QB #4 谷口雄仁(4年)
「WRとRBを信じてその場所にパスするだけ」。仲間を信じ、谷口雄仁は甲子園の舞台に立つ。 上級生として迎えた今年のシーズン。秋季は初戦となった慶大戦から全試合に出場した。慶大戦こそ後半に追い上げを許したが、ここから1試合ごとに課題を修正していった。そしてリーグ優勝を決めた第6節の中大戦では、これまでの試合経験を生かし、谷口の魅力を遺憾なく発揮した。 高校時代は法政大学第二高等学校でプレー。ともに戦ってきた主将の滝沢叡は谷口を「攻めたところに投げる強心臓の持ち主」だと表現する。また、プレー面だけでなく当時からチームメイトとのコミュニケーションも積極的に取ってきた。「QBは1人しか出られないからこそ見える景色がある」。周囲に意識を配り、後輩にも積極的に前に出てもらうように促すなど、普段から統率力が優れていることもうかがえる。思い通りに投げられる試合ばかりではなかったが、高校から大学と競技を続ける中で、危なげないQBへと成長していった。
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RB #7 新井優太
「法政のエースと呼ばれる存在になる」。法政ORANGE副将・新井優太が目指すプレイヤー像である。RBとして相手選手にタックルされながらもボールを運び、最終的にはTDまで持っていく。「自分がチーム1のRBになることで、法政が日本一に近づく」という強い覚悟と責任のもとで、2年前の忘れ物を取り返すべく、新井は甲子園ボウルの舞台へと帰ってきた。 |
OL #77 上岡陽輝 (3年) ボールを扱うスポーツにおいては、やはりボールを持っている者へと自然に注目が集まる。アメフトにおいても、QBやRB、WRなど得点に直接絡むポジションにどうしても目が奪われがちだ。しかし、そんな攻撃陣を陰から引っ張る存在がOLである。ボールを持つことはないが、法政ORANGE選りすぐりの屈強な男たちがラインを組み、攻撃へのきっかけを作り出す。その中心を担う3年・上岡陽輝はOLの魅力を「大男たちがぶつかり合う迫力」だと語る。 |
DB #34 長島祐作(4年)
法大守備陣の中心、長島佑作。彼の武器は、試合の流れを大きく手繰り寄せるインターセプトとパスディフェンスだ。頭角を現したのは3年の秋。立大戦でチーム内ディフェンスMVPに選ばれると、早大戦では自陣ゴール前でチームを救うインターセプトを決めた。インターセプト3回は1部TOP8・2位タイとなり、堂々の成績を収めた。 確かな自信と実力を掴み、臨んだ大学ラストシーズン。6月に行われた関西大学との試合では、ゲームキャプテンに任命され、チームからの信頼も掴み取った。「ラストシーズンでは最高学年としての責任や重圧から守ったプレーをしてしまいがちですが、攻めたプレーをし続けることが勝利に近づく最も重要なこと」。この言葉通り、長島はリーグ戦で積極的なプレーをし続ける。 初戦となった慶大戦でいきなりインターセプトを1つ記録。持ち味を発揮しチームの勝利に貢献すると、第2戦の立大戦では、自身が「1番印象に残っている」と語ったビッグプレーが飛び出す。互いに攻め手を欠き、TDが中々取れない展開のなか、6対3と法大リードで迎えた終盤。1TDを取られたら負けの場面で、低い弾道のパスを相手WRが弾いたところに反応。見事にインターセプトを決め、チームを勝利に導いた。その後も攻めたプレーを披露し続け、最終的にはインターセプト3回、パスディフェンス3回を記録したほか、ロングスナッパーとしてもスナップをミスなく供給し、キッキングゲームを支えた。チームの関東王者返り咲きに貢献した活躍が認められ、「選手として目指していた」リーグ戦最優秀選手に選出。法大からは2年ぶり17人目、DBの選手としては初受賞となった。 「1試合1試合、1プレー1プレーと目の前のことに全力で取り組んだ」姿勢が報われた結果となった。積み重ねたインターセプトは昨年も今年も3つ。4年間の集大成となる甲子園舞台で、自身最多となる4つ目のインターセプトを決められるか。法大17年ぶりの日本一の鍵を握る。 |
LB #3 川村智紀(4年) ディフェンス陣は、4年生LB川村智紀にも注目したい。法政大学第二高等学校出身で、高校3年次からはスピードとヒットに磨きがかかり、同級生の滝沢は「味方ながら手をつけられなかった」と振り返る。大学入学後はDBに転向し、2年次まで務めた。しばらくはコロナ禍により思うような練習ができなかったが、部でのオンライントレーニングだけでなく、自分で時間を見つけて筋力トレーニングを行うなど、体力を落とさないように考えながら取り組んできた。その結果、秋季リーグ戦を前に期待のルーキーとしてスタッフから名前が挙がるなど、実力が期待される存在となった。 最終学年として迎えた今季はディフェンスリーダーとしてチームを支える。『ATTACK ON』を今年のディフェンステーマとして掲げ、全員で成長を遂げてきた。実際、リーグ戦を経てボールキャリアに対する集まりも速くなっている。第5節の明大戦では、1stダウンで待ち構えていた川村がタックルすると、DL山田晋義らもすぐに集まり大きくは進ませず。普段からコミュニケーションを密にとるからこそできるプレーで、ディフェンス陣の強みが発揮された瞬間だった。シーズンを終え、川村も攻めのプレーで3.5回のロスタックルを記録。副将の伊藤右徳は「DBを経験していたからこそのパスカバーの広さ」を良さとして挙げた。しかし本人は甲子園を前に、「まだまだ攻め足りない」と満足していない。 「法政ディフェンスは日本一格好いい」。そう思ってもらえるようなプレーをすると力強く意気込んだ。また、同じディフェンス陣には切磋琢磨してきた一学年下の弟・川村達哉がいる。もともと兄・智紀が背負っていた33番の背番号は、弟・達哉に引き継がれ、ともに二度目の甲子園ボウルに挑む。 |
LB #9 鵜澤祐貴 (4年) 2年前の甲子園を「二度のアウトオブバウンズを犯してしまい、とても不甲斐なかった」と振り返るのは、4年生DBの鵜澤祐貴。2年次まではチーム事情によりディフェンスとしての出場機会に恵まれず、キッカーとして専念。悔しい思いはもちろんあったが、腐らずに自分にできることを考えた。また、フィジカルを強化するため、日々トレーニングに励んだ。 最終学年として迎えた今季。キッカーとして、そしてディフェンスとして多くの試合に出場すると、守備範囲の広さから『チームの守備の要』とまで言われるように。「昨年よりも自分サイドに来るプレーが少なかった」と振り返るも、少ないチャンスを生かし、アグレッシブなプレーを見せた。第6節の中大戦では、LB須藤晟也がパスディフェンスをしたボールをキャッチし、インターセプト。見事な連携プレーにより攻撃の機会を与えず、リーグ優勝を決定づけた。 そして準決勝、東北大との一戦でも、鵜澤のプレーが光った。 2年越しにリベンジの機会を迎えた今年の甲子園。これまでに味わったさまざまな思いを胸に、全てをぶつける準備は整った。「キックとディフェンスの二刀流でチームに貢献したい」。4年間で進化したマンツーマンディフェンスを武器に、雪辱を果たすべく、関学大に挑む。最後の一試合、鵜澤にとって最高の一試合として終えられるよう、思い切りプレーしてほしい。 |