「青と赤・伝統の一戦」。パナソニック杯第66回毎日甲子園ボウルは、東日本代表・日本大学フェニックス(4年ぶり31回目)と西日本代表・関西学院大学ファイターズ(4年ぶり46回目)の対戦。甲子園球場での顔合わせは実に22年ぶりとなる。
試合の総獲得ヤードで日本大が297ヤードに対し、関学大が260ヤード。1stダウンの数も日本大16回、関学大12回と日本大が上回るなか、ファイナルスコアは、24-3で関学大の勝利。
試合を決めたのは、「キッキングゲームへの意識を高く持って取り組んできた。キッキングでの勝利」と、小野宏コーチが胸を張るキッキングチームの力だった。
試合は立ち上がりから互いのディフェンスが力を発揮し、パントの応酬が続く。
先にチャンスを掴んだのは関学大。1Q9分43秒、自陣29ヤードからの攻撃。QB畑からWR大園へのパスが決まってダウン更新。さらにホットラインWR和田へ38ヤードロングパス成功で一気に敵陣へと攻め込む。QB畑が自らのキープでゴール前5ヤードとすると、最後はRB望月が相手ディフェンスを振り払ってエンドゾーンへ。関学大が先制する。
2Qに入って最初の関学大攻撃はパントに追い込まれる。しかしこのパントが普通のパントと違った。「大西が1年磨きを掛けてきた」(小野コーチ)という変化球のような"木の葉落とし"キック。目測を誤った日本大のレシーバーがマフしたところを、関学大DB大竹がリカバー。関学大がゴール前1ヤードと絶好の得点機を得る。
ここは主将RB松岡がねじ込んでTD。14-0と関学大がリードを広げる。この後も試合を通じてP大西のパントは冴え、相手の攻撃を常に深い位置からへと追い込むことに成功する。
決してオフェンスが進まないわけではない日本大。2Q8分23秒から始まった自陣21ヤードよりの攻撃。RB原田、WR成田のランで連続ダウン更新、敵陣41ヤード。4thダウンギャンブルに追い込まれるも、QB安藤からWR成田へのパスが決まり敵陣26ヤードへと陣地を進める。
しかしここから攻めあぐねTDには至らず、K井ノ口が36ヤードFGを成功させ、3-14と反撃する。
関学大もすぐさま反撃。QB畑からWR和田への43ヤードロングパス成功で、ゴール前8ヤードとすると、K大西が28ヤードのFGを成功させて17-3と突き放し、前半を折り返す。
後半、日本大の攻撃の第1シリーズ。QB安藤のラン、RB山本のランで敵陣へと攻め込むと、WR成田、林へのパスで連続ダウン更新し、敵陣19ヤードと前進する。
だがここでQB安藤の投げたパスを、関学大DB池田が、地上すれすれのところでインターセプト。日本大のドライブを断ち切る。
その後、しばし拮抗した展開が続くが、4Q6分27秒、50ヤード付近から関学大の攻撃。QB畑、RB鷺野のランが通って、敵陣25ヤード。さらにQB畑のランでゴール前5ヤードと詰め寄ると、3rdダウンでプレーが完全に崩れた体制から、QB畑がRB松岡にショートパス。このボールをRB松岡が執念のキャッチ。
これがダメ押しのTDとなり関学大が、24-3とさらにリードを広げる。このまま日本大の攻撃を封じ込み、関学大が24回目の優勝を果たした。
RBとしては29年ぶり(主将RB浜田以来)の主将を担う松岡は「日本大は集まりも早くて、強くてしつこかった。ここで負けたら意味がない。全員で突っ込んで気持ちでこじ開けた」と、胸を張る。
キッカーとしては初の受賞となるミルズ杯キッカーのK/P大西は「ラッキーな面もあったけど、狙うべきところに(パントを)蹴れて良かった」と、満足げだ。
一方、日本大の主将RB岡部は「関学はよく研究していた。自分たちのウィークポイントを突かれた感じ。雰囲気にのまれたこともあったが、なにより自分たちのミスが大きかった」と、悔しさを滲ませていた。
記事;畠中隆好(OfficeNEAR/甲子園ボウルPJT)
写真;毎日新聞