絶対王者・関学大を破って、甲子園へと堂々の帰還。2006年以来となる日本一の栄光へ向けて、法政ORANGEの今季の集大成をみせる時がやってきた。
「楽しむことももちろん大事なことだが、フットボールプレイヤーの根本にある勝利へのプライドは忘れずにやっていきたい」。主将/DL・山田晋義(4年)が、昨年の甲子園ボウルで関学大に敗れた直後(当時は副将)、インタビューで語った言葉である。そこからチームスローガン『NO fear, NO limits』を掲げ、恐れることなく、自分たちで限界を決めることなく、『勝利への執念』を大切に走り続けたこの1年。彼がこだわり続けたチーム作りは、最高の結果でフィナーレを迎えようとしている。
今季秋は9戦負けなしと順調に来ているが、春季は試行錯誤の期間であった。法政ORANGEと同じくTOP8に所属する明治大、今季関西リーグ3位の関西大とのオープン戦ではいずれも敗戦。そして、甲子園ボウルで対戦する立命館大にも敗北を喫した。副将/OL・牧野海舟(4年)も「勝利を積み重ねられなかったことが1番大きい」と振り返る。それでも、矢澤正治ヘッドコーチを中心にこれまでのスタイルを見直しながら挑んだ春シーズン。秋へ向けての確かな手応えも掴み、大きなけが人が出ることもなく、チームは秋本番へと向かっていった。
迎えた秋。試合を重ねるごとにチームは成長し、開幕4連勝でTOP8の首位を快走。そして5戦目に、同じく開幕から4連勝の早稲田大を相手にこの秋のターニングポイントともいえる試合が。第1Qから宮﨑航也(4年)、阿部賢利(2年)の両WRのTDで試合序盤から主導権を握ると、試合後半は相手オフェンス陣の猛攻を凌ぐ展開に。DL・川村達哉(4年)、LB・髙橋和音(4年)など4年生ディフェンス陣が意地の守りをみせ、16-13で勝利。3年ぶりの宿敵からの勝利に、満員の法政ORANGEスタンドも大盛り上がりだった。そこから勢いに乗り、終わってみれば7戦無敗での関東王者の座に君臨。日本一までマジック『3』とし、選手たちは次なるステージへと駒を進めた。
全日本選手権準々決勝は中京大に快勝し、勝てば2年連続の甲子園ボウル出場が決まる準決勝は、昨年聖地で大敗を喫した関学大を相手にキックオフ。試合は、お互いのディフェンス陣が堅い守りをみせロースコアで進む。10-10の同点で迎えた第4Q。RB・小松桜河(3年)のTDで勝ち越しに成功するが、最終盤で同点に追いつかれ17-17で試合はタイブレークに。先攻の法政大が、FGで3点獲得し迎えた裏の関学大の攻撃。TDを許した瞬間に敗戦が決まる緊迫した場面ではあったが、副将/DB・南雲昇太(4年)も「みんな楽しそうにプレーしていた」と振り返るように、選手たちに気負いは無かった。自分たちの反則で相手に与えたチャンスも、集中力の高いディフェンスで抑え込むと、最後は相手キッカーがFGを外しゲームセット。昨年の大敗からおよそ1年、法政ORANGE全員でつかみ取った1勝に、試合終了の瞬間は選手、スタッフ、そしてスタンドから割れんばかりの歓声が沸き上がった。
いよいよ、日本一の栄冠まではマジック『1』。レギュレーションの変更もあり、今年の甲子園ボウルは真の学生アメフト王者を決めるにふさわしい舞台となった。春に敗れた立命館大にリベンジし、2006年以来閉ざされた優勝の扉を開ける時。恐れることは何もない。最後は、限られた者にしか見ることのできない日本一の景色を見に行こう。
記事:野田堅真 (スポーツ法政新聞会)
写真:スポーツ法政新聞会
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