東日本(早稲田):01チーム紹介

堅守で激戦の関東を制した早稲田。総合力で学生日本一を狙う。

2年連続で甲子園ボウルの切符を手にした早稲田大学ビッグベアーズ。関東大学秋季リーグ戦では宿敵・慶応大に黒星を喫し、一度は窮地に追い込まれた。しかし、そこから濱部昇監督と松原寛志主将を中心にチームを立て直し、法政大と日本大に連勝。最後は得失点差で慶応大と法政大を上回って激戦を制し、見事連覇を達成した。日本一を狙う早稲田の強みと甲子園ボウルの見どころを見てみよう。

スター選手が抜け、戦力の低下が危惧された今季の早稲田だが、最大の武器である堅守は健在だ。リーグ戦の総失点、喪失ヤードの少なさは共にリーグトップ。この安定した守備力がチーム力のベースにある。

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リーグ最終戦の日本大戦では、関東屈指の強豪を完封し優勝を決めた。この試合では昨年から使用している2DLに加え、1DLも披露。日本大のオフェンスを完璧に封じ込めた。

強力ディフェンス陣の中核をなすのは、副将LB加藤樹。昨年の甲子園ボウルにも出場した豊富な経験を持つ早稲田の大黒柱だ。類い稀なスピードとクイックネスを武器にランプレーはもちろん、QBサックやパスカバーでも力を発揮する。強力な関学大オフェンス陣の前にこの男が立ちふさがる。
また、リーグ戦の1試合平均パス喪失ヤードを104に抑えた、DB陣にも注目だ。留学から復帰した久保颯、成長著しい小野寺郁朗は身体能力の高さが魅力。4年生の安部修平はチームに安定感をもたらし、パンターとしても活躍を見せる。この男たちがどれだけパスオフェンスを封じることができるか。関学大レシーバー陣とのマッチアップに注目だ。
早稲田にとって最大の脅威となるのはやはり、立命大との西日本代表校決定戦で、210ヤードを獲得した、関学大のランオフェンスだろう。ここは仲田遼らDLが走路を塞ぎ、加藤らLB陣の鋭いタックルで、キャリアーを抑えたい。

一方のオフェンス陣。こちらは昨年のチームから主力が多く残り、さらなる進化を遂げている。

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要となるQBは、正確なパスが持ち味の笹木雄太と、自ら走ることができる坂梨陽木の2枚看板。QB笹木は昨年の甲子園ボウルにも出場したが、インターセプトを喫した1プレーでの交代となり悔しさを味わっただけに、最後の大舞台で雪辱に燃える。ビッグプレーメーカーのWR西川大地や、今季はケガに苦しんだが、競り合いで強さを見せる副将WR鈴木隆貴にパスがヒットすれば、モメンタムは一気に早稲田に傾くだろう。
伝統的にランオフェンスが得意な早稲田。リーグ戦MVPを獲得したRB須貝和弘はスピードと技術を兼ね備える。常に高いパフォーマンスを発揮し、チームをけん引してきた絶対的エースだ。RB北條淳士はコンスタントにゲインを重ねることができ、RB片岡遼也は恵まれた体格を活かし、力強い走りを見せる。このRB陣を活かすのが、主将OL松原を中心としたOLユニットだ。これまで完璧に仕事を遂行し、早稲田のオフェンスを支えてきた。関学大ディフェンスを相手に走路を切り開くことができるか。関東随一のポテンシャルを持つラインマンたちが、勝負のカギを握る。

濱部監督は、今季の強みについて問われると「昨年ほどタレントはいないが、4年生を中心に細部にこだわったまとまりがある」と語る。チームワークと、攻守のバランス、総合力では昨年のチームを上回る。日本のフットボールのルーツ校である早稲田だが、創部以来日本一に輝いたことはない。4度目の甲子園ボウルで大学アメフット界の盟主・関学大を『超越』し、初の学生日本一を奪いに行く。

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記事;新津利征(早稲田スポーツ新聞会)
写真;太田萌枝、新津利征(早稲田スポーツ新聞会)
http://wasedasports.com/
編集;畠中隆好(officeNEAR/甲子園ボウルPJT)