日大フェニックス かく戦えり 「進化した若き不死鳥が新たな歴史を刻む」

 

かつて赤い悪魔と恐れられた不死鳥が、27年ぶりに学生アメリカンフットボールの聖地・甲子園で大きく羽ばたいた。

全日本大学アメリカンフットボール選手権決勝・三菱電機杯第72回毎日甲子園ボウルで、日本大学フェニックス(東日本代表)は、連覇を狙った昨年度学生チャンピオンの関西学院大学ファイターズ(西日本代表)を23-17と逆転で下し、学生王座を約四半世紀ぶりに奪還、21度目の優勝を飾った。学生日本一の立役者であるQB林大希(大正高)は、史上初となる1年生でチャック・ミルズ杯(年間最優秀選手賞)と甲子園ボウル最優秀選手賞を獲得した。

甲子園ボウルは「赤(日大)と青(関学)」の歴史とも言われる。宿敵となる両校の頂上決戦は今回で29回目。これまで16勝10敗2分けと日大が優勢だが、春の定期戦での通算成績は17勝30敗3分けと分が悪い。そしてここ4年間は、日大は関学に勝利していない。今年4月に行われた試合では6-30と大敗。この試合後、山崎奨悟主将(4年、知徳高)は「甲子園で関学に勝ちます」と宣言していた。

臥薪嘗胆(目的を達成するため、薪の上に座って苦い肝をなめながら、苦しい努力を続けること)だった。試合終了後、勝利チームの監督インタビューを受けた内田正人監督は、言葉を詰まらせながら「(お祝いの言葉に対して)ありがとうございます。選手ががんばって、落ち着いて、よくやってくれた。厳しい練習についてきてくれた。誇りに思う」と目を潤ませた。

試合の流れはこうだ。

関学が、試合開始わずか3プレーでTDを奪う速攻をみせた。立命館大学パンサーズとの西日本代表決定戦を再現するかのような鮮やかな滑り出し。逆に日大は、ファーストシリーズがパントに終わり、このまま一方的な展開になるかと思われた。

しかし1Qの12分36秒。1年生QB林(大)からWR林裕嗣(1年、佼成高)への39ヤードTDパスで6-7(TFPキック失敗)と追いすがる。

2Q開始早々、関学は36ヤードFGをK安藤亘祐(2年、関学高)が決めて10-6とリードを広げる。

日大は前半残り1分50秒にQBファンブルを誘い、LBモーゼス・ワイズマン(3年、カポレイ高・米国)がボールを確保。敵陣28ヤードからの攻撃権を得た。このチャンスにRB宋旻宰(1年、日大豊山高)が中央を突破して16ヤードのTDラン。13-10と逆転に成功して前半を終了した。

日大は後半に入ると、前半と変わってパスで前進を図る。

試合の前日、「パスには自信を持っています。1年下ですが林(大)は中学で一緒にプレーした仲間。コミュニケーションが取れています。身長では関学のDBに勝っているので競り合いでは負けない」と話した関東大学リーグリーディングレシーバーの小倉豪(2年、大産大付高)がいきなり敵陣に攻め込むロングパスをキャッチ。その後も敵陣10ヤードまでパスキャッチで持ち込むと、RB川上理宇(1年、佼成高)が中央突破してTD。20-10と10点差に。

その後、K篠原歩夢(4年、長崎日大高)が33ヤードのFGを蹴り込み23-10とリードを広げた。

しかし試合巧者の関学は追撃を図る。

4Q開始早々にワイルドキャット体型からダイレクトスナップを受けたエースRB山口祐介(3年、横浜栄高)がTDラン、17-23と6点差に迫る。

日大は苦しい攻撃展開ながらP楠井涼(3年、大阪学芸高)が絶妙のパントをみせ、関学を自陣2ヤードに押し込む。日大の強力守備陣を前にして、攻撃に手詰まりをみせる関学は意表をつく3thダウンクイックパントで陣地を回復させた。

日大は次の攻撃もパント。ここでもP楠井が好パントで関学を自陣1ヤードに押し込む。

関学は試合残り6分36秒からじっくりとドライブ、日大陣内まで攻め込む。関学得意のキャッチアップオフェンスになるかと思われた矢先、試合残り1分42秒、パンターとしても活躍したLB楠井がパスインターセプト。この攻防で、攻守蹴に冴えを見せた日大が熱戦に終止符を打った。

1990年、学生王座に就いてからは転落の一途。屈辱の入替戦も経験した。

10年前の2007年。彷徨える不死鳥は17年ぶりに甲子園ボウルに舞い戻ったが、宿敵・関学と激戦の末、3点差の惜敗。その後、2011(3-24)、13年(9-23)、14年(10-55)と、3度甲子園まで駒を進めるものの、すべて関学の〝青い〟厚い壁に跳ね返され、敗れ去ってきた。

昨年、関東学生リーグ3勝4敗と屈辱の4位に終わった。しかし今年の日大は若手の台頭がチームを支えた。この躍動の原動力となったのが、主力の怪我で1年生ながらリーグ初戦から先発QBを務めた林(大)。「走力があり、強肩」と、内田監督が目を細める逸材だ。

内田監督は「3年前は関学に対して考えすぎた。今回はこれまでのうちがやってきたプレーをシンプルにするだけ」と、普段着のプレーを心掛けた。

これまでのフェニックスといえばショットガン、空中戦が代名詞だった。しかし今回はランとパスをミックスしたバランスアタックで王者関学を圧倒した。レギュラーメンバーが下級生中心の若いチームでまだまだ発展途上、その中で学生王者奪還とともに完全復活を宣言した試合でもあった。

フェニックスの栄光の歴史に新たな1ページが書き加えられた。

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記事;福武金二(スポーツジャーナリスト)

写真;P-TALK

http://www.p-gallery.jp/stm_shimizu.html

編集;畠中隆好(officeNEAR/甲子園ボウルPJT)

いよいよ本日開催!試合インフォメーション!

いよいよ本日開催!試合インフォメーション!

全日本大学アメリカンフットボール選手権・決勝
『三菱電機杯 第72回 毎日甲子園ボウル』

2017年12月17日(日)
阪神甲子園球場
13:05〜関西学院大学(西日本代表)vs日本大学(東日本代表)

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本日の天気(yahoo)
https://weather.yahoo.co.jp/weather/jp/leisure/baseball/28/31003.html
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★NHK BS-1=<LIVE> 13:00~
★SPORTS BULL <LIVE STATS>(速報&データ)
https://sportsbull.jp/stats/ua_kansai/match/…
★アメフトライブ by rtv=<録画配信>(当日)21:00~
http://amefootlive.jp/koshienbowl/2575
★eo光チャンネル=<録画中継>12月23日(土)/30日(土)21:00~
http://eonet.jp/eohikari-ch/2017flashbowl/
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◎三菱電機SNSキャンペーン=大会当日9:00~14:00まで
阪神甲子園球場 外周のミズノスクエアに設置されたフォトスポットや会場周辺にある大会ロゴと一緒に写真を撮影し、ハッシュタグ「#三菱電機杯甲子園ボウル」をつけてSNSに投稿し、ミズノスクエアにある交換所で、投稿画面を見せれば、『三菱電機杯 第72回 毎日甲子園ボウル』に出場する選手たちが胸に付けているワッペン(非売品)をプレゼント!!(先着500名様)
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2年連続51回目の出場となる西日本代表:関西学院大学と、3年ぶり34回目の出場となる東日本代表:日本大学の対戦。
両校の甲子園ボウルでの対戦は29回目。これまでの対戦では日大が16勝10敗2分と勝ち越しているが、現在は関学大が4連勝中。また、春に行われる両校の定期戦では、関学大が30勝17敗3分と勝ち越しており、今春も関学大が30-6で勝利している。一昨年のTOKYO BOWLでの対戦は、17-17で引き分けている。
勝てば関学大は最多優勝回数を更新する2年連続29回目の優勝、日大は1990年以来27年ぶり21回目の優勝となる。

この試合の勝者は、来年1月3日(水)に東京ドームで行われるアメリカンフットボール選手権『第71回ライスボウル』に、学生代表として出場し、社会人代表と対戦する。

昨年の甲子園ボウル(rtv配信):http://amefootlive.jp/koshienbowl/1493

 

【試合の見所】青と赤。3年ぶり29回目の甲子園対決 by ハドルマガジン

全日本大学選手権決勝となって9回目を迎える三菱電機杯第72回毎日甲子園ボウルは、関西学院大学ファイターズと日本大学フェニックスの顔合わせとなった。
甲子園ボウル最多の29回目の対戦。これまでの通算成績は、日大が16勝10敗2分と勝ち越しているが、過去10年間の4度の対戦はいずれも関学が勝利している。

■日本大学フェニックス
鬼気迫るラン・ザ・ボール攻撃を安定した守備が支える

関東学生1部TOP8を6勝1敗で3年ぶりに制し、12月3日の東日本代表校決定戦で6年連続進出の東北大(東北学生1位)を77-17で下した日大は、攻守先発22ポジション中13ポジションを3年生以下が占める若いチームだ。

関東リーグトップの30.4得点を叩き出した攻撃は、1年生QB林大希が開幕から先発として率いている。高校時代からベンチプレス160キロを支えるフィジカルパワーと強肩を持っていた一方で、大正高時代は公式戦勝利の経験がない「ノーネーム」だった。

しかし試合を重ねるごとに成長を遂げ、リーグ第3節の明治大戦からは、歴代の名QBたちが背負ってきた日大のエース番号『10』を背負う。パス111試投65回成功(58.6%)5TD、5被INTのパス成績は、関東3位と発展途上だが、失敗を恐れない思い切ったプレーを貫き続けている。

RB陣は日大攻撃の看板ユニットだ。関東3位の71回462ヤード5TDを記録し、チームリーダーとなっているウィリアムス・デレク・アキラ(3年)は、密集を抜けるトルクと独走力を持っている。
ウィリアムスとローテーション起用されている中野直樹(2年)は、2016年U19日本代表の実力者。177センチ88キロの大型RBで、守備のヒットを弾力性のあるヒットで跳ね飛ばす。
昨年、全国高校選手権クリスマスボウルを制した佼成学園のエースだったRB川上理宇は、1年生ながらユニット随一の俊足を武器に戦力となっている。

メンバーが少なく、DL、TEから転向したメンバーが主力となっているOL陣は、当初、最も不安視されるユニットだった。しかし、唯一2年時から先発のOG加倉井翔(4年)を中心に、練習とミーティングを重ね、機動力を生かしたコンビネーションを発揮するユニットに仕上がりつつある。

レシーバーでは、昨U19日本代表でもエース格だった小倉豪(2年)、昨クリスマスボウルでDB/RETとして最優秀バックス賞三隅杯を受賞した林裕嗣(1年)の活躍が目立っている。

関学との対戦では、OL陣が関学の強い守備フロントをコントロールできるか。もう一つはターンオーバー防ぐことができるかがキーになる。
今季、日大の攻撃はリーグ戦で計10回のターンオーバーを奪われている。また、春の定期戦(6-30)でも、前半終了間際に立て続けにターンオーバーを喫したことが、敗戦のきっかけになっていただけに、春からの成長ぶりが注目される。

守備は関東2位タイの11.7失点と安定している。発展途上の攻撃陣が、厳しいフィールドポジションでターンオーバーを幾度も喫した状況での成績であることを加味すれば、実力は関東ナンバーワンと言っても差し支えないだろう。
喪失ヤードでは試合平均209.4ヤードと、関東最少であることもそれを裏付けている。

守備フロントは例年に比べて傑出したタレントはいない。しかし武田真一守備コーチの加入により、サインが整理され思い切り動けるようになった。
DLは主将・山崎奨悟(4年)が中心。昨U19日本代表でも活躍した宮川泰介(2年)は、パスラッシュとパスカバーの両方担うOLBとして、キーパーソンになっている。

LBは、昨年までSSでプレーしていたLBモーゼス・ワイズマン(3年)が、力を発揮している。高校時代はLBであり、同時にレスリングではハワイ州の体重別王者となった経歴を持つアスリートなだけに、タックルの技術、能力は秀逸だ。

守備好調の要因の大きなファクターとなっているのは課題だったパス守備の改善だ。2年時からDBとして出場しているSFブロンソン・ビーティー、昨大学世界選手権日本代表のCB奥本魁、米田亮太(すべて4年)ら、昨年からの先発メンバーがすべて残っているが、今秋は吉田朋治(3年)、柴田和樹(1年)らが先発争いに食い込み、チーム内競争が激しくなった。

関学との対戦では、今季の3分の2の獲得距離を稼ぎ出している関学のラン攻撃に対して守備フロントがどこまで食い止めることができるか。
さらに学生界随一のメンバーを揃える関学レシーバー陣に対し、DB陣がビッグプレーを許さずに守りきることができるかが、勝敗を左右するポイントになる。

■関西学院大学
パワー戦略で立命館大に雪辱。若手の活躍際立つ守備

関学はリーグ最終節で立命に7-21の完敗を喫して、関西学生リーグ連覇を逃した。しかし11月26日、西日本代表校4回戦で名古屋大(東海学生1位)を49-17と下して、再挑戦権を奪取。
12月3日の西日本代表校決定戦ウェスタンジャパンボウルで、関西学生王者の立命に34-3と雪辱して、2年連続甲子園ボウル進出を決めた。

今季の関学攻撃は、1試合平均ラン獲得221.0ヤードに対しパス110.3ヤードと、ランが柱になっている。リーグ最終節の立命戦は、そのランを25回98ヤードに封じられたことが敗因の一つになっていた。しかしウェスタンジャパンボウルでは、ラン51回319ヤード獲得と見違えるような復調を果たした。

僅か2週間で目を見張るような改善を遂げることができたのは、主将OL井若大知(4年)率いる下級生中心のOLユニットの奮闘と、TE三木大己(4年)、對馬隆太(3年)の2人をFBの位置に配置し、ブロッカーを増員した体型からのプレー比率を増やした戦略にある。
立命守備フロントのスピードに対し、ブロッカーを7人配置することで走路をこじ開けることに成功。弱点を補う引出しの多さは、関学の伝統的な強みでもある。

ウェスタンジャパンボウルで、15回202ヤード2TDを挙げたRB山口祐介(3年)は、僅かなホールでも走り抜けることができる無駄のないカットと、優れたボディバランスを活かし、一度オフバランスになった状態から立て直してビッグプレーにつなげる力がある。陸上競技出身のRB渡邉大(2年)、リターナーとしても主戦のWR前田耕作(4年)ら、スピードのある選手をWRの位置からオープンに展開するプレーも多用している。

今秋から先発の座についたQB西野航輝、春の試合を主戦で率い、秋はポイント起用されているQB光藤航哉の3年生コンビは、いずれも走力に優れたQBだ。

2度目の立命戦はランで押し切った印象だったが、好成績を納めている日大守備を攻略するには、守備がラン阻止に人員を割く裏を突きたいところだ。またDBをラン守備に参加させづらい状況を作ることも必要だろう。
WR松井理己(3年)、亀山暉(4年)、前田泰一(4年)の先発レシーバーは、学生界トップクラスの実力者が揃っているだけに、パスを効果的に使うことができるかが、試合の主導権争いのポイントになりそうだ。

リーグ戦試合平均9.4失点と関西2位の成績を記録した守備は若手の活躍が目立っている。藤木秀介(4年)、三笠大輔(3年)、柴田啓汰(4年)の実績組を擁するDL陣は、昨U19日本代表の寺岡芳樹(2年)、藤本潤(2年)、今井健(2年)らの台頭によって、先発が昨年と入れ替わったインサイドの不安要素を払拭した。
副将LB松本和樹(4年)率いるLB陣で出色は、1年生ながら先発に抜擢されている海崎悠の活躍だ。小学校1年時から12年のプレー経験を持ち、高い戦術理解度と、経験に裏打ちさせた「嗅覚」を両立している。立命戦で、エースRB西村七斗(4年)をソロタックルで仕留めたタックル力も秀逸だ。

DBは1年時から先発出場の小椋拓海(4年)をCBからSFにコンバートし、戦術的な要として起用している。181センチと長身で、ウェスタンジャパンボウルでも立命の反撃の芽を摘むインターセプトを演じたSF畑中皓貴(2年)、小兵ながらタックル力に定評があるCB木村翔太(3年)ら新先発メンバーが個性を発揮している。

日大攻撃の柱になっているラン攻撃をいかに止めるかが、甲子園ボウルの見どころの一つになるが、立命のラン攻撃を阻止することに成功した一方で、日大には立命とは違うタイミングの早いパスがある。リズムに乗せないためには、日大のQBに対して、フィジカルとメンタルの両面でプレッシャーをかける必要がある。

互いにランをベースに戦っていること、守備が安定していること、QBが新先発であること、主力に若手が多いことなど。今季の関学大と日大は共通点が多い。加えてリーグ戦を通じて劇的な成長を遂げてきた点も似通っている。

試合までの準備期間はもちろん、甲子園ボウルの対戦中に成長する選手がどれだけ多く出てくるかも、勝敗を分ける要素になりそうだ。

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記事;上村弘文(HUDDLE MAGAZINE)
ハドルウェブ https://huddlemagazine.jp
写真;seesway(KCFA Official Photographer)
P-TALK  http://www.p-talk.jp/

編集;畠中隆好(officeNEAR/甲子園ボウルPJT)

「毎日新聞社のフォトストア」にて甲子園ボウルの試合写真を販売します!

三菱電機杯第72回毎日甲子園ボウルで毎日新聞写真部記者が撮影した写真を、毎日新聞社が運営する写真販売サイト「毎日新聞社のフォトストア」(https://phst.jp/mainichi/)で販売します。

サイズと価格は、2Lサイズ・800円、A4サイズ・2000円(税込み)。ID(91083001)とパスワード(3413)、画面に表示されるセキュリティコードを入力してログインしてください。画像の閲覧ならびに注文受付は12月18日午後を予定しています(受付以前はログインしてもエラー表示になります)。

なお、写真は「私的利用」限定です。複製や掲載、商業利用を毎日新聞社は許諾しておりませんので、ご了承ください。

甲子園ボウル特集掲載のハドルマガジン増刊が発刊!

ハドルマガジン12月増刊号スクランブルVol.36、配信開始いたしました。

12月3日、関学大が立命館大に雪辱したWJB詳報から、法政大と京都大が対戦する12月10日のTOKYO BOWL、日大と関学の29回目の対戦となった12月17日の甲子園ボウル、連覇を目指す富士通と初栄冠を狙うIBMが激突する12月18日のジャパンエックスボウル、そして、最強軍団・佼成学園高校ロータスと下克上軍団・関西大学第一高が対戦する12月23日のクリスマスボウルを写真と記事+動画リンクで徹底プレビューしています。

表紙は関学大主将OL井若大知選手です。是非、ご一読ください。

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甲子園球場歴史館にて甲子園ボウル特別展示を開催中!

甲子園球場歴史館にて甲子園ボウル特別展示を開催しています。

施設内甲子園ボウルコーナーにおきまして、今年度の優勝チームに授与される「優勝トロフィー」(毎日新聞社杯)及び「三菱電機杯」、出場2校のユニフォーム等の展示を開始致しました。

なお、展示は12月17日(日) 12:00までの公開となります。予めご了承ください。

観戦前に是非、ご覧ください。

東日本代表校決定戦 日本大学-東北大学 「日大が圧倒的な勝利。大差にも健闘が光る東北大」

東日本代表校決定戦は、関東学生リーグの聖地・アミノバイタルフィールドで開催された。過去には、日大や早大といった関東TOP8勢が万全の勝利をもって代表の座を勝ち得ている。

連続出場になる東北大学ホーネッツのキックオフで試合開始。その低い弾道とイレギュラーバウンドで、日本大学フェニックスの陣地に深く切り込んだ。

日大は自陣10ヤードからスタート。深い位置からの攻撃にもかかわらず、日大は慌てることなくプレーに集中していた。
今年の日大を象徴するパスとランを組み合わせたバランスアタック。その多彩なプレー選択に東北大は翻弄され、あっという間に東北大陣まで運ばれTD。試合開始2分22秒のことだった。

続く東北大の攻撃に対しても、日大の冷静さはまったく変わらない。相手の攻撃に対して的確なタックルと囲い込みを行ない、簡単にはダウン更新を許さない。
「勝つための練習をしてきたが、ありとあらゆる場面、要所を完全に抑えられてしまった」と、東北大の主将LB#13佐竹は悔しそうに話す。

今春から東北大のメインフィールドである川内グラウンドは、人工芝に生まれ変わった。地下鉄の駅から出ると目の前が東北大のキャンパス、そこで厳しい練習を積んできたホーネッツだ。分厚いOL陣を活かしての重厚なオフェンスではあったが、それでもエンドゾーンは遥かに遠い。

2Qが始まってようやくFG1本を決めたが、すでにこの時点で3-21。結局、前半はこれ以上の得点を奪うことができずに、前半終了で3-42という大差がついてしまった。

東北大の遠藤監督は「力の差があることは分かっていたが、日大とは想定以上の力の差を感じた。チームで出来ることは、すべて真っ当したと思うが、それでも全然届かなかった」と、静かに語った。

後半、日大は先発メンバーを大幅に交代させながらも、ディフェンスで相手を抑え、堅実なオフェンスで攻めあげて、次々にTDを奪っていく。

だが東北大はここで気持ちを切らせはしなかった。敗戦濃厚だったとしても、ただ懸命に戦い続けた。

高校時代はスポーツ未経験ながら、雪国・青森の東奥義塾高から東北大へ進学。その体格の良さを見込まれてフットボールを始めたというOL#66小舘は、雪深い津軽の粘り強さと、“じょっぱり魂”をもって、日大DLに倒されても、LBに潰されても這いあがり、とことん立ち向かっていった。

なんとか一矢報いたい東北大。
3Q終了直前、エースQB#1長谷部が左オープンのランから、エンドゾーン左隅へと執念のTD。ここまで耐えてきたチームに報い、1年間積み重ねてきたトレーニングを実らせた瞬間だった。


続くTFPでも2ポイントコンバージョンを成功させ、8点を獲得。もちろんこれだけでは届かないが、日大の隙を見逃さなかった。

東北大応援団とチアリーダーにブラスバンド、OBや関係者などが東北新幹線に乗って駆け付けた緑色のバックスタンドが、ようやく拍手と大歓声に沸いた。

「TDは取りましたが、それ以上に、自分のインターセプトなどから大量得点になってしまって、もう、なにも言えないくらい…」。試合後の会見では、なかなか言葉にならないQB長谷部だった。

最終スコアは日大77-17東北大。結果で見るならば完全なワンサイドゲームだが、互いに全力を出し、そして課題を自覚する結果となった。

「本当は0点に抑えるつもりだった」と、振り返る日大の内田監督。
日大の山崎主将は「交代メンバーを入れ始めて、そこでミスが出てしまった。甲子園ボウルではこういうミスは致命的になってしまう、そのあたりをしっかり修正していきたい」と、反省する。

次は決勝・甲子園ボウル。いまだ西高東低が続く大学フットボールシーンにおいて、関東の雄、日大に集まる期待は大きい。
伝統の甲子園ボウルを目指しいま一度。東北大は4年生が引退して新しいチームへ。それぞれが次への道へと歩みを進める。

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記事;津島治(スポーツライター)
写真;関東学生アメリカンフットボール連盟
編集;畠中隆好(officeNEAR/甲子園ボウルPJT)

三菱電機杯第72回毎日甲子園ボウルの国歌独唱者は鳥尾匠海さんに決定!

第71回全日本学生音楽コンクールの全国大会(主催=毎日新聞社、共催=横浜市、後援=NHK、特別協賛=かんぽ生命、協賛=ANA・島村楽器、協力=横浜みなとみらいホール)は6日、横浜市の横浜みなとみらいホールで声楽部門を開催。伸びやかに作品世界を構築したテノールの鳥尾匠海(たくみ)さん(東京芸大3年)が、1位に選ばれました。

三菱電機杯毎日甲子園ボウル実行委員会では”地域に根付いた大会、学生のスポーツ祭典”という大会アイデンティティの強化を目的に、毎日新聞社が主催する学生音楽コンクール大学の部の優秀者を国歌独唱者として招待しています。

三菱電機杯第72回毎日甲子園ボウルは12月17日(日)に開催。キックオフ直前のフィールドに鳥尾さんの歌声が甲子園球場に響きます。

プロフィール
【国家独唱者】
氏名:鳥尾 匠海(とりお たくみ)
学校:東京藝術大学 3年
受賞大会と成績:第71回全日本学生音楽コンクール 大学の部 声楽部門
全国1位(12月6日 横浜みなとみらいホール小ホールにて
開催)

甲子園ボウルオフィシャルグッズを通販先行で発売開始!

甲子園ボウル第72回大会オフィシャルグッズを大会当日に先駆け、通信販売で先行発売いたします。


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西日本代表校決定戦 WESTERN JAPAN BOWL 「逆襲の関学。序盤に流れを掴み一気に甲子園へ」

関西学生リーグで全勝優勝を果たした立命館大学パンサーズと、その立命に2週間前に敗れ2位となった関西学院大学ファイターズが対戦。リーグ戦では立命が関学を寄せつけず21-7で完勝したが、この試合は関学が立命のお株を奪う戦いぶりを見せ、34-3で快勝し、2年連続51回目の毎日甲子園ボウル出場を果たした。

「前の試合は開始3プレーでやられたので、できればオフェンスから開始しよう」(鳥内監督)と、コイントスで前半チョイスをした関学は、自陣25ヤードから攻撃を開始。
ファーストプレーは、パスの構えに出たQB#18西野(3年)に、立命のDL陣が強烈なラッシュを見せQBサック。12ヤードをロスさせられた。
前試合を思い出させる嫌なムードが漂ったが、2ndダウンでRB#34山口(3年)がボールを持つと2度のタックルを振りほどいて左サイドライン際を58ヤード走り抜け一気に敵陣29ヤードまで攻め込んだ。
ここからWR#6渡邊(2年)がモーションしてQB西野からハンドオフを受けると左オープンを走り4ヤードを前進。そしてQB西野がWR#11前田(泰・4年)へ短いパスを決めると、ブロックをうまく活かしそのままエンドゾーンまで走りこみTD。作戦が見事にはまり開始4プレーで先制点を奪うことに成功した。

関学は次の自陣18ヤードからのオフェンスで、QB西野からWR#84前田(耕・4年)へのパスを決めると、3rdダウン1からRB山口が中央付近を走り64ヤード独走。ゴール前8ヤードまで侵入した。
最後もRB山口が中央を突破しTD。1Q6分36秒で、早くも14-0とリードを広げた。

対する立命も自陣31ヤードからの攻撃で、QB#11西山(4年)がWR#14近江(4年)へのパスを決め敵陣に進入したが、QB西山がパスが関学DB#45畑中(2年)にインターセプトされ攻守交代となってしまう。

関学は自陣21ヤードからの攻撃。RB山口、WR渡邊、RB山口のランでハーフライン付近まで陣地を挽回すると、QB西野がWR#82中原(4年)へのパス、QB西野のカウンターランで敵陣36ヤードまで前進する。
ここからの3rdダウンでQB西野がパスの体型からスクランブル発進しダウン更新すると、交代出場したQB#10光藤(3年)からのパスをRB山口が右手ワンハンドキャッチしゴール前7ヤードまで攻め込む。
再びRB山口が中央を突破してTD。21-0と大きく突き放した。

前半のうちに何とか追いあげたい立命。前半残り4分51秒から開始した自陣40ヤードからの攻撃。
QB西山が4回連続パスを成功させ、自らもカウンターランを見せるなど敵陣26ヤードまで迫ったが、ここから投じたパスを関学DB#44松本にインターセプトされ、得点できないまま前半を終えた。

後半、自陣24ヤードからの立命。RB西村のランに続き、QB西山もカウンターランで右オープンを走るが、関学ディフェンスに強烈なタックルを浴びせられその場にダウン。このまま負傷退場となり、QBには#19荒木(2年)が急きょ起用される。

エースQBをケガで失った立命だが、QB荒木が自ら持って走り11ヤード、13ヤードを獲得し敵陣45ヤードに攻め入った。
ここからRB西村、#42立川らの力強いランでさらに前進すると、QB荒木がWR近江へのパスを決めゴール前15ヤードとした。
このチャンスにRB立川のランでエンドゾーンが近くなったが、RB西村へのスクリーンパスは関学のディフェンスの反応が早くノーゲインに。QB荒木のカウンターランもダウン更新には届かず、結局K#16多田羅が29ヤードのFGを成功させ、3点を奪うにとどまった。

直後のキックオフで立命はオンサイドキックを試みるが、関学がボールをリカバーし攻撃権を奪えなかった。

さらに立命、自陣23ヤードからの攻撃。QB荒木のドロープレー、RB西村のオフタックル付近のランで3rdダウン1ヤードとしたが、西村の中央のランは関学ディフェンスに阻まれ、勝負をかけた4thダウン1ヤードもピッチを受けた西村が関学ディフェンスの素早いタックルに突破することができず、ギャンブル失敗に終わった。

このディフェンス陣の踏ん張りで得た敵陣33ヤードからの関学。QB西野がスクランブルランで残り17ヤードとすると、さらにQB西野のロールキープ、QBドローでゴールまで6ヤード。
最後はQB西野からWR前田(泰)へのTDパスが決まり28-3とリードを広げた。

直後の立命は、自陣38ヤードから攻撃開始したが、QB荒木が関学DL今井(2年)にサックされボールをファンブル。これをDL寺岡(2年)がリカバーして攻守交代。
敵陣26ヤードからの攻撃となった関学はRB山口、QB光藤のランで前進し、WR前田(耕)がモーションからのハンドオフランでTDを奪い、34-3とし勝負を決めた。

関学の鳥内監督は「流れがこうなったらやっぱりこういうゲームになるねんな。うちは出来すぎ。向こうも前半にああなってしまうと、メンタルの立て直しも効かないし、我々はうまくいったけど、向こうは持っている力の半分も出せなかったのでは」と、立ち上がりの展開を振り返る。「この2週間、4年には今日負けたら引退やと言い続けたし、下級生には4年を手伝ったれと言ってきた。最後の最後で、今年のスローガンやった“CHANGE”ができたんとちゃうかな」と、やり切った選手を高く評価していた。

一方、立命の米倉監督は「全部の責任は僕にある。選手は主将の近江を中心に1年よく頑張ってくれた。2週間前に勝ってのこの敗戦。僕の責任です」と、言葉少なだった。

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記事;江田政亮(スポーツライター)
写真;P-TALK
http://www.p-gallery.jp/stm_shimizu.html
編集;畠中隆好(officeNEAR/甲子園ボウルPJT)