east02関東代表注目選手

関東代表・法政大学


QB #4 谷口雄仁(4年)


谷口雄仁(4年)が関東NO.1QBとして甲子園に帰還する。

 法大は昨年に続き2年連続での甲子園出場となった。1年前は関学大を相手に2161と大敗喫した。関西との差を突きつけられただけでなく、谷口はその試合で大けがを負ったのだ。「春シーズンの最初は自分の力で歩けない状況だった」と振り返るけがの影響で春シーズンは終始フィールドの外から戦況を見守ることに。自身が公式戦でプレーすることはなかったが「フィールドの外から見ることで気づけることがあったので良い機会になった」と決して無駄な時間ではなかった。

昨冬からチームドクターやトレーナーの手厚いサポートもあり、秋季リーグの開幕戦を見据えて8月頭から本格的に復帰。順調なリハビリが実り、秋季リーグ開幕戦のスターティングメンバーに名を連ねた。試合では2本のTDパスを通して勝利に貢献。結果でチームに欠かせない選手であることを証明した。その後はリーグ戦全試合に出場。持ち前の技術と綿密なコミュニケーションで攻撃陣をけん引し、全勝優勝に貢献すると関東リーグMVPに選出。QBの活躍指標を示す『パス成功数』『パス獲得距離』『パス効率』の部門でリーグ1位と圧巻の成績を残した。それでも「あまり動けない自分を守ってくれるOL、パスを取ってくれるRBTEWRみんなのおかげで獲れた賞」とチームメイトへの感謝を忘れなかった。続く全日本大学選手権の準決勝、関学大戦ではWR・高津佐隼世(3年)に一時同点となる29ヤードのTDパスを通し、その実力を遺憾なく発揮した。「チームを勝たせることができるQBでありたい」。リーグ開幕前にそう語った男が、2年連続の甲子園の舞台へとチームを導いた。

 谷口にとって甲子園は特別な舞台である。1年時に甲子園でTDを決めたプレーは、大学フットボール生活の活力となった。さらに、甲子園でリベンジしたいという気持ちが、けがで試合に出られない半年間を支える原動力にもなった。2度の挑戦で届かなかった日本一。ラストイヤーで掴んだラストチャンス。いざ3度目の正直へ。 

記事:白戸大貴(スポーツ法政新聞会)
写真:スポーツ法政新聞会

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RB #7 廣瀬太洋(4年)

「チームのために」。我々の取材に対して廣瀬太洋がよく使う、口癖である。自信の活躍に対しても仲間への感謝を忘れない彼は、RBとして相手ディフェンスにタックルされながらも、ボールを運び、そしてTDを決める。「勝つためには、自分が最後までフィールドに立ち続けなければならない」と語った廣瀬は、怪我をしない体づくりのためにストレッチを多く取り入れることで、ケアを重点的に行ってきたという。

そして迎えた最終シーズン。開幕から廣瀬が魅せた。桜美林大戦では、秋リーグチーム初得点となった65ヤードのロングランTDに続いて3本のTDを決め、チームも白星発進。「仲間が繋いでくれたのを自分が『ごちそうさま』しただけです!」と茶目っ気たっぷりの笑顔で、仲間への感謝と勝利への喜びを語った。勢いそのままに勝ち進み、全勝優勝まであとひとつとなった立教大戦。序盤は相手にリードを許す苦しい展開となるが、ここでもエース・廣瀬が大暴れ。60ヤードのロングランTDを含む、計205ヤード/4TDと圧巻のプレーで、チームの逆転勝利に貢献。さらにはTOP87節プレイヤーオブウィークに選出され、全日本選手権に向けてより一層自信をつける一戦となった。

 そして迎えた全日本大学選手権。準々決勝・中京大戦では力強いランが光り、TDを決めるなど存在感をアピールした。続く準決勝・関学大戦では、昨年王者相手にも屈せず、粘り強いプレーを見せ、見事撃破。日本一へ向け、甲子園ボウルにコマを進めた。廣瀬はこの試合MVPの活躍であったが、「正直もっとできるプレーもあったので、心残り。この状態で賞をもらえてしまったことが不甲斐ない。まだまだ不完全燃焼」と悔しそうな表情を浮かべていた。

甲子園ボウルへ向け「日本一になります!」と笑顔で宣言した廣瀬。悲願達成まで残り一戦、4年間の大学アメフトも集大成となる。立命館大学の屈強なディフェンス陣に力強いランで切り込み、完全燃焼のプレーを見せてくれ。法政ORANGEのエースが、チームを頂点へと導く。

 記事:木村未緒(スポーツ法政新聞会)
 写真:スポーツ法政新聞会


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OL  #60  牧野海舟(4年)

4年であり、副将の僕が頑張らないと後輩たちもついてこない」。今季、常にチームをけん引してきた牧野海舟が甲子園で有終の美へ。

今季からポジションがセンターになった。そう、法政 ORANGEの攻撃は彼から始まるのだ。ボールをスナップしてQBに渡す。それだけではない。ランプレーでは相手DLをブロックし、パスプレーではQBを守る。体を張るプレーが多くなるため今シーズンは「フィジカル強化に重点を置いて取り組んできた」という。

ラストイヤーとなった今シーズン。秋季リーグは全勝優勝を果たした。その中でも早大に3年ぶりに勝利したことは記憶に新しいだろう。2年時から試合に絡んできた牧野海にとっても特別な勝利となった。「ここぞという時に本当に強い相手だったので、素直にうれしい」と振り返った。それでも「もう少しランを出していかないと関西に対して対抗できない」と課題を口にしたのが印象的だった。

 そして迎えた全日本大学選手権。準々決勝の中京大戦ではチームとしては勝利を収めたものの、序盤は自身のミスが目立ったため「個人的にはあまりよくなかった」と言葉少なに振り返った。それでも準決勝の関学大戦に向けては「全力で準備して、全力で倒しに行く」と力強く宣言。その言葉通り、タイブレークの激戦を制し見事関学大を撃破。鍛え上げたフィジカルを存分に活かし、OLの一員として終始体を張ったプレーで勝利に貢献した。昨年甲子園ボウルで大敗を喫した相手への勝利について「言葉に表せないくらい」と素直な気持ちを吐露した。

 いざ、日本一へ。仲が良いと語る上岡陽輝(4年)、牧野鉄平(4年)らと屈強なOLを形成し、注目のチームメイトに挙げたRB・廣瀬太洋(4年)が走る道を開ける。自身のポジションについて「あまり目立たない」と言いつつも、注目してほしいプレーに「相手を圧倒してボールを持っている選手たちの道を開けるプレー」を挙げた。これはOLの魅力の1つだ。さあ圧倒しよう。立命館大の屈強なDL陣を。この1 OLとしても副将としてもチームを最前で引っ張ってきた男が、法政 ORANGEを頂へと導く。

 

記事:白戸大貴(スポーツ法政新聞会)
写真:スポーツ法政新聞会


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DL #0 川出奨悟(4年)

日本NO.1DT(ディフェンシブタックル)との呼び声高いこの男。180㎝、102㎏の鍛え上げられた肉体から繰り出されるタックルで、相手OL陣に押し負けない。圧倒的なフィジカル力を武器に、法政ディフェンス陣の最前線で戦う男が川出奨悟である。2年生の春からレギュラーとして法政オレンジを支えてきた屋台骨も、いよいよ甲子園で学生アメフトのラストゲームを迎える。

ただ今季、リーグ優勝を決めた明治大との一戦、フィールド上に川出の姿はなかった。初戦の桜美林大戦で脚にけがを負ってしまい、当初の予定では全治3カ月ほどと診断されたのだ。その間、川出の代わりに法政DL陣の一角を担ったのが矢満田良衛(3年)である。もちろん自分が試合に出場できない悔しさもあったはずだ。それでも「川出さんからは、思いっきりやってこいと言葉を貰った」と矢満田が話すように、試合中は自分ができることに集中。ベンチの最前線に立ち、松葉杖をつきながらでもチームメイトに声を掛け続けていた姿はとても印象深かった。

そして、懸命なリハビリ生活の末、全日本大学選手権の初戦となる中京大戦で川出は戻ってきた。ロスターに名を連ね、短い時間だったが久々にゲームに出場。そしてそこから1週間後の関学大戦、川出は1試合を通して関学大OL陣と真っ向勝負。昨年の甲子園ボウルでの61失点から約1年、17失点と相手オフェンス陣を封じ込め、法政ORANGE2年連続甲子園ボウル進出に貢献した。

 試合後、「苦しい中でも、ケア担当だった真佑(末田真佑チーフトレーナー・4年)、チームメイトやスタッフたちのおかげで今日に間に合うことができた。サポートしてくれた人たちに感謝しかない」と、勝利の喜びを噛みしめながらチームメイトへの感謝の思いを語った川出。最後は『日本一』という称号を手に、周囲に最高の恩返しをするだけである。

決勝の舞台で戦う立命館大には、山嵜大央(4年)と蓑部雄望(2年)の2人の強力RBが控える。その両名を止めるカギとなってくるのが、川出を中心とした、川村達哉(4年)、主将・山田晋義(4年)からなる法政が誇るDLユニットだろう。相手OL陣がこじ開けようとするスペースをいかに開かせないか。ただ、完全復活を遂げた川出なら何も心配することはない。立命館大よ、この牙城、崩せるものなら崩してみろ。

記事:野田堅真(スポーツ法政新聞会
写真:スポーツ法政新聞会


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SF #3 南雲昇太(4年)

「フィールドに立ったら目つきが変わる」。南雲昇太のことを、チームメイトはよくこう表現する。普段は穏やかで、こちらのインタビューにも終始笑顔で答えてくれる南雲。しかし、フィールド上では表情が一変。獲物を狙うハンターのような目つきで、相手オフェンス陣に照準を合わせ襲い掛かっていく。

高校時代は、法政二高の野球部に所属する高校球児であった。「何か新しいことに挑戦したかった」という思いから、大学入学と同時に始めたアメフト。全体練習後の自主練習を地道に積み重ね、徐々に自分のポジションを確立し、昨年はポジションリーダー、そして最高学年になった今年は副将も担っている。そんな南雲が理想として掲げている副将像は、昨年このチームで副将を務めていた伊藤右徳(令和6年卒)だ。「チームを締めなければいけない時に締められるように」と、昨年法政ORANGEを全国2位に導いた伊藤の姿を追いかける日々。背中で、プレーで見せながら、時に厳しくチームメイトと向き合うことで、南雲昇太らしくチームを引っ張ってきた。

そんな南雲が担うポジションはSF(セーフティ)である。法政ディフェンス陣の一番後ろに構え、フィールド全体の動きを俯瞰しながら、相手オフェンスに突き刺すようなタックルでぶつかっていく。「タックルに勢いをつけ、チームの流れを変えられるプレーができることがこのポジションの魅力」と語る南雲。オフシーズン、そして夏に鍛え上げた強靭なフィジカル力を活かし、簡単に倒れることなく相手との11プレーに勝利することで、今季も幾度となくチームの危機を救ってきた。全日本大学選手権準決勝の関学大戦でも、惜しくもインターセプトは逃したが、レシーバーに対するピンポイントのパスディフェンスで、相手オフェンスの好きなように攻撃をさせてこなかった。甲子園ボウルの舞台でも、狙いすましたチームの流れを変えるプレーに期待がかかる。

いよいよ、大学アメフト人生の集大成となる1戦がやってくる。1年時、そして3年時と悔しさだけを覚えた聖地で、今年は満面の南雲スマイルをみせて欲しい。彼が4年間のアメフト人生の最後に狙う獲物は、立命館大のオフェンスを潰し切った先にある、『日本一』の称号ただ一つだ。

記事:野田堅真(スポーツ法政新聞会)
写真:スポーツ法政新聞会

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DL #5 川村達哉(4年)

兄の想いも背負ってDL・川村達哉(4年)は甲子園のフィールドに立つ。

川村には1つ上の兄がいる。智紀さんだ。昨年はディフェンスリーダーとしてチームをけん引したORANGE戦士の1人である。1年前の甲子園ボウルは兄弟で出場。川村は兄・智紀がつけていた『33』の番号を背負い戦った。しかし関学大を相手に21-61と大敗し、日本一という夢には届かなかった。

 そして迎えた大学ラストシーズン。「毎年結構後悔があって終わっているので、後悔がないように頑張りたい」と意気込んだ。秋季リーグは全試合に出場。特に印象的な活躍を見せたのが第4節の慶應大戦だ。第4Q11ヤードをロスさせるQBサックに成功した。3rd&16からQBによるスクランブルで1stダウンを更新された後のビッグプレーだった。ヘルメット越しからでも分かる笑顔とガッツポーズで喜びを全身で表現。試合後には「シチュエーション的にも結構きつい状況だったので素直にうれしかった」と振り返った。その後の試合でも主将/DL・山田晋義(4年)らとともに何度も相手オフェンス陣に立ち向かい、全勝優勝に貢献した。さらに全日本大学選手権、準決勝の関学大戦では相手QB・星野太にプレッシャーをかけ、DL・髙橋和音(4年)のインターセプトにつながるプレーを見せるなど、ディフェンス陣に欠かせない選手として終始安定したプレーを披露。昨年甲子園の舞台で敗れた相手にリベンジを果たした。

 「多分今年でアメフトを辞めると思う」。これは川村が秋季リーグ前に語った言葉だ。もしかしたらプレーしている姿を見ることができるのは、甲子園ボウルで最後かもしれない。なら説明しよう。川村の特徴は、ランもパスも両方止められて、スピードとパワーをどちらも兼ね備えているところだ。背番号は『5』。ぜひ注目して欲しい。大学アメフトの集大成として『日本一』の称号を全力で獲りに行く姿を。

 記事:白戸大貴(スポーツ法政新聞会)
 写真:スポーツ法政新聞会

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