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トピックス  2011.12.17

伝統の一戦を支える男達の群像

 第66回毎日甲子園ボウルがいよいよキックオフを迎える。一昨年より全国8地区連盟9つの代表校がトーナメントを戦い、その決勝戦の舞台となった甲子園ボウル。2011年シーズンを勝ち抜いたのは、東日本代表が日本大学フェニックス(関東代表)、西日本代表は関西学院大学ファイターズ(関西代表)。甲子園ボウルファンなら誰もが知る"青と赤・伝統の一戦"となった。

ともに出場は4年ぶり。日本大は31回目、関学大は大会記録を更新する46回目。両雄の対戦は大会最多の26回を数え、日本大は21年ぶり21回目、関学大は4年ぶり24回目の優勝を狙う。

試合終了直前まで激しいシーソーゲームの末、関学大が勝った07年の前回は、甲子園球場の改修で大阪の長居スタジアムでの開催。本拠地・甲子園球場での顔合わせは89年以来、実に22年ぶりのことなる。

2011年4月24日、神戸市王子スタジアム。2011年の幕開けとなるプレシーズンマッチ、関学大と日本大の第44回定期戦は、ホームとなる関学大主催のKGボウルとして開催された。
 春とはいえ、3000人の観客が詰めかけた人気カード、試合開始前のコイントスで顔を合わせた日本大の主将RB岡部サトシが関学大主将のRB松岡正樹に声をかけた。

 「悪いけど勝たせてもらうわ」。岡部がほんのジャブぐらいのつもりで出した言葉に、松岡がいきなり噛みついた。「なにいうてんねん。勝つのは俺らや!」。

 二人ともやんちゃなのである。今年の出場両校は、負けん気の強いやんちゃ男同士の戦いだ。「(岡部は)やんちゃなところがいい。フットボールが出来て、なんでもよく出来てという子では、日大は(主将は)務まらんのです」(日本大・内田監督)。内田監督が高校時代からその性格も含めて期待をしていたという男が、最終学年でチームを背負い、決戦の場へと導いた。

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 関学大の主将、松岡も近年のチームリーダーとしては異色の存在だ。近年の関学大主将と云えば、主にラインマンでいわゆる背中で語る寡黙なタイプが多かったが、この松岡は練習中から実によく叫び、檄を飛ばす。「チームに勢いを作ってもらう為にね。こういう男にやってもらうのもええんちゃうかと思いますね」(関学大・鳥内監督)。その熱い想いはチームに浸透し、強く激しくそして精密なKGブルーを甦らせた。

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 「どちらが勝ちたいという気持ちが強いのかが勝負を決める」。代表決定後に何度かおこなわれてきた記者会見の席上で、岡部、松岡の両主将が異口同音に口にしてきた。まさに戦術や身体能力を越えたところでの戦いが繰り広げられようとしている。

 さらに伝統校が持つ「ファミリーの系譜」という要素を見逃してはならない。「父親や兄がフットボールをやっていて、そういうのを見て育ってきた選手。教えていなくても伝わっているもの。そういう強さが関学にはある」と、日本大の内田監督。かく言う日本大にも、WR秋山やK井ノ口などフットボール家系の中で育った選手も多い。

 15分Qをきっちり戦うフットボールでは偶然に勝つ、ということはほとんど起こらない。圧倒的な地力の差があり序盤から流れが見えてしまうのは別だが、切磋琢磨する戦力を持つチーム同士が対戦すると、残り数インチ、ボール1個の差で、勝敗が決するような場面が必ずある。

 この残り数インチを押し込み、モメンタムを無理矢理にでも掴み取るのが伝統の力であり、気持ちなのだ。

 互いの指導者も燃えている。「我々にとって日大とは絶対に負けてはいけない相手」(鳥内監督)。「関学とやるときは相当気持ちを入れてやらないと勝てない」(内田監督)。世代を超えて受け継がれてきたからこそ伝統の一戦。2011年学生フットボールシーンの最後を飾るに相応しいファイナルバトルがいよいよ幕を開ける。


記事;畠中隆好(OfficeNEAR/甲子園ボウルPJT

写真;関東学生アメリカンフットボール連盟

   P-TALK SHIMIZU PHOTO OFFICE

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