今年も手が届かなかった。2年ぶりに甲子園へ戻ってきたが、攻守共に高い完成度を誇る強豪・関学大を相手に20―37。学生日本一まであと一歩のところで、また涙をのんだ。

「歴史を変える」。その一心で甲子園に乗り込んだBIG BEARS。試合開始早々に強力なオフェンス陣を擁する関学大の速攻にTDを許したが、直後の自陣31ヤードからの攻撃をドライブ。QB#1柴崎哲平(3年)がロングパスを決め敵陣へ侵入すると、RB#7元山伊織(4年)がエンドゾーンを駆け抜け、すぐさま同点に追いついた。
その後、主将DL#97斉川尚之(4年)のQBサックが飛び出し、副将LB中村匠(4年)を軸にした粘り強いゴール前ディフェンスを披露するなど、押し寄せる関学オフェンスにエンドゾーンを許さず、2本のFGに止めて7―13。まだ十分追いつける点差で味方の反撃を待った。

しかし2Q開始早々。自陣23ヤードからの攻撃はダウン更新に至らずパントを選択。このパントを関学大にブロックされて、相手にゴール前1ヤードからの攻撃権を渡してしまう。

ここから3回連続のランアタックにディフェンスの壁がついに破られ、2本目のTDを献上。これが試合のターニングポイントとなった。

これで余裕の出た関学大のランプレーを主体に組み立てる猛攻を止められず、前半終了間際に83ヤードのロングドライブを許し、3本目のTDを奪われる。

攻勢を強める関学大とは対照的に早稲田は突破口を見いだせず、20点ものビハインドを背負って折り返した。

悪い流れを断ち切りたい早稲田だったが、後半最初の自陣21ヤードから始まった攻撃は、敵陣までドライブしたところで4thダウンギャンブルを失敗。頼みのディフェンスも関学大にアジャストしきれず、さらにTDを許してしまう。

この時点で点差は27。相手に大きく突き放されたが、ここから早稲田がパス主体の攻勢で意地を見せる。WR#13遠藤健史(4年)へのパスが決まると、遠藤が快足を飛ばして66ヤードを走りきりTD。7点を返した。

反撃の狼煙をあげた早稲田は、4QにもWR#6ブレナン翼(3年)らへのパスが決まり敵陣へ侵入。最後は「練習通りうまくいった」と、再びWR遠藤がTDを獲得する。

早稲田は、最後の最後まで諦めない姿勢で戦い続けたが、健闘むなしく20―37のスコアで敗北。創部史上初の夢は、はかなく散った。

「いつものフットボールができなかった」と、唇をかむ高岡勝監督。これまで苦汁を舐めさせられ続けた舞台で、今年も雪辱を果たせなかった。この悔しさを胸にチームはまた一からスタートを切り、険しく続く学生日本一への道を突き進んでゆく。

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記事;成瀬允(早稲田スポーツ新聞会)

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写真;P-TALK

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編集;畠中隆好(officeNEAR/甲子園ボウルPJT)