東日本代表・早稲田大学ビッグベアーズ

85年目の闘志。歴史に名を刻むときが来た。

創部85周年を迎えた早稲田大学ビッグベアーズ。2年連続の全勝優勝で関東を制し、今年も聖地に帰ってきた。創部史上未だ成し遂げられていない悲願達成へ。6度目となる頂上決戦に挑む。

今年のチームスローガンは「闘志」。OL陣を中心に温厚な性格の選手が多く、優し過ぎるチームでは勝負に勝てないと考え、スローガンに据えた。たとえスキルで相手に劣ろうとも、気持ちで勝つ。どんなに辛い場面でも、挫けそうになる自らの心に打ち勝つ。そんな強い気持ち、熱い「闘志」を持ったチームを目指し1年間戦い続けてきた。

オフェンスで最も注目を浴びるのは、間違いなく副将QB#1柴崎とWR#6ブレナン翼からなる学生界随一のホットラインであろう。これまで何度も要所でパスを決め、チームを窮地から救ってきた。この2人のパスラインが機能するかどうかが、早稲田オフェンスの生命線となる。

ブレナンは、これまで出場した過去2度の甲子園ボウルで、リーグ戦ほどの活躍を見せられていないだけに、ラストイヤーの今年は期待が懸かる。
パスユニットばかりに注目が集まる今年の早稲田だが、スタメン争いが激戦の様相を呈するRB陣にも注目だ。大学からフットボールを始めたばかりの2年生RB#25吉澤が思い切りのいい走りをすれば、3年生のRB#7荒巻、RB#44広川がそれぞれの武器である「スピード」と「粘り強さ」を武器に走り抜ける。4年生のRB#5中野も要所で力強い走りを見せ、負けじとスタメン争いに食い込み続けてきた。
それぞれ違った特徴を持ったRBであり、お互いから学び切磋琢磨しながら成長を遂げてきた。甲子園でも誰がピッチに立つかはまだ分からないが、「RBユニットで勝利をつかむ」と、意気込む姿は心強い。

そして何より鍵となるのが、ランとパスのどちらも支えるOL陣だ。代表経験を持つOL#52香取、OL#79橋口を中心にポケットパサーである柴崎を守り切れるか。4人のRBが走り抜ける道を切り開けるか。

主将DL#52寺岡ら強力なフロント陣を持つ関学大に対し、奮闘が期待される。

一方のディフェンスは「安定感が特徴だ。QBサックやロスタックルといったビッグプレーは例年と比べ少ないが、大崩れすることがない。それはディフェンスの中央に構える主将LB#88池田とLB#47野城の頼れる4年生2人が大きな役割を担っているからであろう。ボックス内は4-2のシステムを敷いており、2人しかいないLBに求められる運動量は膨大。まさに「闘志」を体現し、試合終盤までパスにもランにも素早い反応速度で対応し続ける。

チーム全体にも言えることだが、大学からフットボールを始めた選手たちの活躍も光る。ディフェンスのスターターに名を連ねる副将DL#66二村、DB#38渡辺がまさにそうだ。二村は度重なるけがを乗り越え、作り上げてきた圧倒的なフィジカルを武器に、破壊力抜群のタックルでスキル陣に襲い掛かる。一方の渡辺は早実高時代、野球で甲子園に出場。大舞台での経験を活かしたアグレッシブなプレーに期待が懸かる。

DB陣ではDB#21大西にも注目だ。リーグ優勝を決めた法政大戦では、エンドゾーン内でインターセプトを決め勝利を決定付けた。土壇場でも攻め続けるディフェンススタイルで、関学大の流れを断ち切って見せる。

ディフェンス全体では、総喪失ヤードが関東で4番目と納得のいく数字ではないが、総失点数は2番目と少ない。これはゴール前ディフェンスの強さの現れで、早稲田ディフェンスの持ち味の一つとなっている。

早稲田は何と言っても「スロースターター」だ。昨年の甲子園ボウルでも後半巻き返したものの、前半の失点が重くのしかかり追いつくことができなかった。今回の一戦も前半をビハインドで折り返すことはある程度割り切った上で、2本差以内で折り返せるかが焦点となってくる。

今年のチームは「スピード」をテーマに様々なランメニューを行ってきた。それだけに、「走り負けることはない」と、普段より長い試合時間(甲子園ボウルは1Q15分制)の勝負にも自信をのぞかせる。

「泥臭く、泥臭く勝負して、最後は勝って終わりたい」。そう意気込む池田主将を筆頭に、「闘志」全開のフットボールを聖地で体現してくれることであろう。あと一歩のところで何度も逃してきた学生日本一の座へ。いよいよ甲子園の歴史に『早稲田』の名を刻むときが来た。

 

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記事:涌井統矢(早稲田スポーツ新聞会)

写真;早稲田スポーツ新聞会   http://wasedasports.com/

編集;畠中隆好(甲子園ボウルPJT)