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QB#5 竹田剛(4年)
名門の誇りと期待を一身に背負い、その右腕で幾度となくパンサーズに歓喜をもたらしてきたQB竹田剛。聖地・甲子園でエンジのユニフォームを身にまとってのラストゲームに挑む。相手は宿敵・関学大。歓喜も悔しさも味わってきた4年間の集大成を、青の戦士との最後の戦いでぶつける。 竹田の大学アメフト生活。それは多くの「人」との繋がりだったと、自身は振り返る。竹田が師と仰ぐ、長谷川昌泳オフェンスコーディネーター(現・大産大附高監督)に声を掛けられ、立命館への進学を決断した。2回生になり、長谷川コーチに成長を評価されエースQBの座を掴む。恩師と二人三脚で相手を研究し、最強のQBへ成長すべく猛練習を重ねた。しかし、関学大との一戦では勝利に導くことはできず、涙をのんだ。長谷川コーチはその年限りでの退任が決まっており、「恩返しができなかった」と悔しさをにじませた。 3回生になり、新たな人物との出会いがさらに竹田を成長させた。高橋健太郎監督と山口慶人コーチだ。「健太郎さんには、『楽しめ』と何度も言われて精神面を強くしてくれた。慶人さんは基礎からつきっきり指導してくれて、2人に出会って全て変わった」。竹田は新たなコーチ陣と出会い、精神的にも、技術的にも成長を遂げた。結果的にはチームを9年ぶりの日本一に導き、自身も関西1部で優秀攻撃選手賞を獲得。大きく成長を遂げた1年間だった。 そして、最高学年となった今年。オフェンスリーダーの役割を担い、オフェンスの精神的支柱も担う。「チームのすべての命運を握っているのは自分」。そんなプレッシャーに押しつぶされそうになることもあるというが、幾度も跳ね返し、甲子園に再び帰ってきた。相手はリーグ戦で完敗を喫した関学大。「リーグ戦でのリベンジを果たすため絶対に負けられない。自分が勝たせて、大好きな仲間との4年間を締めくくりたい。心の底から燃えている」。4年間の全てを懸けた気迫溢れるプレーで、青の戦士を打ち破れ。そして、聖地で満面の笑みを見せてくれ。 記事;立命スポーツ編集局 酒井涼太朗 |
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RB#23 蓑部雄望(3年)
「止まらない、手が付けられないランナーになりたい」。昨年の甲子園ボウル優勝後にそう誓ったRB蓑部雄望(みのべ・たけみ)は、今、その言葉通りの存在になりつつある。 今季、連覇を目指すチームはなかなかまとまりきらず、見えないプレッシャーとの闘いだった。リーグ戦が始まっても不用意な反則やミスで圧倒できない。そんな苦しいシーズンの中で、ターニングポイントとなったのは第6節の関大戦だった。昨年、唯一黒星を喫した相手に27―10で勝利。神戸大戦後に掲げた「オフェンスコーディネーターの山口慶人さんを勝たせよう」という一言が合言葉となり、オフェンスは一つにまとまり、パンサーズの強みの最強オフェンスが体現された。蓑部は持ち前のスピードで次々と前進。要所ではQB竹田剛との連携も冴えた。「剛が良いところに投げてくれた。OLが道を空けてくれたので、2つのTDはどちらもありがとうって感じでした」と、勝利を支えた仲間の働きを振り返る。 しかし、全勝優勝を狙った関学大との最終節。チームは3-24で完敗を喫し、蓑部は大粒の涙を流した。ランが封じられ、自身が勝利に導けなかったことを悔やんだ。そんな悔しさを胸に、トーナメントでは再び輝きを発揮。準々決勝・法政大戦、さらに甲子園ボウル出場を懸けた準決勝・早大戦では2つのTDを挙げ、勝利へ大きく貢献。シーズンでは8つのTDを決めた男は、トーナメントでも輝きを放った。まさにその輝きは、自身が目指す、「誰にも止められないRB」そのものだ。しかし、地元で家族や友達が見守る中での早大戦の活躍にも「まだまだ実力不足だと思うので、もっと頑張りたい」と冷静に自身のプレーを振り返った。 蓑部の成長には、昨年のエースRB山嵜大央(現・富士通)の存在が大きい。甲子園ボウルを制した昨年、蓑部はひたすらに山嵜の背中を追い続けていた。「どこかで山嵜さんがなんとかしてくれるという思いがどこかにあった」と明かす。しかしその存在は同時に刺激にもなった。「来年は自分がチームを勝たせられるランナーになりたい」。その決意が今の止まらない、「エースランナー蓑部」を形作った。 昨年から、さらに成長を遂げ、聖地・甲子園に帰ってきた蓑部。今年は自身がエースだ。「チームを勝たせるランナーに」。エースランナーのプライドを胸に、最後の1秒まで聖地の芝を駆け抜けろ。 記事;立命スポーツ編集局 原田心咲 |
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WR#1 木下亮介(4年) 今年副将を務めるWR木下亮介。木下は武器の爆発力を発揮し、昨年の甲子園ボウルでは2つのタッチダウンを決め、圧巻のパフォーマンスでチームを9年ぶりの日本一へと導いた。エンジのエースレシーバーは、今年も聖地での爆発を誓う。 木下は箕面自由学園高校でアメリカンフットボールに出会い、競技にのめり込むようになった。高校時代、個性が輝く立命館に魅力を感じ、自分もここで輝きたい、立命館で輝いて、王者・関学大を倒したいという強い思いで進学を決意した。 入学後には早い段階で出場を掴み、順風満帆な大学アメフト生活にも思えたが、結果が思うように出ないシーズンが続き、3回生で「自分だけが上手くなるのではなく、チームをどう強くするか」を考えるようになったことが大きな転機になったという。 今季はオフェンスのキャプテン的存在として、攻撃陣をまとめる役割も担う。リーグ戦の関大戦を控えた2泊3日の合宿では、まとまり切っていなかったチームに向けて何度も本音をぶつけ合った。木下自身も「ようやくオフェンスをひとつにすることができた」と手応えを語り、トーナメントに入ると今季はなかなか発揮できなかった爆発力を見せる。2戦連続でパスを受け、独走でのTDで本来の輝きを放った。 木下のプレーの強みは、一対一でDBを交わす能力とボールを落とさないことだ。「絶対にファンブルしない」という強いこだわりが、チームの信頼に繋がっている。「4回生になって、チームを俯瞰した行動が見える。彼は変わった」。高橋監督や今田主将をはじめとした、多くの仲間が彼を信頼し、木下はチームになくてはならない存在となっている。 日本一まであと1勝。聖地・甲子園での夢舞台。対戦相手は、木下がいつも意識してきたライバル・関学大だ。「関学を倒して日本一になって、最高の締めくくりにしたい」。エースレシーバー木下の大学ラストパフォーマンスから目が離せない。
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LB#4 酒井大輝(4年)
アメフトにおいて、“ディフェンスの司令塔”とも目されるLB(ラインバッカ―)のポジション。その位置から常に強烈なタックルを仕掛け、時には素早い反応でボールを奪い取る。そんなアグレッシブなプレーで今季の立命館ディフェンスを何度も救ってきた男が、副将としてもチームを支えるLB酒井大輝だ。 今季の立命館には、4人の副将が配置されている。そんな中で、主将のDB今田甚太郎が、「もう一人の主将」と語り、特に深い信頼とリーダーシップを評価されるのが酒井だ。「今田は声でチームを引っ張ってくれる中で、自分の役割は行動で示すこと。チームが大事にしていることは誰よりも徹底している」。県立長浜北高校時代も主将を務め、下級生の頃からリーダーシップを高く評価されてきた酒井のリーダー像。プレーでも、私生活でも、彼の思いは少しずつチームに伝播していき、そして苦しかったチームは一つにまとまった。昨年に引き続き、甲子園ボウルという夢舞台への帰還も果たした。 チームとしてのまとまりに手ごたえを感じる一方で、自身のラストイヤーにはまだ不満が残るという。リーグ最終節を前に酒井は、「自分自身は全く納得のいくプレーができない試合が続いている」と悔しさをにじませていた。試合途中の負傷退場もあり、思うようにプレーができない展開も続いていた中で、準決勝・早大戦では本来の輝きを放った。試合開始直後に相手QBのパスをインターセプトし一気に流れを引き寄せると、直後には気迫のQBサック。アウェイ・東京の中で集まったパンサーズファンを沸かせるビッグプレー。彼本来の気迫が籠った素晴らしいプレーで、見事にチームを勝利へ導いた。 最高学年の年に、再び戻って来た甲子園。「細部にこだわって、洗練されているチーム」と、相手の関学大の印象を語る。リーグ戦では雨の中、関学大の自由自在な攻撃に屈した。「相手がどうこうは関係ない。自分たちのフットボールをやり切る」。宿敵との再戦を冷静に見据える酒井。日本アメフト発祥の地・滋賀県長浜市で生まれ育った男が、「初の関西対決」となる甲子園ボウルで、新たな歴史を築き上げる。 記事;立命スポーツ編集局 酒井涼太朗 |
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DB#2 今田甚太郎(4年) 「パンサーズとして戦う最後の試合。甲子園でも、自分たちのフットボールをするだけ」。2025年、立命館の主将を務めたDB今田甚太郎。連覇がかかる甲子園ボウルでの有終の美を誓う。 9年ぶりに日本一に輝いた立命館。その新チームで舵取り役を任された。「幹部だけじゃない。全員でチームを引っ張っていこう」。まとまりが強い現4回生を中心に、熱い言葉でいつもチームを鼓舞してきた。しかし、チームは連覇というプレッシャーに苦しんだ。春シーズンでは集大成と位置付けたエレコム神戸との試合に敗れ、今田はハドルで涙を流した。厳しい夏のトレーニング期を乗り越え、リーグ戦が開幕してもなかなかチームは上向かない。「シーズンが始まってからは一番しんどかった」。今田は1年間を振り返りこう語る。チームが上手くいかない中でも、今田は仲間を声で引っ張り続け、徐々にチームはひとつになる。昨年のリーグ戦では唯一敗れた関大戦では、「自分たちのフットボール」を体現し、見事リベンジを果たした。しかし次節の関学大戦。リーグ1位での選手権出場を目指していた立命館は、雨中の戦いに3-24で完敗を喫し、宿敵撃破とはならなかった。「甲子園でもう1回関学と試合して、そしてリベンジして、絶対日本一になろう」。ハドルでそう声高らかに宣言した今田。トーナメントで関東の2校との厳しい戦いを制し、見事、聖地・甲子園での関学とのリベンジの場を現実のものにしてみせた。 今田は昨年の甲子園ボウル出場が懸かった全国準決勝・早大戦、さらに今春のエレコム神戸戦でそれぞれインターセプトを見せる活躍も見せ、ビッグゲームでの勝負強さが光る。持ち味は、素早いハードタックルと、隙をついたインターセプト。「トーナメントではまだ何もできていない。甲子園で絶対に大爆発する」。4年間の最後の試合に自身の全てを懸ける。 さあ、最終決戦だ。舞台は幼少期から野球、そしてアメフトの2つの競技で夢見てきた甲子園。「打倒・関学」に誰よりも燃えてきた男・今田甚太郎。ライバルを圧倒し、甲子園にその名を轟かせろ。 記事;立命スポーツ編集局 酒井涼太朗 |
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DB#13 藤津伊琉(3年)
昨年の甲子園ボウル。勝利を決定づけるインターセプトで、9年ぶりの日本一を手繰り寄せたDB藤津伊琉(いさる)。今季は武器のタックルと勝負強さにさらに磨きをかけてきた。11月29日の早大との準決勝。「アウェイという試合の中で、相手の環境に吞まれないように、モメンタムを大事にした1週間だった」と万全の準備で臨む。パスプレー中心で攻めた早大に対し、藤津は読みの鋭さでインターセプトを奪い、更にはナイスタックルで観客を沸かせる。東京に訪れたパンサーズファンの期待に応えた藤津は、堂々のMVPに選出された。試合を終え、藤津が強調したのはチームの空気感だった。「ディフェンスの雰囲気がとても良かった。皆がボールを取り、オフェンスに流れを運べたのでよかった」と勝因には個ではなく、ディフェンス全体を挙げた。 今季、大一番での大活躍が続く藤津。仲間からの信頼も抜群だ。リーグ戦では難敵・近大相手にファンブルリターンTDを決め、今田主将は「持っている選手。大事な場面で物凄いプレーを引き出すし、チームの雰囲気までを上げてくれる」と藤津を評価する。 勝負強さとメンタル面を鍛え上げ、再び聖地・甲子園に戻ってきた。相手は宿敵・関学大。藤津は、関学大とのリーグ戦で経験した差を忘れていない。「フィジカルの差を痛感した。絶対リベンジしたい」と、普段の冷静さの裏には、リベンジへ熱い心を持つ藤津。 大産大附高時代から何度も跳ね返された「関学」の壁。エースQBの竹田剛らと共に、「産大から立命に来たプレーヤーが活躍すれば勝てる」。大きな期待を受け、そしてそれに応えてきた。昨年の聖地でのインターセプトも、決して偶然ではない。「役割を徹底する」その積み重ねによるプレーだった。チームに流れを呼び込むビッグプレーに、今年も期待しかない。再び日本一へ。勝負所でボールを奪い、流れを変えるのは、今年も藤津伊琉だ。 記事;立命スポーツ編集局 原田心咲 |