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立命館大学パンサーズ
3年ぶりに甲子園ボウル出場を果たした立命館大学パンサーズ。全勝対決となったリーグ最終戦では、前評判で関学有利とされる中、「今のチーム力を考えれば完璧に近い」(古橋監督)という戦いを見せ、17-7で勝利をもぎ取り8度目の優勝を果たした。
「新チーム結成直後は、紅白戦でもボロボロの弱いチームだった」と古橋監督。まずポイントとなったのが、昨年のエースQB木下(雅)の抜けた穴をどうするかだった。
その穴をうめるべく指名されたのは、3年生の#11松田大司。それまで実戦でのパス成功率がわずか10%台と伸び悩んでいた男が、この春から夏にかけて、Xリーグの強豪・オービックシーガルズの新生QBコーチに、週1回の指導を受けた。
その結果、浮き沈みの激しかった精神面から、パッシングの技術面に至るまで、かなり落ち着いてプレーできるまでの成長を果たした。
また1年時からレギュラーだったエースRB#26松森(関西学生リーグMVP)も、これまではどちらかというと自分のプレーだけを考えている選手だったが、主将RB浅尾が今季絶望の怪我で戦列を去って以降、責任感溢れるプレーでチームを牽引してきた。また発言でもリーダーシップを発揮、一番影響力のある中心選手だけに、他のポジションの選手にもやる気を与えることができる言動が、チーム力アップにつながった。
まさに成長中のチームが戦う甲子園ボウル。「実は私にとって、甲子園ボウルはあたりまえのものと感じていたが、この2年間遠ざかったことで、簡単に出られないし、簡単に勝てない、という存在に変わった。そして選手にとっては経験のない者がほとんどなので新鮮味があると思う。そのような“ハレ舞台”を大切にしたい」と古橋監督は話す。
さて、オフェンスはどのように攻めるのか。米倉オフェンスコーディネーターは「法政のディフェンスは能力が高く、しっかりしたシステムで守っている」とその手強さに気を引き締める。特にブリッツに入る選手のスピードはかなりのもので、「うちの松田では対応できないかも」と話す。
しかし、非常にタフな試合になることを覚悟の上で「あたりまえのことをあたりまえに」プレーできるよう、ベースをしっかり固めて試合に挑む。
一方のディフェンスは、法政のエースRB#29原、そしてエースWR#81栗原を要注意選手に挙げる。池上ディフェンスコーディネーターは、「原はスピードがはっきりせず、同じフィールドに立たないと走力を確認できない。また栗原も関西にはいないタイプのWR。この2人を中心によく考えたフットボールをしている」と分析する。
DL久司を中心に、関西屈指のフロント陣が繰り出す強力なプレッシャーで、チームのリズムを作りだしているユニットだけに、こちらもベースの部分は変えずに戦う。
「気持ち一つで変わるチーム」である今年のパンサーズ。「浅尾を胴上げする」という強い思いを持って挑んだ関学戦は、選手の気持ちが「勝ちたい」という方向にまとまり見事に勝利をおさめた。
甲子園ボウルでも、挑戦者の気持ちを持って挑むことができれば、きっと6度目の優勝を手にすることができるだろう。
記事/江田政亮(フリーライター)
編集/畠中隆好(office NEAR)
写真/松本航(UNN関西学生報道連盟)
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