西日本(関学):01チーム紹介

帰ってきた青の戦士達。安定した総合力で王座奪還を目指す。

甲子園ボウルに記念すべき50回目の出場を果たした関西学院大学ファイターズ。鉄壁の守備陣に、「走・投・蹴」が揃った攻撃陣が今年の関学を彩る。下級生時から秋の壮絶な戦いを知る選手たちが多く、経験も十分。目標の「社会人を倒して日本一」に向け、まずは2年ぶりの学生王者に返り咲く。
2015年11月22日。日が沈む長居のフィールドの中央に咲いたのは青ではなく、マルーンの花だった。立命大に敗れ、6連覇を逃した試合後、前主将の橋本亮は「負けたらすべてムダになる。だから負けんな」。敗北から始まったのが2016年ファイターズだった。

  

関西王者、学生王者奪還、そして日本一奪取を目指し、挑戦者として臨んできた。だが、秋季リーグを迎えるも序盤は反則などミスが続く。連勝するものの、例年のチームと比べて得点力に欠けた。「俺たちは弱い」。山岸主将は何度も口にした。終盤に差し掛かり、強豪の関西大、京都大に勝利すると、全勝対決で迎えたリーグ最終節立命大戦も、22―6で勝利。だが選手たちは「立命大は5割の力しか出していない」と、2年ぶりの関西制覇よりも西日本代表校決定戦での再戦に目を向けた。
甲子園ボウル出場を懸けた西日本代表校決定戦決勝。前半は20―0と完封ながら、後半は迫りくる立命大の恐怖に、気づけば3点差に迫られていた。だが「焦りはなかった」。立命大の完璧なパントに自陣2ヤードから始まった残り6分40秒からの攻撃。6連続ダウン更新で、最後はRB加藤がTDを決めた。
立命大の希望を折り、関学史上初めて同一シーズンに立命大から2度勝利。日本一への道が繋がった瞬間、サイドラインに並ぶ戦士たちに涙のない者はいない。苦しんだ1年間を物語っていた。

甲子園に帰ってきた。オフェンスの要はQB伊豆。昨年からエースQBを務め、幾度も難所を経験し、今季リーグ戦でのパス成功率は関西2位の59.5%。司令塔としてチームの勝利を握る。昨年、立命大のディフェンスに抑えられたRB陣も、今年は多彩な選手がそろう。2年前、甲子園ボウルMVPを獲得した橋本(誠)を始め、スピードバックには野々垣、マルチバックには加藤と、どのRBが出場してもゲインを獲得できることが強みだ。
RB陣活躍の裏にあるのは経験豊富なOLの存在。副将松井(和)、高橋、井若は2年前から変わらず。今季は1対1での強さが光り、RB陣を助けてきた。
一方でWR陣には、若い選手がスタメンに名を連ねる。2年前を経験した選手は居らずとも、松井(理)、池永、前田(泰)と、要所で1本を捕れる選手が揃う。

  

ディフェンスの要は主将を務めるLB山岸。流れが相手に傾きかけたとき、必ずビッグプレーを起こす。プレーでも発言でも、223名を率いる青き戦士のリーダーだ。DLはチームで最も層が厚いパート。相手OLを止めることはもちろん、今季リーグ戦でのQBサック数は10.5回と、2位の関大を4回以上も上回る。DBは4年生の小池、2年生の横澤など、学年に関係なくビッグプレーを狙える選手が多い。それぞれがゴール前に迫られても流れを変える力を持つ。

キッキングチームにも力があるのが、今季の特徴。K西岡はリーグ戦でのFG成功率が100%。また、キックカバーやリターンチームでも流れを作れる。キックオフから青き戦士達に隙はない。

日本一への足掛けとする。最終目標は社会人を倒して日本一。そのために、初対戦となる早稲田との一戦を制す。2年ぶりの聖地・甲子園。連勝が途絶えた空白の昨年の分まで、青がスタンドを揺らす。

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記事;眞光可菜子
写真;眞光可菜子、小林実央
関学スポーツ
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編集;畠中隆好(officeNEAR/甲子園ボウルPJT)