第73回毎日甲子園ボウルへの出場権を決める西日本代表校決定戦・ウェスタンジャパンボウルが2日、大阪府吹田市の万博記念競技場で行われた。

試合は関西学院大学ファイターズが、K#8安藤亘祐(3年)の劇的な逆転サヨナラFGで、立命館大学パンサーズを20-19と1点差で下し、関学大が3年連続52回目の甲子園ボウル出場を決めた。

最初に主導権を握ったのは立命館。開始早々の第1シリーズ、RB#42立川玄明(2年)、#7藤岡峻平(4年)のランプレーを中心にダウンを連続更新。ゴール前からOLがあけた穴を、RB藤岡が一直線に8ヤードを走りきりTD。TFPキックはブロックされるが、立命館が6点を先制する。

関西学生リーグ最終節で31-7と、圧倒的な攻撃力で立命館を下した関学は、4thダウンパントフォーメーションからスナップを受けたRB#35富永将史(4年)がランプレーするスペシャルプレーを繰り出して、ダウンを更新。

さらに立命館ディフェンスがQB#3奥野耕世(2年)のフェイスマスクをつかむ反則を犯してゴール前9ヤードに迫る。QB奥野、RB#6渡邉大(3年)のランプレーは、立命館ディフェンス陣に粉砕されたが、K安藤が27ヤードFGを決めて3-6とする。

第2Qの開始直後、立命館がファンブル。このボールを関学ディフェンスが押さえて攻守交代。逆転を狙い攻撃を進める関学。再びゴール前9ヤードまで進入したが、QB奥野のTDパスを立命館DB#21松山陸(4年)がエンドゾーン内でインターセプト。攻撃を断ち切る。その後、両チームともパントを繰り返し我慢比べ状態に。

立命館が自陣39ヤードで蹴ったパントを、関学がブロック。関学は敵陣42ヤードから攻撃を開始する。

ここで立命館DL陣のプレッシャーを受けながらQB奥野が右サイドに投じたパスを、またも立命館のDB松山がインターセプト。松山はそのままタックラーをかわして68ヤードを独走してTD。13-3と立命館が10点差をつけて前半終了。

試合前に立命館の古橋由一郎監督が「どれだけディフェンスで粘れるか」と、課題にあげていたディフェンス陣の頑張りが試合を有利に進める。

後半最初の攻撃シリーズも立命館は得点に結びつける。ランプレーを中心にゲインを重ね、これをK#16多田羅翔吾(4年)の44ヤードFG成功に結びつけ、16-3とリードを大きく広げる。

追いかける関学。「僕の役割は全力プレーでリズムをつかむこと」というキャプテンのQB#10光藤航哉(4年)が「相手は僕が出てきたらランと思っているからパスプレーをコール」。

相手の裏をかいて左サイドを駆け上がるWR#81阿部拓朗(3年)に「拓朗がTDまでもっていってくれたから満点のプレー」(光藤)という24ヤードTDパスを決め、10-16と1TD差に詰め寄る。

しかし第4Qの開始直後。QB奥野のパスを立命館LB#5古谷海人(4年)がインターセプトして、立命館が敵陣38ヤードから攻撃を開始。TDには至らないものの、FGで3点を追加して、19-10と立命館がまたも引き離す。

粘る関学。自陣25ヤードからの攻撃を4回連続でダウン更新してゴール前8ヤードへ。ここからRB#26中村行佑(4年)が1ヤードを中央ダイブでTD。17-19と2点差に迫る。

試合残り時間1分56秒。立命館をパントに封じた関学は自陣36ヤードから攻撃を開始。

「この試合で3本もインターセプトされたけど、奥野が“行きます”って言うから。怖いもの知らず」と、鳥内秀晃監督が評価したQB奥野が、リーグ戦第6節で引き分けに持ち込んだ関大戦の2ミニッツ攻撃と同様、見事なパスワークを披露する。

WR#85松井理己(4年)、WR阿部へのロングパスを成功させ、敵陣12ヤードへ。ここからRB中村、渡邉がランプレーでTDを狙うがエンドゾーンまで届かない。

最後は、24ヤード逆転FGをK安藤がきっちり決めて、20-19と1点差の勝利をつかんだ。

劇的勝利の立役者、K安藤は「フィールドに入ったらいつも通り。緊張感はなかった。決められてほっとした」と、安堵の表情。

キャプテン光藤は「2本差がついた状況を想定して練習してきた。(リーグ戦で立命館に勝利してから)次に勝たないと意味がない、と選手には言い続けた。絶対に勝つという意識を植えつけた。逆転できたのは勝つ気持ちが優っていたからだと思う」と、心の強さを強調した。

鳥内監督は「ターンオーバーをあんだけやられて、怪我人が続出して、ようサヨナラ逆転ができたわ。学生がようやった。ハーフタイムでは下を向いたら終わり。何点取られてもあきらめるな、時間は十分ある、と言った。ちゃんとやりきった」と激戦を振り返り、選手を褒め称えた。

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記事;福武金二(スポーツジャーナリスト)

写真;P-TALK

http://www.p-gallery.jp/stm_shimizu.html

編集;畠中隆好(officeNEAR/甲子園ボウルPJT)