east02関東代表注目選手

東日本代表・法政大学ORANGE


QB #4 谷口雄仁(4年)

「WRとRBを信じてその場所にパスするだけ」。仲間を信じ、谷口雄仁は甲子園の舞台に立つ。
1年次からQBとして試合経験があった谷口。2年次の春季には初めて1試合を通じて試合に出場し、健闘を見せるも敗戦。「1年生のときの戦い方ではダメだ」と気がついたという。プレーを見つめ直し、谷口の良さであるチャレンジ精神を残しつつもチームを勝たせる考え方にシフトした。

上級生として迎えた今年のシーズン。秋季は初戦となった慶大戦から全試合に出場した。慶大戦こそ後半に追い上げを許したが、ここから1試合ごとに課題を修正していった。そしてリーグ優勝を決めた第6節の中大戦では、これまでの試合経験を生かし、谷口の魅力を遺憾なく発揮した。
1Qからこの日最長となる63㍎のパスを成功させ先制すると、2Qでも2つのタッチダウンパスを成功させるなど大活躍。前半で20-0とリードし、チームの優勝を決定づけた。「ターンオーバーされること」を自身の課題として挙げていたが、中大戦ではゼロに抑え、試合後にはチーム内のオフェンスMVPに選出された。
相手がどこであれ冷静に全体を見てパスをする。そしてスクランブルが必要なときは即座に選択する。QBのあるべき姿を体現したことで、シーズンを通じて7つのタッチダウンパスを成功。リーグ戦を終え、TOP8の個人ランキングでは見事1位に輝いた。

高校時代は法政大学第二高等学校でプレー。ともに戦ってきた主将の滝沢叡は谷口を「攻めたところに投げる強心臓の持ち主」だと表現する。また、プレー面だけでなく当時からチームメイトとのコミュニケーションも積極的に取ってきた。「QBは1人しか出られないからこそ見える景色がある」。周囲に意識を配り、後輩にも積極的に前に出てもらうように促すなど、普段から統率力が優れていることもうかがえる。思い通りに投げられる試合ばかりではなかったが、高校から大学と競技を続ける中で、危なげないQBへと成長していった。
今季の集大成。昨年よりひと回りもふた回りも成長した谷口は、これまでの試合経験を生かし、クレバーなプレーで法大を勝利へ導く。


記事:芦川有(スポーツ法政)
写真:スポーツ法政
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RB #7 新井優太

「法政のエースと呼ばれる存在になる」。法政ORANGE副将・新井優太が目指すプレイヤー像である。RBとして相手選手にタックルされながらもボールを運び、最終的にはTDまで持っていく。「自分がチーム1のRBになることで、法政が日本一に近づく」という強い覚悟と責任のもとで、2年前の忘れ物を取り返すべく、新井は甲子園ボウルの舞台へと帰ってきた。
大学入学当初はQBとして選手生活を送ってきた。しかし、2年生へと上がる際にRBへと転向。チーム事情を考慮してのコンバートではあったが、「自分のQBとしての実力不足の面が大きかった」と当時を振り返る。しかし新井はすぐに、新たなポジションで輝きを放つ。同年の東日本代表決定戦では、東北大学を相手に2本のTDを奪う活躍をみせ、MVPに選ばれた。さらなる飛躍が期待された昨シーズンであったが、出場機会にも恵まれず思うような成績が残せなかった。
そして迎えた最後の1年。「僕がチームを先導する立場になって、チームを勝たせたい」という強い気持ちで副将へも就任し、自身のプレーだけでなくチーム全体のことを考えることも増えた。春シーズンは、チームとして結果はなかなか振るわなかったものの、新井は「チーム力を高めるという点においては充実したシーズンだった」と振り返る。しかし個人としては怪我に泣かされた。大学入学以降、長期離脱をしてこなかった新井にとっては初めての経験。それでも悲観することはなく、「幹部としてだけでなく、一部員としてチームを客観的に見るいい時間だった」と、副将として外からチームを見て感じたことを積極的に仲間と共有しながら、春の悔しさを糧に地道にリハビリにも向き合ってきた。
勝負の秋シーズンは、怪我の状態を見ながらではあるものの徐々に出場時間を伸ばしていった。今季のターニングポイントとなったリーグ第3節の立大戦では、第4Q残り40秒からチームの勝利を決定づけるランプレーをみせると、次節以降も安定したパフォーマンスを発揮する。そして最終節の早大戦、チームとしては黒星を喫し全勝優勝を逃したものの、待望のこの秋初のTDランも決めた。
「セカンドエフォート」と呼ばれる、相手ディフェンス陣にタックルされてもさらにヤードを稼ぐことを武器とする新井。彼が奪う1ヤードの前進は、間違いなくチームを優勝へと導く1歩に繋がるはずである。さぁ、大学アメフトの集大成を見せる時。その走りで2006年以来閉ざされた優勝の扉をこじ開けろ!

記事:野田堅真(スポーツ法政)
写真:スポーツ法政
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OL #77 上岡陽輝 (3年)

 ボールを扱うスポーツにおいては、やはりボールを持っている者へと自然に注目が集まる。アメフトにおいても、QBやRB、WRなど得点に直接絡むポジションにどうしても目が奪われがちだ。しかし、そんな攻撃陣を陰から引っ張る存在がOLである。ボールを持つことはないが、法政ORANGE選りすぐりの屈強な男たちがラインを組み、攻撃へのきっかけを作り出す。その中心を担う3年・上岡陽輝はOLの魅力を「大男たちがぶつかり合う迫力」だと語る。
上岡自身も180㎝、115㎏と恵まれた体格を生かし、相手DLと真っ向からぶつかっていく。この秋のベストプレーを聞くと、「立大戦(リーグ戦第3節)で、相手DLを青天(青天井:相手を吹き飛ばすこと)させたこと」とOLの魅力が存分に溢れたプレーを挙げてくれた。また、目の前の敵を止めることに加え、5人一組で動くポジションであるOLは選手間の連携力も求められる。「昨年からスタメンが大きく変わったが、一戦一戦試合経験を積むごとに個人としてもユニットとしても大きく成長できている」自分自身だけでなく、ユニットとしての春からの成長にも手ごたえを感じている。
 そんな上岡の選手としての強みを聞くと、「細かいステップワークと速いプレースピードを見ていて欲しい」とタックルをする前の動きの部分に自信を持っていた。一つ一つの繊細なステップで対面DLのタイミングをずらし、相手よりも有利な態勢が作ることができた瞬間にすぐさまタックルを仕掛ける。一瞬のぶつかり合いが重要となるOLにおいて、彼の長所は相手DLを圧倒するための大きな武器となる。甲子園ボウルの舞台でも、大きな体から繰り出される細かい足さばきとスピードに要注目だ。
 王者・関西学院大学の6連覇を阻むため、「相手の空気に飲み込まれず、法政らしいプレーしたい。そして自分がオフェンスをけん引して、OLで勝つ」と力強く意気込みを語ってくれた上岡。今年一年、日本一の称号に向けて汗を流してきた仲間と共に挑む最後の戦い。見せてやれ、法政OLのその力を。ORANGEの攻撃は俺たちが引っ張る。


記事:
野田堅真(スポーツ法政)
写真:スポーツ法政
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DB #34 長島祐作(4年)

法大守備陣の中心、長島佑作。彼の武器は、試合の流れを大きく手繰り寄せるインターセプトとパスディフェンスだ。頭角を現したのは3年の秋。立大戦でチーム内ディフェンスMVPに選ばれると、早大戦では自陣ゴール前でチームを救うインターセプトを決めた。インターセプト3回は1部TOP8・2位タイとなり、堂々の成績を収めた。

確かな自信と実力を掴み、臨んだ大学ラストシーズン。6月に行われた関西大学との試合では、ゲームキャプテンに任命され、チームからの信頼も掴み取った。「ラストシーズンでは最高学年としての責任や重圧から守ったプレーをしてしまいがちですが、攻めたプレーをし続けることが勝利に近づく最も重要なこと」。この言葉通り、長島はリーグ戦で積極的なプレーをし続ける。

初戦となった慶大戦でいきなりインターセプトを1つ記録。持ち味を発揮しチームの勝利に貢献すると、第2戦の立大戦では、自身が「1番印象に残っている」と語ったビッグプレーが飛び出す。互いに攻め手を欠き、TDが中々取れない展開のなか、6対3と法大リードで迎えた終盤。1TDを取られたら負けの場面で、低い弾道のパスを相手WRが弾いたところに反応。見事にインターセプトを決め、チームを勝利に導いた。その後も攻めたプレーを披露し続け、最終的にはインターセプト3回、パスディフェンス3回を記録したほか、ロングスナッパーとしてもスナップをミスなく供給し、キッキングゲームを支えた。チームの関東王者返り咲きに貢献した活躍が認められ、「選手として目指していた」リーグ戦最優秀選手に選出。法大からは2年ぶり17人目、DBの選手としては初受賞となった。

「1試合1試合、1プレー1プレーと目の前のことに全力で取り組んだ」姿勢が報われた結果となった。積み重ねたインターセプトは昨年も今年も3つ。4年間の集大成となる甲子園舞台で、自身最多となる4つ目のインターセプトを決められるか。法大17年ぶりの日本一の鍵を握る。

記事:白戸大貴(スポーツ法政)
写真:スポーツ法政
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LB #3 川村智紀(4年)

ディフェンス陣は、4年生LB川村智紀にも注目したい。法政大学第二高等学校出身で、高校3年次からはスピードとヒットに磨きがかかり、同級生の滝沢は「味方ながら手をつけられなかった」と振り返る。大学入学後はDBに転向し、2年次まで務めた。しばらくはコロナ禍により思うような練習ができなかったが、部でのオンライントレーニングだけでなく、自分で時間を見つけて筋力トレーニングを行うなど、体力を落とさないように考えながら取り組んできた。その結果、秋季リーグ戦を前に期待のルーキーとしてスタッフから名前が挙がるなど、実力が期待される存在となった。

最終学年として迎えた今季はディフェンスリーダーとしてチームを支える。『ATTACK ON』を今年のディフェンステーマとして掲げ、全員で成長を遂げてきた。実際、リーグ戦を経てボールキャリアに対する集まりも速くなっている。第5節の明大戦では、1stダウンで待ち構えていた川村がタックルすると、DL山田晋義らもすぐに集まり大きくは進ませず。普段からコミュニケーションを密にとるからこそできるプレーで、ディフェンス陣の強みが発揮された瞬間だった。シーズンを終え、川村も攻めのプレーで3.5回のロスタックルを記録。副将の伊藤右徳は「DBを経験していたからこそのパスカバーの広さ」を良さとして挙げた。しかし本人は甲子園を前に、「まだまだ攻め足りない」と満足していない。

「法政ディフェンスは日本一格好いい」。そう思ってもらえるようなプレーをすると力強く意気込んだ。また、同じディフェンス陣には切磋琢磨してきた一学年下の弟・川村達哉がいる。もともと兄・智紀が背負っていた33番の背番号は、弟・達哉に引き継がれ、ともに二度目の甲子園ボウルに挑む。
いざ、『ATTACK ON』の体現へ。シーズンを通じてさらに磨きをかけたボールへの執着心を胸に、ディフェンスリーダーとして、また兄として、『日本一の法大ディフェンス』陣を率いる。

 
記事:芦川有(スポーツ法政)
写真:スポーツ法政
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LB #9 鵜澤祐貴 (4年)

2年前の甲子園を「二度のアウトオブバウンズを犯してしまい、とても不甲斐なかった」と振り返るのは、4年生DBの鵜澤祐貴。2年次まではチーム事情によりディフェンスとしての出場機会に恵まれず、キッカーとして専念。悔しい思いはもちろんあったが、腐らずに自分にできることを考えた。また、フィジカルを強化するため、日々トレーニングに励んだ。
努力を重ねた結果、昨季は1回のインターセプトと5回のロスタックルを記録。上級生として後輩に背中で示すほどに成長していった。

最終学年として迎えた今季。キッカーとして、そしてディフェンスとして多くの試合に出場すると、守備範囲の広さから『チームの守備の要』とまで言われるように。「昨年よりも自分サイドに来るプレーが少なかった」と振り返るも、少ないチャンスを生かし、アグレッシブなプレーを見せた。第6節の中大戦では、LB須藤晟也がパスディフェンスをしたボールをキャッチし、インターセプト。見事な連携プレーにより攻撃の機会を与えず、リーグ優勝を決定づけた。

そして準決勝、東北大との一戦でも、鵜澤のプレーが光った。
2Q。東北大の攻撃で流れが傾きつつあったが、ここでまさかのファンブル。チャンスで鵜澤が反応しリカバーすると、追ってくる東北大を振り切りそのままタッチダウン。嫌な流れを断ち切り、チームに勢いをもたらし、決勝へと駒を進めた。

2年越しにリベンジの機会を迎えた今年の甲子園。これまでに味わったさまざまな思いを胸に、全てをぶつける準備は整った。「キックとディフェンスの二刀流でチームに貢献したい」。4年間で進化したマンツーマンディフェンスを武器に、雪辱を果たすべく、関学大に挑む。最後の一試合、鵜澤にとって最高の一試合として終えられるよう、思い切りプレーしてほしい。

記事:芦川有(スポーツ法政)
写真:スポーツ法政
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