west02関西代表注目選手

関西代表・関西学院大学ファイターズ


WR #4 鈴木崇与(4年)


1番にこだわり続ける男がいる。WR鈴木崇与は、1年時から試合に出場。関学の誇れるレシーバーとしてオフェンスを扇動してきた。しかし、最上級生となり思うようにはいかなかった今シーズン。振るわない結果に「ただ悔しかった」。泣いても笑っても残るは最後の戦い。エースレシーバーとしてファイターズを王者へのし上げる。

 出身は箕面自由学園高。高校3年時は主将を務めた。「スポーツをやっている以上、1番を目指したい」。日本一のチームで日本一の選手になるために関学へと入学。下級生にも関わらず出場機会を獲得した。のびのびとプレーし、チームの勝利に献上。いつしか鈴木は必要不可欠な存在となった。

ついに迎えた最終学年。このまま波に乗りたいところだったが、順風満帆にはいかない。春シーズンはけがに悩まされ、満足のいくプレーができず。「最上級生になって、オフェンスの不振を自分が何とかしなければと痛感していた」。それでも気持ちでは絶対に負けない。焦りではなく「やってやろう」とポジティブに捉え、常に向上心を持ち続けた。秋シーズンからは、けがから完全復帰し自身の真価を示す時が。高く打ち上げられるロングパスも逃さずキャッチ。確かな実績を残したが、最終学年としての責任は重かった。「得点にはつながらず、自分としてはもどかしい結果」と課題に直面。特に関大戦ではディフェンス陣が奮闘したものの、与えられたチャンスを生かせなかったことを振り返った。そして、彼の持ち味である球際のプレーが発揮できぬまま関西リーグが終了。大栄進は最終戦へ持ち越しとなった。

日本一のレシーバーになる時がきた。鈴木は入部時から「日本一の選手になる」と明確な目標を掲げている。「甲子園で1番活躍して優勝したい」。そのためには、すべてを懸けて法大に挑む。あと1歩。最後にチームを栄光に導くのは鈴木だ。

記事:梶原  京(関西学院大学体育会学生本部編集部・関学スポーツ)
写真;関西学院大学体育会学生本部編集部・関学スポーツ
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RB #7 前島仁(4年)

甲子園で返り咲く。持ち味のスピードで相手を圧倒する絶対的エース、RB前島仁。勝負の場面で決め切る力は誰にも負けない強さだ。昨年度の甲子園ボウルでは自身のランで3タッチダウンを挙げ、MVPを受賞。この勢いでラストイヤーも駆け抜けたいところ、彼のアメフト人生は突如変わることに。「今までで1番の挫折を味わった」。前島は秋シーズン第5節・京大戦前にけがを負う。立命大戦に照準を合わせ臨むも、症状は悪化。学生最後の年は、悩み苦しむ期間が続いた。

関西単独優勝を懸けて挑んだ関大戦。「負けたことへの悔しさとこの試合に出られなかったことへの悔しさ両方があった」。自分のプレーでチームを勝利に導けなかったことは彼にとって一生の後悔に。だが、再び与えられたチャンス。「もう1度走ることができる」。次があることの喜びは、確かに心の中にあった。様々な感情が入り交じった最終戦だったが、前島は既に前へ進んでいる。

秋シーズン、「DOMINATE」をスローガンとして掲げてきたファイターズ。「試合が進むにつれ、納得のいかない結果になってしまっている」。1番良かった試合は秋リーグ初戦の龍大戦。そこからなかなか自分たちのやりたいことを体現できず、不穏な空気が漂った。副将としてチームをどうつくっていけばいいのか。負けを知らない代だからこそ、幹部として悩む時期が多かった。しかし、まだ戦いは終わっていない。チームとしても自身としても、闘志を燃やし最終決戦へ向かう。

「今年度、まだ良かったところはない」。昨年は輝かしい結果で一際存在感を放った前島。学生として最後の戦いが迫り来る今、本領を発揮することはできていない。「関学が1位で間違いなかったと言われる試合をつくる。それをけん引するのが自分でありたい」。多くの壁を乗り越えてきた彼が、日本一に懸ける思いは誰よりも強いものだ。10年間の集大成をランで見せることはできるのか。いざ、甲子園ボウルへ。最後の大舞台で返り咲き、彼が必ずや圧倒をつくり上げる。

記事:藤本 実耶(関西学院大学体育会学生本部編集部・関学スポーツ)
写真;関西学院大学体育会学生本部編集部・関学スポーツ
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QB #15 鎌田陽大 (4年)

ラストイヤーに懸ける気持ちは熱かった。強肩を生かしたロングパスでチームを数多くの勝利に導いてきたQB鎌田陽大。下級生からエースQBとして試合に出場し、信頼や期待を寄せられる選手に。しかし、彼のアメフト人生は順風満帆なものではなかった。最上級生になり、今まで以上にのしかかる責任。出場機会は与えられるも、なかなか納得いく結果は出せずにいた。「オフェンスで勝ったと言われるゲームを」と常に心掛けていた秋シーズン。だがそう簡単にうまくはいかず、チームとしても自身としても悔しさが残る結末となった。

努力を惜しまない。鎌田はスキルアップを果たすべく、誰にも負けぬ練習量で自身を追い込んできた。過去の先輩には「練習しすぎやろ」と言われるほど。この成果を結果に残したいところだったが、迎えた秋リーグ最終節・関大戦。「自分が敗北に導いてしまった」。強気なプレーを見せるものの、勝利をつかむことはできず。試合後は様々な感情が入り交じり、目から涙が溢れた。だが、幸運にも再び与えられたチャンス。気持ちを切り替え、前に進み続ける。

抽選の時間は何も考えられなかった。最後はLB海﨑琢主将が1位相当を引き、甲子園ボウルへの切符を獲得。「彼には感謝しかない。今回も尻拭いしてもらう形になった」。普段から、鎌田をよく気にかけていた海﨑。精神面で支えられる部分は大きかった。「最後こそオフェンスで圧倒して、キャプテンにも恩返しをしたい」。これまでの感謝を活躍で返すことを誓った。

DOMINATEを実現するラストチャンスだ。まだ圧倒したと言えるゲームはできていないファイターズ。最後の大舞台で輝くためにも、ここで下を向くわけにはいかない。「もう守るものは何もない。やっぱり『関学だな』と言われる試合をつくる」と鎌田は意気込んだ。4年間の取り組みが間違いではなかったということを証明するため、人生すべてを懸けて戦う。覚悟を決めた彼のプレーに刮目(かつもく)せよ。

 記事:藤本  実耶(関西学院大学体育会学生本部編集部・関学スポーツ)
 写真;関西学院大学体育会学生本部編集部・関学スポーツ
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DB #25 中野遼司(3年)


どんな時も粘り強く取り組んできた。関学のディフェンスに欠かせない存在であるDB中野遼司。彼の強さの秘訣は、圧倒的な準備量と徹底した対策だ。積み重ねてきた努力を生かし、どんな相手にも物怖じしない強気な姿勢でチームを勝利へと導いていく。

関西学院中学部に入学した当初は、ずっとやってきた水泳を続けようと思っていた中野。「関学といえばアメフトだ」。その一言をきっかけに彼の人生は大きく変わることに。タッチフットボール部から始まり、実に9年間続けてきたアメリカンフットボール。「甲子園ボウルで活躍することは中学の頃からの夢」。長年ファイターズへ抱いていた思いは、少しずつ現実に近づいた。

昨年度の秋リーグでは、全試合にディフェンスメンバーとして出場。インターセプトやタッチダウンを数多く成功し、飛躍の1年となった。「とにかくがむしゃらだった」と当時を振り返る。試合中のミスはいくつかあったが、臆することなく思いきりの良いプレーをしていた。そんな中、今年度は「昨年の自分を越えるような活躍がしたい」と意気込む。しかし、シーズン序盤は、思うような結果を出すことができなかった。タックルが決まらず、自身のミスが失点につながったことも。奮闘の日々が続く中、中野は折れることなく練習を重ねる。OBの選手に付きっきりで指導してもらったり、自分のプレーを何度も見返したりといつでも全力を尽くしてきた。その甲斐あって、秋リーグ第6節・立命大戦では、2度のインターセプトに成功、1つはリターンタッチダウンに持ち込んだ。続く関大戦でも、自分の役割を全う。「1番良い状態でビッグゲームを迎えることができた」と中野。今までの努力が遂に実を結んだ瞬間だった。

「相手に合わせるのではなく、自ら仕掛けるプレーを」。ディフェンスだからといって、後手に回るつもりは全くない。相手の動きを見極め、自分でゲームをつくっていく。1度は諦めかけた日本一という目標。再びチャンスを手に入れた今、中野が恐れるものは何もない。絶え間ない努力を続けてきた彼が、必ずや関学に勝利をもたらしてくれるだろう。

記事:前田 桜奈(関西学院大学体育会学生本部編集部・関学スポーツ)
写真;関西学院大学体育会学生本部編集部・関学スポーツ
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LB #41 海崎琢(4年)


勝ちへの執念、日本一に懸ける思いは誰よりも強い。今シーズン、ファイターズの主将としてチームをけん引してきたLB海﨑琢。周りからの人望が厚く、誰もが信頼を置く存在であり続けた。

兄をきっかけにアメフトと出会った海﨑。小学1年生より池田ワイルドボワーズに所属し、アメフト人生の幕が開ける。当初は様々なポジションにトライし、多くの経験を積んだ。そして高校では箕面自由学園に進学し、3年時には副将を務めるほどに。「プレーで引っ張ることを意識した1年だった」と当時を振り返る。プレーはもちろん、人間としても大きく成長を遂げた12年間だった。

「日本一になりたい」。高校時に経験できなかった景色を見るため、関学への入学を決めた海﨑。それとは別に、特別な思いを秘めていた。「3つ差の兄とは、小中高と一緒にプレーできなかったので、その夢を叶えたい気持ちも大きかった」と振り返る。しかし、そのためには初年度から激しい競争を勝つ抜く必要があった。厳しい状況が分かっていた中でも、彼は臆することなく1年生ながら活躍を見せる。そして、甲子園の舞台で兄と同じフィールドに立つ夢を実現してみせた。

迎えたラストイヤーは、監督から主将を打診される。「本当に自分で良いのか。日本一へ導けるのか」。簡単に決断できるものではなく、当時は己が抱える不安な気持ちを隠せなかった。いざ自身の役割を任されるが、慣れないことばかり。「周りからのいろんな意見がある分、決断する立場として、どれを尊重するべきなのかを選別することは苦しかった」。ファイターズの頂点に立つ者に降りかかる、さまざまな試練。主将としての真価が問われ続けた。

ファイターズを日本一に導く時だ。1度は閉ざされかけた甲子園ボウルへの道を、自身の手で取り戻した海﨑。部活外での取り組みやチームを勝たせたいと思う気持ちの強さが、彼にチャンスを呼び込んだ。だが、もう運など必要ない。最高のプレーを出し切るだけだ。「昨年度、自分は甲子園ボウルに出場ができなかった。この悔しさを背負いつつ、チームに貢献するビッグプレーを起こしたい」。秋シーズンでは納得のいくプレーを体現できなかった海﨑。残された最終戦に懸ける思いは誰よりも強いだろう。チームとしても個人としても、「DOMINATE」を。甲子園のフィールドにて、一際の輝きを放つ時が来た。

記事:佐藤  尚樹(関西学院大学体育会学生本部編集部・関学スポーツ)
写真;関西学院大学体育会学生本部編集部・関学スポーツ
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DL #93 トゥロターショーン礼 (4年)

フィールドで異様な空気を醸し出す男がいる。昨年度から大活躍のDLトゥロターショーン礼は、今春からのリハビリ期間を終え、リーグ第6節・立命大戦より電撃復活。持ち前のスピードで相手を圧倒、チームに大きく貢献した。甲子園に向けて最後の調整を重ねている中「必ず活躍したい」と気合いは十分。聖地でも彼の大成した姿を見逃せない。

新型コロナウイルスでの練習休止期間が明け、やっと練習ができると意気込む最中、けがに見舞われた。実に2年間の長いリハビリ期間。練習や試合を見ていても「アメフトを観戦している気分になった」。それでもトゥロターは選手としての復帰を諦めず、ひたすら治療に専念。地道なリハビリの末、3年時の秋リーグ第4節・神大戦にて再起を果たした。復帰を果たすと、次々にビッグプレーを連発。大舞台でも弱気にならず、持ち前のスピードでチームを勝利に導いた。圧倒的なプレーが評価され、関西学生ベストイレブンに入選。さらには、チャックミルズ杯も獲得した。「長い間出場できなくても活躍できると証明できた」と語るトゥロター。これまでの形にならなかった努力が実を結んだ瞬間だった。

それでも思うようにはいかない。4年の春に再び負傷。体と幾度も話し合い、ラストイヤー初戦を秋リーグ第5節・立命大戦に迎えた。半年のブランクがある中でもロスタックルを量産。けがからの復活戦とは思えぬプレーを見せつける。最終戦・関大戦では、相手から強度なブロックをかけられるも、要所で決め切り相手QBへとプレッシャーを与えた。

ついに学生最後の一戦が訪れる。幸運にもつかんだ最後のチャンス。対する法大はフィジカルの強いOLがトゥロターの前に立ちはだかる。入部時の夢でもある「甲子園ボウルで、えげつないプレーをして観客を沸かせる」ことはできるのか。彼のすべてを懸けた戦いに必見だ。

記事:梶原  京(関西学院大学体育会学生本部編集部・関学スポーツ)
写真;関西学院大学体育会学生本部編集部・関学スポーツ
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