関西学生リーグで全勝優勝を果たした立命館大学パンサーズと、その立命に2週間前に敗れ2位となった関西学院大学ファイターズが対戦。リーグ戦では立命が関学を寄せつけず21-7で完勝したが、この試合は関学が立命のお株を奪う戦いぶりを見せ、34-3で快勝し、2年連続51回目の毎日甲子園ボウル出場を果たした。
「前の試合は開始3プレーでやられたので、できればオフェンスから開始しよう」(鳥内監督)と、コイントスで前半チョイスをした関学は、自陣25ヤードから攻撃を開始。
ファーストプレーは、パスの構えに出たQB#18西野(3年)に、立命のDL陣が強烈なラッシュを見せQBサック。12ヤードをロスさせられた。
前試合を思い出させる嫌なムードが漂ったが、2ndダウンでRB#34山口(3年)がボールを持つと2度のタックルを振りほどいて左サイドライン際を58ヤード走り抜け一気に敵陣29ヤードまで攻め込んだ。
ここからWR#6渡邊(2年)がモーションしてQB西野からハンドオフを受けると左オープンを走り4ヤードを前進。そしてQB西野がWR#11前田(泰・4年)へ短いパスを決めると、ブロックをうまく活かしそのままエンドゾーンまで走りこみTD。作戦が見事にはまり開始4プレーで先制点を奪うことに成功した。
関学は次の自陣18ヤードからのオフェンスで、QB西野からWR#84前田(耕・4年)へのパスを決めると、3rdダウン1からRB山口が中央付近を走り64ヤード独走。ゴール前8ヤードまで侵入した。
最後もRB山口が中央を突破しTD。1Q6分36秒で、早くも14-0とリードを広げた。
対する立命も自陣31ヤードからの攻撃で、QB#11西山(4年)がWR#14近江(4年)へのパスを決め敵陣に進入したが、QB西山がパスが関学DB#45畑中(2年)にインターセプトされ攻守交代となってしまう。
関学は自陣21ヤードからの攻撃。RB山口、WR渡邊、RB山口のランでハーフライン付近まで陣地を挽回すると、QB西野がWR#82中原(4年)へのパス、QB西野のカウンターランで敵陣36ヤードまで前進する。
ここからの3rdダウンでQB西野がパスの体型からスクランブル発進しダウン更新すると、交代出場したQB#10光藤(3年)からのパスをRB山口が右手ワンハンドキャッチしゴール前7ヤードまで攻め込む。
再びRB山口が中央を突破してTD。21-0と大きく突き放した。
前半のうちに何とか追いあげたい立命。前半残り4分51秒から開始した自陣40ヤードからの攻撃。
QB西山が4回連続パスを成功させ、自らもカウンターランを見せるなど敵陣26ヤードまで迫ったが、ここから投じたパスを関学DB#44松本にインターセプトされ、得点できないまま前半を終えた。
後半、自陣24ヤードからの立命。RB西村のランに続き、QB西山もカウンターランで右オープンを走るが、関学ディフェンスに強烈なタックルを浴びせられその場にダウン。このまま負傷退場となり、QBには#19荒木(2年)が急きょ起用される。
エースQBをケガで失った立命だが、QB荒木が自ら持って走り11ヤード、13ヤードを獲得し敵陣45ヤードに攻め入った。
ここからRB西村、#42立川らの力強いランでさらに前進すると、QB荒木がWR近江へのパスを決めゴール前15ヤードとした。
このチャンスにRB立川のランでエンドゾーンが近くなったが、RB西村へのスクリーンパスは関学のディフェンスの反応が早くノーゲインに。QB荒木のカウンターランもダウン更新には届かず、結局K#16多田羅が29ヤードのFGを成功させ、3点を奪うにとどまった。
直後のキックオフで立命はオンサイドキックを試みるが、関学がボールをリカバーし攻撃権を奪えなかった。
さらに立命、自陣23ヤードからの攻撃。QB荒木のドロープレー、RB西村のオフタックル付近のランで3rdダウン1ヤードとしたが、西村の中央のランは関学ディフェンスに阻まれ、勝負をかけた4thダウン1ヤードもピッチを受けた西村が関学ディフェンスの素早いタックルに突破することができず、ギャンブル失敗に終わった。
このディフェンス陣の踏ん張りで得た敵陣33ヤードからの関学。QB西野がスクランブルランで残り17ヤードとすると、さらにQB西野のロールキープ、QBドローでゴールまで6ヤード。
最後はQB西野からWR前田(泰)へのTDパスが決まり28-3とリードを広げた。
直後の立命は、自陣38ヤードから攻撃開始したが、QB荒木が関学DL今井(2年)にサックされボールをファンブル。これをDL寺岡(2年)がリカバーして攻守交代。
敵陣26ヤードからの攻撃となった関学はRB山口、QB光藤のランで前進し、WR前田(耕)がモーションからのハンドオフランでTDを奪い、34-3とし勝負を決めた。
関学の鳥内監督は「流れがこうなったらやっぱりこういうゲームになるねんな。うちは出来すぎ。向こうも前半にああなってしまうと、メンタルの立て直しも効かないし、我々はうまくいったけど、向こうは持っている力の半分も出せなかったのでは」と、立ち上がりの展開を振り返る。「この2週間、4年には今日負けたら引退やと言い続けたし、下級生には4年を手伝ったれと言ってきた。最後の最後で、今年のスローガンやった“CHANGE”ができたんとちゃうかな」と、やり切った選手を高く評価していた。
一方、立命の米倉監督は「全部の責任は僕にある。選手は主将の近江を中心に1年よく頑張ってくれた。2週間前に勝ってのこの敗戦。僕の責任です」と、言葉少なだった。
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記事;江田政亮(スポーツライター)
写真;P-TALK
http://www.p-gallery.jp/stm_shimizu.html
編集;畠中隆好(officeNEAR/甲子園ボウルPJT)