6年連続55回目の甲子園ボウル出場を決めた関西学院大学ファイターズ。今年度は「I WILL」、「アグレッシブ」、「ファンダメンタル」の3つを軸として取り組み、聖地・甲子園へと帰ってきた。日本の頂点に立つのは、今年も彼らでなければならない。
2021年1月3日、オービックシーガルズと対戦した関学は、18―35で敗北。最後のライスボウルが終わり、DL青木勇輝主将率いる新・ファイターズが始動した。「異例の年」と言われ続けた2020シーズン。その終幕は、「前例がない」という言い訳が通用しない、過酷な1年の幕開けを意味していた。
2年ぶりの開催となった春シーズン。V戦、JV戦ともに順調に勝ち進むファイターズの姿があった。しかし、6戦6勝で迎えた最終節の関大戦、まさに青天の霹靂と言える終末が待ち受ける。第3Q残り2分21秒、雷鳴より突然の試合終了。「アグレッシブ」さに欠けるプレーで、6―14と屈辱の敗北を喫した。「自分たちが、いかにない力に溺れていたかを思い知らされた」と青木。いくつもの小さなミスがつながり、いつしか大きな敗北へ。「もう一度ゼロからやり直さなければ、日本一には到底なれない」。頂点のみを目指すチームが、心を決め直すきっかけとなった。
勝負の秋に備え、夏には1週間の合宿を行った。新型コロナウイルス感染拡大への懸念が続く中、厳しい制限を課しての実施。青木は、「大変な状況でもこうして合宿ができ、改めて学校の方々や保護者、ファンの方々に支えられ、期待されているチームだと気付けた」と感謝の思いを口にした。「ファイターズは、ただただアメフトをして日本一になればいいチームではない。日本一のチームであるからこそいろいろな人たちに見られて、それにふさわしい行動をとらなければいけない」。当たり前のことを当たり前にする。プレー面だけでなく、日々の生活から「ファンダメンタル」を大切に取り組む重要性を再確認した。
ついに秋シーズンが開幕。同大、京大、関大を順に下し、一度目の関立戦に臨んだ。結果は、28―25。ランで3TD、パスで1TDを挙げるも、DB竹原の2インターセプトに助けられる辛勝となった。「3点差では、決して自分たちが勝った気になってはいけない。とにかくこの3週間でやれることを全てやって、次も絶対に勝つ」。勝利に甘んじず、再戦での圧倒を誓った。
そして、12月5日。運命の西日本代表校決定戦を迎えた。試合は終始関学がリード。2TD差を付けて後半へ折り返すも、第3Qは立命大が猛攻を見せる。パスで3TDを許すと、あと一歩のところまで詰め寄られた。だが、関学オフェンスもランで対抗。王者の貫禄を見せつけ2本を取り返すと、10点差を守り切った。勝利の女神は、またも関学に微笑んだのだった。
追いかけ続けてきた学生日本一の称号が、もうすぐそこにある。今年の4年生は入学以来甲子園ボウル3連覇中の最強世代。しかし、「4連覇については考えていない。今年のチームが始まったときに、『去年の結果は全て忘れて、自分たちの基準を探して自分たちのチームつくろう』と決めた」と青木。ただ、目の前の相手に集中し、一戦必勝で臨む。「次戦こそグラウンドに立っている全員でこのチームを勝たせる。しんどい場面がきても『俺が止める、通す』ことを徹底し、最後も勝利をつかむ」。青木は今一度、強く意気込んだ。決戦の日、聖地を沸かす大観衆の目線の先には、「I WILL」を体現する青戦士たちがいるだろう。
記事:山西葉月(関西学院大学体育会学生本部編集部・関学スポーツ)
写真;関西学院大学体育会学生本部編集部・関学スポーツhttps://kgsports.net