QB #3 奥野耕世(4年)

ラストイヤーに甲子園へと帰ってくるのは、やはりこの男だった。学生界最強の司令塔、QB奥野耕世。2年時から第一線で活躍し、チームを学生日本一に導いてきた絶対的エースだ。今季は負けたら終わりの緊張感の中、一戦一戦ここまで勝ち進んできた。小学1年時からフットボールを始め、QB歴は16年。おととしは「三銃士」として光藤(19年卒)、西野(19年卒)とともに攻撃陣を率いた。下級生ながらその活躍は目覚ましく、甲子園ボウルでMVPとチャック・ミルズ杯をW受賞。
類まれなる実力を世間に知らしめた偉大な先輩が去り、大きな穴を埋めるため上級生の自覚が芽生えた3年時。しかし、好調とは言い難い滑り出しだった。リーグ中盤では神戸大に2点差まで迫られ辛勝。最終戦では宿敵立命館に大敗を喫した。「自分たちが弱いことは分かった。全員の気持ちを背負ってプレーする」。覚悟を決め直した瞬間だった。甲子園ボウルでは2年連続となる早稲田との対戦。エースWRの阿部(20年卒)とのコンビネーションが光り、快勝を収めた。
最上級生として、オフェンスリーダーとして、より一層責任感が増したラストイヤー。自分はもちろんのこと、チーム全体に高いレベルを求め続けた。今年度初戦となった同志社戦では、後半に下級生QBら控えメンバーを起用した関学。55―13で圧勝するも、1枚目と2枚目の差は歴然だった。今後、どこまでオフェンスの底上げを図れるか。奥野の裁量にかかっている。まさに一戦必勝で歩を進めてきた。トーナメント決勝戦では歴史に残る逆転劇を見せた。最終Q残り1分36秒、1点を追いかける場面で自陣32㍎からの攻撃。襲い掛かる赤豹にも動じず、「常に劣勢の場面を想定して練習してきた。気持ちのブレはなかった」。WR鈴木海斗、WR糸川幹人へ3本のパスに成功。着実に攻め込み、残り3秒の逆転フィールドゴールにつなげた。この日、獲得㍎は立命館QBの倍となる180㍎を記録。関西学生リーグでは松葉杯(最優秀選手賞)を受賞した。しかし、「やっぱりまだまだ。常に冷静になってプレーしたい」と手堅い自己評価。進化を止めない奥野が、今、聖地で集大成を見せる。日大と甲子園で相まみえるのは3年ぶり。「チームで補い合って結果を残すのがファイターズの強み。組織力で勝ちたい」。チームの中心に立ち、最後まで勝たせ続ける決意を固めた。最強エースが、最後の甲子園で青い血をたぎらせる。 

記事:山西葉月(関西学院大学体育会学生本部編集部・関学スポーツ)
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RB #21 三宅昂輝(4年)

無類のスピードでフィールドを駆け抜ける。RB三宅昂輝は持ち前の俊足で幾度となく独走劇を披露してきた。一度ボールを持てば、どんな相手も寄せ付けない。

今季初戦の同志社戦ではキックオフされたボールを90㍎リターンし、そのままTD。試合開始直後のプレーは周囲を置き去りに。この日は2本のTDを決め、今年も三宅の足は健在かと思われた。

だが、立命館とのトーナメント決勝戦では不発に終わり、「もっとランを通したかった」。昨年度とメンバーがほとんど変わらないRBパート。チームは試合時間残り3秒で何とか1点差を覆し勝利したが、内容には満足できず。今季の試合では唯一TDを逃し、悔やまれる結果となった。

自由奔放にフィールドを駆けてきた三宅もとうとう最上級生。これまでは「自分のプレーでチームに貢献するという思いでやってきた」。しかし、チームを率いる存在として下級生や周囲にも視野を向けるように。特にRBパートに関しては「誰が出ても勝てるパートにしたい」。 パートとして、チームとして強くなることを意識した1年間となった。

年々高まる期待に対しても、「自分に与えられた役割を果たせるように頑張るだけ」。プレッシャーさえも跳ねのける。QB奥野からは「昂輝(三宅)がボールを持ったら何か起こしてくれる。困ったら昂輝に託そうと思えます」と絶大な信頼を寄せられる。体格こそ恵まれないが、一対一で勝つことにこだわりを持つ。冷静に相手の動きを見極め、どんな状況でも自らの活路を見つけ出す。

ファイターズで過ごした4年間に思いを馳せ、「日本一という目標を達成する難しさを学んだ」。数々のビッグゲームでもチームの救いとなるTDを挙げてきた三宅。おととしの甲子園ボウルでは、41㍎を独走し、TDを決めた。けがで欠場していた当時のエースRB山口(19年卒)へ捧げる一発で学生日本一に貢献。今年も勝利のために、求められるものは変わらない。頂上決戦でエースとしての意地を見せる。

記事:河合里奈(関西学院大学体育会学生本部編集部・関学スポーツ)
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WR #4 鈴木海斗(4年) 

甲子園でも、この男が魅せる。関学の攻撃の要となるのはWR鈴木海斗。最大の強みは、QB奥野耕世との阿吽の呼吸で生まれるホットライン。私生活でもコミュニケーションは欠かさない。親友とともに、勝利を手繰り寄せる。

出身高校は神奈川県の横浜南陵高。人数の少ないチームで、エースRBとしてチームをけん引した。ファイターズでも1年時はRBとしてプレー。おととしの秋にWRへと転向し、頭角を現した。

3年時にはスタメンに定着。当時のエースWRで、現在はⅩリーグのアサヒ飲料に在籍している阿部拓朗(20年卒)と肩を並べた。「自信を持って、エースになりたい」。その一心で、先輩の背中を追いかけた。

昨年の甲子園ボウルでも1枚目として出場。QB奥野からの投球をエンドゾーン内でキャッチし観客を沸かせたが、味方の反則により無効に。TDには一歩届かなかった。一方で阿部は10回のキャッチで135㍎を記録。2TDを挙げ、MVPを受賞した。「拓朗さんの活躍を見て、次は自分もという気持ちになった」。クールな表情の裏に、闘志を燃やした。

半月後の東京ドーム、その言葉通りの大活躍を見せる鈴木の姿があった。7―38で迎えた第4Q、試合時間残り36秒に意地のTD。「社会人相手にも通用すると分かった」。土壇場のプレーで自信をつかんだ。その後もオンサイドキック成功から約30㍎のパスをキャッチ。ゴール前1㍎まで攻め続け、その名を全国にとどろかせた。

ラストイヤーも、その強さは揺るぎない。トーナメント決勝戦では関学唯一のTDを決め、チームを勢いづけた。試合時間残り1分半を切り1点差とプレッシャーのかかる場面。臨機応変なプレーで窮地を救った。勝負所で2回のパスキャッチに成功。劇的逆転勝利に一役買った。

エースとして覚悟を決めてから、1年が経とうとしている。富士通に惨敗し、「社会人に勝てる技術を目指す」と誓った鈴木。思いがけず異例の年となったがまたも甲子園に返り咲いた。

「日大の復活ストーリーを阻止します」。伝統の一戦に向け、鈴木は語気を強めた。悲願の3連覇なるか。真の日本一に向け、聖地を駆ける。

記事:山西葉月(関西学院大学体育会学生本部編集部・関学スポーツ)
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LB#40繁治亮依(4年)
関学ディフェンスの心臓部を担う。思い切りのあるヒットで数々の敵を圧倒してきたLB繁治亮依。聖地での青赤対決に懸ける男の思いは、人一倍強い。実力、経験ともに申し分ない選手だ。2年時のリーグから1枚目として勝利に貢献。昨秋は全試合にスタメン出場し、チームになくてはならない存在となった。ライスボウルでは社会人を相手に豪快なQBサック。一躍脚光を浴び、ラストイヤーの活躍に期待が高まった。だが、今季は未だに調子が上がらない。初戦となった同志社との対決に、繁治の姿はなかった。前後半でメンバーを大きく入れ替えての試合展開となるも、「交代メンバーになった途端に得点が止まる。まだまだ足りていない部分が多い」と厳しく振り返った。55―13と圧倒したが、選手層の薄さが浮き彫りに。第2節では満を持して復帰。昨年度リーグ戦でも苦戦を強いられた神戸大を前に、フィールドに立った。相手RBに対し、力強いロスタックル。しかし、やはり昨年の活躍に比べると精彩を欠いた。トーナメント決勝戦では劇的勝利を収めるも、「試合では出してはいけないミスが目立った。相手を止めることができず悔しい」。繁治自身は不完全燃焼に終わった。代表校出揃っての記者会見では、大村監督から「キーマン」として繁治の名が挙がった。「(立命大戦では)出来が悪かった。彼ができないと締まってこない」。耳が痛い言葉に、奮起できるか。これまでの分を取り返すように、大暴れしてくれるに違いない。常勝軍団の先頭に立ち、自らを見つめ直す1年となった。今年度は副将を務める繁治。幹部としての自分を強く意識するようになり、「自分の発言や行動は、部外でもチームのトップとして見られている」。大切なのは、自分で決めたことは「やり切る」姿勢。ファイターズ一熱い男は、常に高みを目指す。リベンジに闘志を燃やす。3年前の甲子園ボウルでは1年生ながらフィールドに立った。しかし、強敵日大に敗北を喫し「日本一になりたい」。その強い思いは膨らむばかりだった。決戦を前に、「気負わずいつも通り、自分がしてきたことをやり抜く」。力強く、3年越しの勝利を心に決めた。最後の甲子園で、繁治の生き様を見せる。

記事:山西葉月(関西学院大学体育会学生本部編集部・関学スポーツ)
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LB#44 海崎悠(4年)
今年も鉄壁となる。LB海﨑悠は1年時からスタメンとして試合に出場し、何度もチームの窮地を救ってきた。Ⅴ戦初先発で、西日本代表校決定戦で、そして社会人王者との頂上決戦でも。どんな試合、どんな相手だろうとお構いなし。「グラウンドでは誰よりもボールに絡みにいっている」と周囲からも評価を得る海﨑。プレーに懸ける思いは誰にも負けない。「ファイターズとして出るからには学年は関係ない」。気持ちいいほどに常に全力だった。実力の差を見せつけたのは今年の1月に行われたライスボウルだった。ロスタックルを決めた直後にQBサックで相手を封じ、TDを阻止。「少しはやりたいことができたと思う」。チームは14―38と大敗したが、決して諦めず、持てる力全てをぶつけた海﨑。社会人相手にも通用する部分があると実感できた試合だった。副将として迎えたラストイヤー。個人だけでなく、ユニット全体としてのレベルアップを意識。「出場する人が変わっても守備力が下がらないようにしないといけない」。リーグ序盤でメンバーが交代した後に得点を取られてしまったことを受け、身をもって実感した。自らの豊富な経験や知識を発信。下級生にも目標を設定し、達成できるような取り組みを行うことを求めてきた。その甲斐があってか、立命館とのトーナメント決勝戦では、下級生も決死の守りを見せた。だが、海﨑はスターターを外れ、記録に残ったタックルはわずか1回。「ただただラッキーな試合。後輩に助けられた」。自身のプレーは、決して満足のいくものではなかった。このまま終わるわけにはいかない。数々のビッグゲームに出場してきた海﨑。甲子園ボウルにも1年時から出場している。だが、2017年の日大への敗戦は「今までの試合で一番悔しかった。その思いを忘れたことはない」。日大のニーダウンが脳裏をよぎる。人一倍強い思いを抱き、闘志を燃やす海﨑。甲子園での借りは甲子園でしか返せない。

記事:河合里奈(関西学院大学体育会学生本部編集部・関学スポーツ)
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DB#2525 竹原虎ノ助(3年)

高く速く飛び掛かる。DB竹原はアグレッシブなプレーでどんな相手にでも競り勝つ。一対一での勝負強さが武器だ。中でも会場を沸かせたのは立命大とのトーナメント決勝戦。試合時間残り5分を切り、ゴール前9㍎まで攻め込まれた。1点差を追いかける展開でTDを取られれば後はない関学。だが、相手QBがサイドラインへ投げたボールをキャッチしたのは竹原だった。エースWRとの一対一に勝ち、インターセプトを決めた。「うれしかったのと、やっとベンチに帰れるという気持ちだった」。劣勢の展開に光をもたらした瞬間。「3年間で一番いいプレー。練習でもあんなプレーをしたことはない」と自分を褒めた。今年は4年生が例年より少ない。RBパートも例外ではなく、2人の最上級生がパートをまとめる。「良くないプレーをしていたらちゃんと教えてくれる。いなかったらどうなっているんだろう」存在の大きさをしみじみと感じた。さらに今回の試合を終え、4年生を助けるプレーが重要になると再認識。日頃の感謝をプレーに込める。「3年生がどれだけ活躍できるかに注目してほしい」。気合は十分だ。悔しい思い出が残る。2年時にはスタメンとして出場するも、一回り大きいWRとの競り合いに負けた。大きくショックを受け、サイドラインへ。そこに声を掛けたのはQB奥野だった。「お前が何本取られても、俺が取り返したる」。エースQBの心強い言葉に救われ、緊張がほぐれた。その後は甲子園の雰囲気に圧倒されず、相手の動きを見ながらプレーを続けることができた。2017年の赤青対決はスタンドから見守った。春からファイターズの一員となることが決まっていた竹原。ファイターズに抱いていたのは負けない、強いチームという思い。「どうせ勝つやろ」。そんな思いが一気に覆された。「これと戦わなければいけない日が来るのか」。ゾクッとした怖さすら覚えた。そしてついに迎えた対決の時。「縮こまらないで思い切ってプレーしたい」。今年こそ全国に名を轟かせてみせる。

記事:河合里奈(関西学院大学体育会学生本部編集部・関学スポーツ)
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