2020-12-10

甲子園ボウル前合同記者会見〜関西学院大学

3日後に迫る甲子園ボウルを前に10日(木)、関西学院大学の大村和輝監督と選手ら6人が記者会見に臨んだ。

RB #39 主将 鶴留輝斗(4年・啓明学院高校出身)

今年のチーム作りを振り返って、例年と比べてコミュニケーションを取ることが大変だったと話す。新型コロナウイルスの影響で、本来であれば対面で出来たことをオンラインでしなければいけなかったり、試合や練習の数が減ってしまったりしたためだ。
それでも、相手がどう思っているかをいつも以上に考えるようにすることでカバーしてきた。
鶴留自身は、主将として行動する中で、チーム全体を見渡すようになり、また、初めて気付くこともあったそうだ。今までは気づいていなかった部を運営して行くために必要な仕事をしてくれているスタッフや、自分がプレーをしている最中には代わりにフィールド全体を見て、共にチームをまとめてくれている主務の末吉光太郎(4年・三田学園高校出身)には感謝していると話した。
2018年の定期戦以来となる日本大学との対戦。あの日の問題について記者から聞かれると「あれはもう過去の話だと思っている。」と断言。「今はただ、甲子園ボウルでいい試合がしたい。勝ちたい。」と力強く言い切った。
また、日本大学のディフエンスについての印象としてDLが強いことをあげた。自分たちの OLがいかにコントロール出来るかが大事だと話した。
今年は、芝と土が入り混じったフィールドでの対戦となる。この会見の後に控えた公開練習でその感覚を掴みたいと話し、ベストなものを見極めようと裏側の突起部分の種類が異なるスパイクをいくつか用意してきたという。
日本大学との試合は伝統的なもの。これまでの「いい試合」と言われるものに並ぶような試合をして必ず勝ちたいと語った。

LB #40 副将 繁治亮依(4年・関西学院高校出身)

「目指しているのは完封です。」何点以内に抑えたい、などディフェンスとしての目標はあるかという記者の質問に繁治はこう答えた。
その上で、日本大学のRB #39 秋元旻宰(4年・日大豊山高校出身)、#30 川上理宇(4年・佼成学園高校出身)とQB #19 林大希(4年・府立大正高校出身)をどう止められるかがポイントだとし、ディフェンスとして今年一年大切にしてきたパシュートを忠実に行うことで、全員で止めたいと話した。
繁治はここまでのリーグ戦の自分のプレーを振り返り、練習で出来ていたことが試合で出来なかったと打ち明けた。また、11月28日(土)に行われた立命館大学戦では、自分一人で止めようとしすぎていて、周りが見えていなかったと話す。最上級生として、自分がしっかりと止めたいと思うばかり、空回りをしてしまい、結果的にディフェンスやチームの足を引っ張ってしまったと省みた。
甲子園では、準備をしっかり整え、周りとも連携を取って勝ちたいと話す。相手のミスから流れをもらって勝つのではなく自分たちでいい流れを作りたい、「勝つべくして勝つ」という理想を体現したいと気を吐いた。

DB #25 竹原虎ノ助(3年・追手門学院高校)

11月28日(土)の立命館大学戦では、第4Q、立命館大学オフェンスに自陣深くまで攻め込まれたところをインターセプトで救った竹原。今年は目の前の相手との一対一の勝負を大切にしてきたという。この場面でも、意識して練習してきたことが生きたと話した。
一方で、ランはなかなか止めることが出来なかったと振り返る。甲子園ボウルに向けては、その点を改善しようと、一人一人のタックルのレベルアップを図った。普段から強度を上げて練習し、一発で止められるようなタックルを練習してきたそうだ。
竹原は去年も試合には出場していたが、周りの先輩に助けてもらってばかりだったと話す。今年は自分が周りを助けられるようにしようと思って取り組んできたところ、相手オフェンスと一対一で勝負しなければいけないようなプレーも任せてもらえるようになり、少しは成長出来ているのかなと感じたと語った。
前回、関西学院大学と日本大学が戦った三年前の甲子園ボウルの際は竹原はまだ高校生で、観客として試合を見ていたそうだ。関学も負けるのだと衝撃を受けると共に、勝たなければ意味がないと感じたという。今回の甲子園ボウルに向けては、「一番長く関わっている先輩方の最後の甲子園ボウル。勝って終わらせられるように一生懸命プレーするだけ」と意気込んだ。

QB #3 奥野耕世(4年・関西学院高校出身)

日大とまた試合が出来ることが素直に嬉しいと奥野は笑顔で話す。
周りからは因縁の対決などと言われることもあるが、そのようなことは関係なく、強くなって帰ってきた日本大学と甲子園の舞台で戦えることを、自分も周りのみんなも楽しみにしていると話した。
日本大学のディフェンスは、比較的シンプルな戦い方で、これは個々の能力が高いからこそ出来ることだと奥野は言う。QB同士のため直接対峙することはないが、相手QB #19 林についても印象を聞かれると、肩も強く、走れる、アスリートのようなQBだと答えた。
2年前の定期戦直後は苦しい時期もあったが、先輩を筆頭に、同期、監督、コーチなど多くの人に支えてもらったと話す。アメフトを続けて、結果を出すと決めた奥野はあれから、自分の与えられた役割をこなしてやるべきことをやるだけ、と思いながらここまで来た。
「試合会場で元気な姿でプレーをすることが、支えてくれた人たちへの恩返しになると思うんで。小学生からずっと続け、培ってきた全てを出し切って勝ちます。」と誓った。

WR #4 鈴木海斗(4年・横浜南陵高校出身)

WRユニットとしては、若い選手が多いため、下級生がのびのびとプレーできるような雰囲気を作りながらも、基礎を意識して常に目の前の相手に勝っている状況を作れるような練習をしてきたと言う。
鈴木自身はRBからWRに転向して3年。決して長くはない期間でここまで成長できた理由として、松井理己(現 富士通)や阿部拓朗(現 アサヒ飲料)をはじめとした”すごい先輩”をそばで見てきたことを挙げた。また、QB#3 奥野とずっと一緒に練習してきたため、きっとここに投げてくれるというのがわかるそうだ。
日本大学のDBは身体も大きく、手が長い、今までには対戦したことのないような相手だという印象を持った上で、一対一の場面で、どこまで通用するかやってみたいと意気込んだ。
甲子園ボウルを目前に控え、今のワイドユニットに手応えを感じているという鈴木。最後だからといって何かをするのではなく、いつもと変わらない準備をして、実力をぶつけたいと楽しみそうに話した。

RB #21 三宅昂輝(4年・関西学院高校出身)

「自分がボールを持ったら、TDに繋げたい」と今年も話した三宅。
ここぞという場面で、自分のプレーを通せる、独走でTDに繋げられるような選手が理想像だと言う。新型コロナウイルスの影響による自粛期間中には体幹トレーニングを重ね、一回のタックルで倒れない体を作った。
しかし、11月28日(土)に行われた立命館大学戦では、相手のLBやDBに阻まれ、なかなかランを出すことが出来なかったと振り返る。これを修正するため、LBやDBとの一対一を想定した、部分的な練習をこの2週間で詰めてきたと話した。
日本大学のDL陣は、#57 伊東慧太(4年・日大豊山高校出身)をはじめとし、大きくて速い選手が揃っている印象だという。パスでもランでも、ブロックから漏れたDLが狙いにくると思うので、そこをかわしていけるかが重要になると予想した。
また、日本大学のRB #30 川上と自分はプレースタイルが似ていると明かす。高校時代はクリスマスボウルで、川上が所属していた佼成学園に負けてしまったが、今回は自分が川上よりも走って、勝ちたいと語った。

大村和輝監督

チームの仕上がり度合いとして、やるべきことは絞れていて固まってきているとしつつも、まだ精度が上がりきっていない部分もあるとした。
監督としては初めての甲子園ボウルとなるが、そういった個人としての感情は一切ないと話す。あくまで目の前の相手である日本大学に対し、どうすれば勝てるか、どう戦っていこうかということを考えているだけだそうだ。
具体的な点数としてのプランを聞かれると、どれだけディフェンスが粘れるか次第、やってみないと、とした上で、相手を17〜21点には抑え、オフェンスで4〜5本のTDを取って、勝ちたいと答えた。
日本大学は見れば見るほど強く、フィジカルだけでは関西学院大学は負けているという。
しかし、フィジカルだけで決まるわけではないので、色々と準備しているところを最後まで詰め、精度良く戦うことで勝利に繋げていきたいと語った。

記事:高田 妃菜
写真:KCAFL