east02関東代表注目選手

関東代表・早稲田大学BIG BEARS


OL #55 亀井理陽(4年)

 

早実高野球部出身の亀井。高校2年時には春の選抜大会でベンチ入りを果たすなど、常に活躍が期待されていた実力者だったが、その後、ケガが悪化。ボールが投げられなくなり、プレイヤーとして野球部に居続けることは困難になった。それでも亀井は、他部活からのオファーがある中でも野球部のマネジャーとして選手を支え続けることを選択し、充実した日々を過ごした。

「部活動はやり切った」。大学入学後、部活動を続けるつもりがなかった亀井はサークル活動の新入生歓迎会に参加しながら、全力で何かに打ち込める環境を求めていた。そんな中、早実中時代からの友人であり、アメフト部出身だったDL若原やQB西坂らが亀井を半ば強制的にアメフト部の練習見学につれて行く。亀井は「単純にかっこいい」と思いながらも、その場で入部を決めたわけではなかった。しかし、その後もさまざまなサークルを見て回る中で、この日の光景がどうしても頭から離れなかった。BIG BEARSの選手たちの熱量に押され、亀井はフットボーラーとしての道を歩むことを決心した。 

未経験者ながらも、亀井の存在感は群を抜いていた。入学して間もない頃の新人戦、亀井は先輩の推薦でゲームキャプテンに選出される。フットボールについて右も左もわからないフレッシュマンだったが、「自分たちの代で必ず日本一になる」という覚悟は決して揺るがなかった。3年前の甲子園、亀井は1プレーも出場することなくサイドラインで戦況を見つめていたが、必ずこの場所に帰ってくることを誓った。

ラストシーズンを迎えた亀井は「自分がチームを日本一に導きたい」という一心で主将に立候補すると、同期からの満場一致で主将に選出された。そんな亀井が据えた今季のスローガンは『一丸』。タレント軍団ではないからこそ、チーム関係者全員が日本一に対する熱量を高く持ち続けて、一つになって日本一まで歩んでいこうというものだった。亀井は威厳を示すタイプの主将ではないが、圧倒的な実力と日々のフットボールに対する姿勢を徹底することでチームを引き締めた。特にモラルの部分はこれまで以上に徹底してきたという。

春シーズンは3年ぶりに立命大や関大といった関西の強豪との定期戦が開催されたが、両試合ともに完敗。特に立命大戦ではOLが圧倒され、11回のランプレーで獲得ヤードがわずか「7」という屈辱的な結果に終わった。「まだまだ日本一になる資格はない」。亀井を中心とする上級生はチーム全体に向けて『弱さ』を徹底的に自覚させた。特に亀井率いるOLユニットは夏合宿でどのポジションよりも厳しい練習を積み重ね、基礎から徹底的に磨き上げた。

そして迎えたリーグ戦。鍛え上げたOLのランブロックが見事に機能し、早大はランオフェンスを武器に勝ち星を積み重ねる。最終節、関東王者の座を懸けて、昨年敗れて日本一への道が絶たれた法大との大一番に臨んだ。強力な法大DLに対し、早大OLは奮闘する。前半をビハインドで折り返すも、後半はランブロック、パスプロテクションともに光り、TDを積み重ねて相手を突き放した。試合時間残り数秒、フィールド中央でオフェンス陣が円陣を組み、勝利のカウントダウンが始まる。その中央にいた亀井の目には光るものがあった。まさに、チーム『一丸』となってつかんだリーグ制覇であった。

亀井はOLの選手としては24年ぶりのリーグ戦MVPに輝いた。試合後の記者会見、「素直に嬉しいです」と安堵するも、その後の表情は引き締まっていた。まだまだ道の途中。全ては創部から88年という長い歴史の中で一度も成し遂げられなかった悲願達成のために。亀井率いる早大OLが栄光への走路を切り拓いてみせる。


記事:安齋健(早稲田スポーツ新聞会)
写真;早稲田スポーツ新聞会    http://wasedasports.com/

WR #8 佐久間優毅(4年)

 

 佐久間優毅のアメフト歴は大学からと短い。それでも、持ち前の脚力とキャッチ技術の高さを武器にエンジのエースWRに上りつめた。ターニングポイントとなったのは春の立命館大戦。キックオフリターンTDを含む4TD、さらに試合終盤では2ポイントコンバージョンを成功させる見事なキャッチを見せるなど躍動した。この試合で「一皮むけた」と語る佐久間は春シーズンでTDを連発。関東屈指のレシーバーに成長した。 

 そして迎えた秋シーズン。シーズン序盤、佐久間は苦戦を強いられる。開幕戦の横浜国立大戦ではまさかの0キャッチ。2戦目の東大戦では1キャッチこそ成功させるも0TDと春の活躍した姿はそこにはなかった。しかし、第3節の桜美林大戦で4キャッチ、1TDを成功させ復調の兆しをつかむと、続く中央大戦では5キャッチ、立教大戦では3キャッチ1TDと一気に調子をあげて一次リーグを終える。

 2次上位リーグになっても佐久間の調子は落ちない。初戦の明大戦では試合開始してすぐにキックオフリターンTDを決めるなど、2次リーグ初戦の勝利に大きく貢献し、その週の週間MVPにも選出された。2次リーグ最終節、関東優勝のかかった法政大戦では4キャッチと1TDでチームを3年ぶりの関東制覇に導き、エースWRとして十分な活躍を見せた。

 3年前、チームが甲子園の舞台に立った時、佐久間はユニフォームをもらったものの試合に出場することはなかった。チームとしては過去6回日本一に挑むも、すべて弾き返された関西の壁。「クオリティの高いアメフトを完成させて絶対に勝ちたい」と今回はその壁を打ち破る気合は十分だ。創部史上初の日本一へ、関東屈指のWRが甲子園の地でその名を轟かせる。


記事:安齋健(早稲田スポーツ新聞会)
写真;早稲田スポーツ新聞会    http://wasedasports.com/

RB #25 花宮圭一郎 (3年)

 関東学生秋季リーグ戦を全勝で飾った早大米式蹴球部BIG BEARS。その中で今季のオフェンスをけん引しているのがRB花宮圭一郎。浪人時代を経て、早大に入学した男の甲子園ボウルに懸ける想いは人一倍強い。

 3年前の甲子園ボウル、早大は関学大相手に奮闘するも、勝利にあと一歩届かなかった。そんなBIG BEARS戦士の姿を見て、花宮の大舞台に対する憧れは強いものとなった。自身のやるせない思いや日本一への熱い意志を胸に抱き、今年、阪神甲子園球場の土を踏む。

 リーグ戦での花宮の活躍は輝かしいものだった。特に中大戦と法大戦でのビックプレーが記憶に新しい。

 中大との試合では、前半から守備陣が粘り強く中大の攻撃を守りきる中で、なかなか攻めきることができない攻撃陣。早大はリーグ戦初の前半をビハインドで迎える厳しい展開となる。それでも、「絶対に勝つという意志を全面に出してプレーをした」と振り返る花宮の言葉通り、不屈の精神で中大ディフェンスを砕き、2つのTDランを決める。その後の延長タイブレークでも花宮の強みである力強いランプレーでボールはエンドゾーン運ばれ、緊迫した試合を逆転勝利で飾った。

 関東制覇をかけた法大戦でも花宮のプレーが光った。互いに堅守を見せ、点が動かない状況が続く。その張り詰めた空気を切り開いたのはやはり花宮のプレーだった。鮮やかな走りでエンドゾーンを駆け抜け、見事に先制。タレント豊富な法大に対し、果敢なプレーで悲願の甲子園ボウル初制覇へ大きく貢献した。

 3年生ながら今季はチームトップのラッシュを記録するなど、目まぐるしい成長を遂げる花宮。その負けん気の強さでリーグ戦と同様に甲子園球場を沸かせることは間違いないだろう。


記事:
荒井理沙(早稲田スポーツ新聞会)
写真;早稲田スポーツ新聞会    http://wasedasports.com/

DL #99 山田琳太郎(4年)

「自分も日本一を目指してみたい」。この思い一心に大学生活をアメフトに捧げてきた。高校までラグビーをしていた山田だが、当時は日本一という舞台を想像できる位置にはいなかった。早稲田大学入学後、BIG BEARSの全員が日本一に向かって努力している様子を見て入部を決意。ここから山田の日本一を目指す戦いが始まった。

アメフトを始めた当初はルールすらも分からなかった。試合中に攻守が目まぐるしく入れ替わっていき、「何が起きているのか全く分からなかった」と、山田は振り返る。それでもコーチや先輩と二人三脚で練習を積み重ね、急成長を遂げた。転機となったのが1年生のときに出場した立大戦。緊張でガチガチになりながらも、見事にQBサックを決めた。「マグレだった」と振り返るも、確かにアメフトのおもしろさに引き込まれていく。3年前の甲子園ボウルでは1プレーのみ出場した。「戦えているな」と思う反面、関西王者の強さを目の当たりにし、負けてしまったことにもどかしい思いを抱いた。最後まで諦めない4年生の姿を見て、気持ちを引き締め直した。

山田の武器は何といっても恵まれた体格だ。196センチ、120キロの巨体を生かして1年生のときから出場機会を獲得していた。しかしこれまでの3年間では個人として大きな結果を残すことができず、辛く苦しい日々が続いた。それでも、トレーニングを怠らず自分の武器を磨き続けてきた4年間。長いリーチを生かしたプレーでチームの勝利に貢献し、今季のリーグ戦では、QBサックとロスタックルでチームトップの活躍をみせた。関東王者を懸けた法大戦では週間MVPにも選出され、3年ぶりのリーグ制覇に貢献した。

自身の目標である「名実共に日本一のDL」に向けて。「ビッグプレーを起こして、チャック・ミルズ杯を獲得したい」と山田は力強く語る。甲子園の舞台で最高の集大成を飾るために。ディフェンスの要が創部史上初の日本一へチームを導く。


記事:小澤慶大(早稲田スポーツ新聞会)
写真;早稲田スポーツ新聞会    http://wasedasports.com/

LB #44 斧田康太郎(4年)

恵まれた屈強な体格のプレイヤーが集まる競技であるアメリカンフットボール。BIG BEARSも決してその例外ではなく、多くの優秀なフィジカルを持つプレイヤーが在籍している。そんな中でフィールドの中でひと際目立つプレイヤーがいる。LB斧田康太郎だ。

斧田は身長164センチメートルと決して恵まれた体格の選手ではないが、LBの絶対的なレギュラーとして君臨している。斧田の強みはなんといっても中学から始めて約10年になるフットボール歴の長さを活かした戦術理解度とフットボールIQから導き出すプレーリード。そしてアジリティとクイックネスによるボールキャリアの足元への低いタックルとOLとのぶつかり合いにも負けないヒットから繰り出されるパワーで幾度も相手のプレーを崩壊させて早大のピンチを救ってきた。

そんな斧田だが、LBのポジション主任も務め、LB全体を統括している。自分にも他人にもストイックに厳しく追い込める。そんな人並外れた努力の選手である斧田をリスペクトしている選手は多い。早稲田のLBはポジションの中でも役割が細分化されており、同じポジションであっても動きは必ずしも同じではない。そんな中でも春のオープン戦、夏合宿、秋のリーグ戦を経てユニット全体のまとまりを作り上げてきた。

日本一への想いも人一倍だ。海陽学園高校時代は1年生時に関西大会決勝まで進むも、関西学院高等部に惜しくも敗北。2、3年時も日本一になることができず、チャレンジャーとして日本一へ挑むために早稲田大学への入学を決めた。しかし、順風満帆なフットボール生活が待っていたわけではなかった。1年生から3年生までの間はケガなどで試合にほとんど出場することができず、悔しい思いもたくさん経験してきた。それでも4年生になってからは本来の実力が発揮され、アメフトの楽しさを思い出した。

秋のシーズンを無敗でここまで来た早大BIG BEARS。甲子園ボウルでの相手はおそらく今までのどの対戦校よりも手ごわいであろう関学大だ。常に早大ディフェンスの中心にいる男が高校、大学での挫折を乗り越えて関学大の猛攻を食い止めてみせる。

 

記事:田部井駿平(早稲田スポーツ新聞会)
写真;早稲田スポーツ新聞会    http://wasedasports.com/

DB #26 間瀬琢巳 (4年)

今年のBIG BEARSは要所でディフェンス陣の好守が光った。そんな守備陣を一年間まとめてきたのは、ディフェンスリーダーであるDB間瀬琢巳だ。

間瀬は周りをしっかり見ることができる男だ。昨年は試合に出場するだけでなく、DBのSF(セーフティ)部門の主任も務めた。そこで培った広い視野をディフェンスリーダーとしても生かしてきた。勝負どころとピンチの場面で力を発揮するためにどうするべきか。そのためにどのようなユニットにしたいかという自分の考えをディフェンスに関わるメンバーにしっかりと伝え、ディフェンス全体を奮い立たせた。 

間瀬はSFの選手でありながらカバーやポジショニングなどのパスディフェンスの技術だけでなく、ヒットやタックルなど相手選手とのコンタクトにも強いオールマイティな才能をここまでの試合で発揮してきた。今季の秋季リーグ戦ではリーグ単独トップの4インターセプトを挙げるなど一人のプレイヤーとしても突出していることが成績にも表れている。特に1次リーグ第5節の中大戦では、前半からリードされる展開が続いた中、逆転直後のディフェンスでFG圏内まで攻められたチームを救う値千金のインターセプトを決めるなど言動だけでなく、プレーでもチームを引っ張ってきた。

間瀬は今シーズンが始まる前に『日本一』、そして宿敵・法大に勝とうが、甲子園ボウル出場を決めようが一喜一憂してそれを見失わないことを目標に掲げた。長い道のりの途中で喜びたくなる瞬間は何度もあっただろう。しかし、勝ちたい気持ち以上に「負けたくないという思いがある」と、現状に満足することなく、自らの刃を研ぎ続けてきた。『日本一』への道が途絶えてから一年。ようやく『日本一』への挑戦権を得たBIG BEARS。一年間我慢し続けてきた男である間瀬は甲子園で創部初の歓喜の渦に包まれるだろう。

 

記事:田部井駿平(早稲田スポーツ新聞会)
写真;早稲田スポーツ新聞会    http://wasedasports.com/

 

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