news「激突!!甲子園ボウル」~甲子園ボウルの魅力とは・・・

2022.12.17

 MBS制作スポーツ局で野球やラグビー、ゴルフなど様々なスポーツ現場に関わり、甲子園ボウルにも長く携わった宮前徳弘解説委員から寄稿頂きました。

タイトルはずばり、甲子園ボウルの魅力とは!〜



阪神甲子園球場に併設された、甲子園歴史館。

その中に、阪神タイガースや高校野球のコーナーと並んで、特別な存在感を示している一角がある。

アメリカンフットボール大学王座決定戦(現在は、全日本大学選手権決勝)、甲子園ボウルの歴史が彩られたコーナーだ。そこには、聖地で相まみえた歴代の出場校のユニフォームやヘルメットが飾られている。全国の高校球児が、甲子園に立つことを夢見るように、大学でアメリカンフットボールを志したものにとっても、甲子園は、まさに夢舞台なのだ。だからこそ、聖地には、とてつもないエネルギーと多くの人の思いが込められている。

わたしが、その凄さと重さを痛感したのが、毎日放送に入社した三十数年前、初めて、責任者として担当させていただいた「激突!!甲子園ボウル」という、甲子園ボウルに向かう両チームのシーズンを通しての足跡を追ったドキュメンタリー番組だった。

そこで目にしたのは、「甲子園ボウル」にたどり着くために、学生生活の大半をフットボールの向上にそそぎこむ選手たちの姿、寝る間も惜しんで彼らを全力でサポートする分析スタッフやトレーナーの奮闘。雨にうたれ、泥んこになりながらも、学生と汗をながすコーチ陣の熱情。人生をかけて、部員たちを甲子園に導こうとする熱き指導者の思いだった。

それだけではない。恐ろしいほどの時間と情熱を注ぎこみながらも、あと一歩のところで、甲子園への夢を絶たれたライバル校たちの執念も背負って、彼らは、甲子園のフィールドに立っていた。

それから、数十年、当時人気絶頂のボブ・サップさんに盛り上げをお願いして放送させていただいた王者関西学院大学の戴冠をはじめ、京都大学の連覇や、立命館大学の初優勝、日本大学の復活劇、試合中の映像を使って即座にCMを作成した関学対法政のラストワンプレーの明暗など、数多くのドラマに立ち会わせていただいた。

そんな時いつも感じていたのは、甲子園ボウルには、驚くほど多くの人の思いが込められているという事実。同時に、アメリカンフットボールは、本当の意味でのチームスポーツだということだ。

選手は勿論、コーチ陣やサポートスタッフ。ひいては、父兄やOB、チームにかかわるすべての人の思いが集まって、甲子園ボウルという至極の空間が形成されている。しかも、その勝敗は、あらゆる事態を想定して、一人一人が役割を果たし、まさに全員が一丸となって、とことんまで準備してきたチームが、はじめて栄冠を手にすることが出来る舞台になっている。

だからこそ、甲子園ボウルは、当時も今も、関西の学生スポーツの中で、最も集客力があるイベントとして輝き続けている。

77回を迎える今回の甲子園ボウル。

歴史が語るように、大学として、アメリカンフットボールにほとばしる情熱と、とてつもないエネルギーを注ぎ込こんできた関西学院大学KGファイターズと、部員200人、すべての入部希望者を受け入れ、3割を占めるアメフト未経験者とともに、膨大な時間と熱意をかけて、チームとしての一体感を熟成してきた早稲田大学ビッグベアーズが激突する。

今年は、どんな想いが激突するのか、どちらの準備が聖地で花開くのか、

夢舞台から目が離せない。

https://www.mbs.jp/news/column/charm-of-sports/

宮前徳弘(みやまえ・なるひろ) MBSスポーツ解説委員

1962年12月17日・兵庫県伊丹市生まれ(55歳)県伊丹高、慶大を経て86年に毎日放送に入社。
スポーツ局のディレクター、プロデューサーとしてスポーツ一筋32年入社以来スポーツ畑一筋。ソウル、アトランタ五輪、イタリアから日韓共催までサッカーW杯を4大会連続担当した。高校野球や高校ラグビー、プロ野球、Jリーグ、アメフットの甲子園ボウルなどあらゆる現場に携わってきた。