシュボウル決勝で、法政大を破った勢いそのままに甲子園へと乗り込んだ早稲田であったが、その大舞台での緊張からかミスが目立った。
対する西日本王者の立命館は、この大舞台でもそつのないフットボールを展開。早稲田はなすすべなく21-48で敗戦し、悲願の『日本一』まで、あと2つというところで、その道程は閉ざされてしまった。
甲子園の舞台にWのヘルメットが帰ってきた。早稲田はクラッシュボウル決勝で昨季東日本王者の法政大を38-28で下し、8年ぶりの甲子園ボウル出場。その舞台で対する立命館には、前回出場した8年前に大敗を喫し、今春の練習試合でも敗れている。
早稲田は、過去7年間で8連敗していた法政大にクラッシュボウル決勝で"Revenge"を達成。立命館に対しても必ず"Revenge"を果たす、「ここで新しい歴史を作る」(朝倉孝雄監督)という気持ちでチーム一丸となり、大一番へと臨んだ。
早稲田のレシーブで始まったこの試合。その2プレー目、QB広野公大の放ったこの試合最初のパスは、なんと相手CBにインターセプト、そのままエンドゾーンまで走りこまれあっさりと先制点を献上してしまう。
今季リーグ戦で1度もインターセプトをゆるさなかった男がいきなりのインターセプトを許すと、早稲田に暗雲が立ち込める。
だが、お互いスリー&アウトで迎えた早稲田の第3シリーズで、K広野が蹴ったパントを立命館のリターナーがファンブル。そのボールをOL長瀬彗が押さえ、相手レッドゾーンでの攻撃権を獲得した。
これで得たゴール前11ヤードからのチャンスでは、エースRB末吉智一がランで確実にTDに結びつけて逆転。モメンタムを掴んだかと思われた。
しかし、ここから立命館が徐々にその地力を見せ始める。
「ディフェンスはランストップを掲げていたが、最後までランが延々と出され続けてしまった。QB谷口、RB高野橋のランを止められなかったのが最大の敗因」(主将DL西山仁之)。
試合前からマークしていた2人が、そのマークをあざ笑うかのように、ランでドライブを重ね、着実にTDまでつなげていく。
一方の早稲田オフェンスは 、QB広野が被インターセプト以降は精彩を欠き、なかなかパスを通すことが出来ずにいた。すると立命館ディフェンスのマークは、完全にRB末吉(智)と集中。クラッシュボウル決勝の法政大戦では、そのマークを効果的に利用してパスでヤードを稼いでいたが、それが通らないことによって、頼みの末吉(智)のランもほとんど進めない。スリー&アウトで立命館へ攻撃権を譲り渡すという悪循環を繰り返していく。
第2Q途中、末吉(智)のランでようやくダウンを更新し、流れを持ってきたかと思われたが、その直後の攻撃でファンブルロスト。またも攻撃機会を失ってしまう。
ちぐはぐな攻守を繰り返した結果、その後は立命館に3TDを奪われ、前半を終えた時点で、7-27と大量のリードをつけられ、折り返すこととなってしまった。
迎えた後半。逆転の為には3TDを必要とし、絶体絶命の状況。そのファーストプレーで、QB広野の投じたパスは無情にも相手CBの腕の中へおさまり、再びインターセプトを喫してしまい、試合の大勢は決してしまった。
終盤。末吉(智)のTDランと、QB芳賀太郎からWR清水隆博へのTDパスで、追いあげを見せた早稲田であったが、時すでに遅く21-48で敗れた。
「300ヤード走って勝つ」と、宣言をしたエースRB末吉(智)が、この試合で獲得したのは93ヤード2TD。
2TDで1000ヤードラッシャーの意地は見せたが、リーグ戦で1試合平均151ヤードを誇っていた勢いは完全に止められていた。
「末吉のランを止められたのも含めて自分のせい」(OL梶本靖記)。
ライン戦でサイズでもスピードでも相手に圧倒されてしまった。広野のインターセプトも、相手ディフェンス陣の想像以上に激しいラッシュで、なかなかパスプロテクションの時間を取れなかったのも、要因ではあっただろう。
今季の早稲田大学ビッグベアーズは終わりを迎えることとなってしまったが、今季は4年生のスターティングメンバーが、5人だけという非常に若いチーム。昨年から10人以上の選手の入替えがありながらも、甲子園ボウルへと進んだだけに、この大舞台での経験を糧にした選手たちがまた、この甲子園へと戻ってきてほしい。
「関東だけでなく、関西でも通用するチームにしたい。昨季から着実に歩は進めてきている」(朝倉監督)。
クラッシュボウル進出、甲子園ボウル進出と、一歩ずつだがしっかりと歩みを止めずにここまでやってきた。日々成長し、進化し続けているビッグベアーズが『日本一』への長い階段を登り切るのはそう遠い日ではない。
「次は甲子園でリベンジして、ライスボウルに行きたい」と末吉(智)。エースの力強い言葉とともに、"Revenge"を掲げたビッグベアーズの『日本一』への挑戦が、いま再び始まった。
記事/早稲田スポーツ新聞会
写真/早稲田スポーツ新聞会
編集/畠中隆好(officeNEAR)