出場チーム紹介
星取り表 メンバー表 リーグ戦績 注目選手 チーム紹介

QB#18畑卓志郎

 今年から関学大のスターターQBの座についた畑は171cm68kgと上背はないものの、40ヤード4秒後半の脚力によるランと、リーグ戦通算試投86回中58回成功、951ヤード獲得の堅実なパスによってゲインを奪っていく。もう一人のQBである糟谷のケガもあり、春からスターターとして出場し、経験を積んでいった。その経験が形になったのが、全勝決戦となったリーグ戦第7節、立命大戦でのWR和田へのTDパスだ。
「(試合前には)吐きそうなくらい緊張していた」という試合だったようだが、ターゲットの和田がディフェンスにカバーされているとみるとすぐさまスクランブル。そして自らのランに反応したディフェンスを見て、フリーとなった和田へTDパスを投げ込んだ。プレーは崩れたものの、冷静に状況を見てプレーを選択した好判断だった。
またレシーバーとの連携にも重きを置き、練習日には開始の3時間以上前からグラウンドへ出てきて、レシーバー陣とパスの連携を確認してきたという。
昨年は絶対的エースのQB加藤がおり、「自分はまだまだ信頼されていなかった」と話す畑。プレーオフの関西大戦など加藤のケガで出場することはあっても、それはQBとして全幅の信頼を勝ち得ていないことを昨年のリーグ戦で感じていた。しかし今年のリーグ戦では関西大から京都大、立命大と続く、終盤の大勝負でスターターに起用され、3TDパス、1TDランと期待に応えている畑。
甲子園ボウルでも信頼を勝ち取るようなプレーを見せられれば、関学大の勝利はおのずと近づく。

RB#7松岡正樹

 40ヤード4秒中盤の俊足と生半可なタックルでは止まらない力強いランニングが特徴のRB。リーグでの獲得ヤードは178ヤードとそれほど目立つ数字ではないが、数字以上のインパクトをプレーで見せる。今年の関学大の主将を務め、間違いなく甲子園ボウルへの想いを最も強く持っている選手の一人だろう。主将として自ら動き、日本一への想いをチーム全体に溶け込ませていった。特に京都大戦後から立命大戦までの2週間は「練習を止めてでも想いを伝えたかった」と、チームの士気に腐心したという。
 昨年のリーグ戦で痛めたひじの治療のため、この春は未出場ながら、秋季リーグ開幕にはスターターに名を連ねた。開幕から何試合かは序盤で交代する試合が続くも、存在感は圧倒的。今年のRB陣は、パワー派の望月と俊足の野々垣、鷺野らがいるなかでこの選手からは特別な雰囲気が出ている。
止まらない。相手のディフェンスにそう思わせるだけのパワーがある。鬼気迫る表情でゲインする姿は、関学大が4年間離れている甲子園への想いが迸るようだ。
全勝対決となり、甲子園ボウル出場への最大の山場となった立命大戦は「去年から24時間ずっと立命のことを考えていた」と話す程意識していた相手との戦い。自らTDを決めたり、大量のゲインをすることはなかったが、その存在感を活かしたランフェイクなど記録に残らないプレーで、チームの勝利に与えた影響は計り知れない。
甲子園ボウルでも存在感をいかんなく発揮し、相手にプレッシャーを与えたい。

K#3大西志宜

 無類の安定感を誇る関学大のキック職人。リーグ戦では14本のFGを決め、TD後のTFPキックはすべて成功。スコアリングは68点となり自己最高記録となった。リーグ第6節の京都大戦では関学大の得点をすべてFGでたたき出し、今年最長の47ヤードのFGトライも成功させている。
 1年生のころから試合に出場していた大西だが、下級生のころはキックの出番が来るまでサイドラインで集中を途切れさせてはいけないと思っていた。そのせいで必要以上にプレッシャーを感じたこともあったという。
「でもずっと(集中しておくこと)は無理。どうしても2時間あると途切れてしまう」と切り替えて、キックのコールがあれば「行こう」という気持ちになるように、サイドラインに下がっているときはリラックスを心掛けているという。
 また大西の母校である関学高は、大西の入学前にあたる04年にクリスマスボウルで優勝し、全国制覇を達成しているが、大西自身がプレーをしていた3年間では、全国に行けなかった。また大学でも、入学前の07年に関学大は甲子園ボウルを制覇したが、大西が入学してからここまでの3年は全国の舞台から遠ざかっている。それだけに大西にとっても特別な思い入れがある舞台だ。
「7年間で最後なんで」。そう言い切る背番号3の右足に関学の命運がかかっている。

LB#41川端拓朗

 3年ながらLBのリーダーとして、そしてDL、LBのまとめ役としてディフェンスをけん引する川端。香山に負けないハードタックルも持ち味のひとつだ。
 フットボールは関学中で友人に誘われて始めた。中学時代はWRとして現エースQB畑のパスをキャッチしていた。高校進学時にタックルをする方が楽しいから、とLBに転向。高校3年の秋は、関西決勝戦に進む前に立命館宇治に敗れ、大学でも引き続きプレーをすることを決めた。
 大学では2年の時にレギュラーの座をつかむ。「3、4年生が誰もいなかったから」と謙遜するが、フットボールに打ち込む姿勢は先輩達からも一目置かれる。身体の大きなOLのブロックを受けるポジションだけに、サイズの差は、判断力やスピードなどでカバーできるよう練習を重ねてきた。また試合の翌日は、堀口守備コーチと5時間近くビデオを見て反省や分析するなど、3年生ながらディフェンス全体をよく考えてプレーができていると高評価を受ける。
「今、3年生だが、4年生と変わらない気持ちで取り組んでいる。LBはディフェンスの要だが、ディフェンスだけではなく、チームにも影響を与えられるような守りを見せたい」と川端。知識だけではなく、気持ちでも熱い男だ。
 さて、日本大との戦いはパスディフェンスに負担がかかる分、立命大戦以上に厳しくなると分析。DLとLBでランプレーを止めなければ勝機が見いだせないとし、相手に「LBがすごい」と、思わせるプレーを見せたいと話す。
 そして、松岡主将が1年間言い続けた「気持ちや」を実践できるかどうか。3年生ながらディフェンスの要で、誰よりもフットボールを研究しつくした男の熱いプレーに注目したい。

DB#4香山裕俊

 DBというポジションでありながら、立命大戦では何度も第1線まであがって、ボールキャリヤにするどいタックルを浴びせた香山。自ら「タックルの練習が好き」と話すほど、タックルにこだわりをもった男だ。
香山は広島・崇徳高の出身。TEとLB、そしてKを務め、攻守に加えキッキングに至るまで、試合に出っぱなしの高校時代を過ごした。そして「フットボール界を代表するあこがれのチーム」だったことを理由に関学大へ進学。しかし、入部直後はあまりの部員の多さにびっくりし、やっていけるかどうかという不安を感じたそうだ。
 もともと能力の高かった選手だったこともあり、2年からレギュラーとして試合に出場。期待通りの活躍を見せたが、香山を苦しめたのがケガだった。2年、3年とビッグゲームの直前にケガをしてしまい、肝心な試合に出場することができない。特に昨年は同級生の重田にスタメンの座を奪われるなど苦しいシーズンを送った。
 そうして迎えた学生最後のシーズン。オフから真剣にトレーニングに取り組み、食事もしっかり摂り、ケガをすることもなくここまで過ごしてきた。最終学年ということもあり、意識が高くなり、成長著しい選手の一人と評価されるほどとなった。大好きなタックルも、低く早いのが特徴で、チームで1、2位を争うほどのハードタックラーとなった。
 日本大戦でも「1発のタックルで流れを変えたい」と話す香山。今季の日本大は、オフェンスの体型が複雑でDBのアジャスト指示に、的確さが求められる上に、ランとパスのバランスが取れ、パスカバーも大変だが、ここぞのビッグプレーでディフェンスを勇気づけてくれることを期待したい。

DL#98長島義明
 誰もが「まじめすぎる」と評する長島。4年間まじめに取り組んで積み重ねてきた実力を最高の舞台で見せるチャンスが巡ってきた。常に熱く檄を飛ばす松岡主将と対照的に、背中を見せてチームを引っ張る副将でもある。
フットボールを始めたのは佼成学園中時代。同高校ではOLとDLの両面でチームを支えたが、関東大会のベスト4に進出するのがやっとだった。大学進学に際しては、関学大の他に、立命大・日本大・法政大を進学先の候補に挙げたが、フットボールの本場である関西で、学生主体のチームであったことから関学大に進むことを決めた。
 関学大はここ数年、早川(08年卒)や平澤(10年卒)などDLにトップレベルの選手を輩出してきた。そんな先輩たちのもとで2年からスタメンに名を連ねた長島は、先輩たちを「1発のタックルで流れを変えられる、チームに安心感を与えてくれる存在」として意識してきた。先輩たちから学んだことに加え、ミーティングでは妥協を許さず、細かなところまで考え抜く姿勢を貫き甲子園ボウルを迎える。
 さて、甲子園ボウルで長島は、まずやるべきこととして日本大の大きなOLに対し、1対1の戦いで負けないことをあげる。今シーズンはヒットで当たり勝ったというプレーがあまり見られていないだけに、甲子園で見せつけることができるかがポイントだ。そして相手の攻撃が終わった場所に必ず自分がいることで、チームに安心感を与えたいと話す。
こちらは先輩たちから学んだことを後輩たちにプレーで伝える覚悟だ。
 サイズの大きいOL陣を擁する日本大に対し、第一線であるDLが押し込まれてしまうと、LBが動けずランプレーで進まれてしまう。長島を中心にDLが相手OLの手を煩わせることで、LBがフリーでプレーできる環境を与えていきたい。
記事;小塚雄(UNN関西学生報道連盟)
    江田政亮(スポーツライター)
編集;畠中隆好(OfficeNEAR/甲子園ボウルPJT)
写真;写真;P-TALK SHIMIZU PHOTO OFFICE
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