全日本大学アメリカンフットボール選手権決勝「三菱電機杯第73回毎日甲子園ボウル」が16日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で行われ、3年連続52回目出場の西日本代表校・関西学院大学ファイターズが、2年ぶり5回目出場の東日本代表校・早稲田大学ビッグベアーズと対戦した。
試合は関学大が常に先手をとり、37-20で早稲田を下して、2年ぶり29回目の学生日本一にのぼりつめた。
勝利した関学大は、来年1月3日に東京ドームで行われるライスボウルで社会人代表と学生代表として日本一を争う。
年間最優秀選手(チャック・ミルズ杯)と甲子園ボウル最優秀選手に関学大QB#3奥野耕世(2年)が、甲子園ボウル敢闘賞には早稲田大QB#1柴崎哲平(3年)がそれぞれ選ばれた。
昨年、日本大学フェニックス(東日本代表校)に17-23で惜敗した関学大。「今年のチームは昨年の甲子園ボウルで負けてはじまったチーム。西日本代表校としてチーム全員で勝つ」と、主将QB#10光藤航哉(4年)が試合前に力強く宣言したとおり、関学大は攻守にわたって早稲田大を圧倒した。
先攻をとった関学大は、自陣26ヤードから攻撃を開始。まずQB奥野がWR#81阿部拓朗(3年)への11ヤードパスを通してダウンを更新。続いてRB#26中村行佑(4年)がラインの開けたホールを左右に走って敵陣へ。そしてRB#6渡邊大(3年)が右オフタックルを抜けて48ヤードのロングゲイン。早稲田のエンドゾーン前1ヤードまで持ち込む。
RB中村の最初のダイブプレーは早稲田ラインに止められたものの、2度目の中央ダイブでTD。わずか6プレー2分10秒で先制点をあげる。
一方、過去4度の出場すべてを西の厚い壁に跳ね返され続けた早稲田は「『気魄(きはく)』と『WASEDAの歴史を変える』(主将DL#97斉川尚之(4年)と、いう今年の合言葉のとおり逆襲する。
自陣31ヤードからの攻撃。関学大守備ラインの激しいプレッシャーを受けながらも、WR#13遠藤健史(4年)への36ヤードパスで関学大陣内へ。
RB#30片岡遼也(4年)のランプレー、パスキャッチでゴール前10ヤードまで進み、RB#7元山伊織(4年)が左オフタックルを走りTD。同点に持ち込んだ。
関学大はDB#45畑中皓貴(3年)が自陣40ヤードで早稲田QB柴崎のパスをインターセプトして攻守交代。
このチャンスにランプレーを中心に敵陣3ヤードまで進め、K#8安藤亘祐(3年)が21ヤードFGを蹴りこんで10-7。さらに安藤は、2Qにも28ヤードのFGを決めて13-7とリードを広げる。
その後の早稲田攻撃を封じパントをブロックして敵陣1ヤードで攻撃権を確保。
ここでQB光藤を投入。QBキープで右に展開してTD。20-7とする。
前半終了間際には、RB#21三宅昂輝(2年)が中央突破から、右左にステップを切って41ヤードを走きってTD。27-7と大きくリードした。
後半に入り、得点差を詰めようと早稲田がフォースダウンパントからのスペシャルプレーなどで攻撃を進めるが、「シーズン通じ、みるみる強くなってきた」と、鳥内監督が目を細めるディフェンスラインが活躍。早稲田を得点圏内に入らせない。
第3Qにも、ランとパスプレーで一気に連続ダウン更新。ゴール前1ヤードに持ち込み、QB光藤からTE#91對馬隆太(4年)へのパスでTD。34-7とさらに突き放した。
追う早稲田は、QB柴崎から中央付近を走るWR遠藤へのパスが通り、タックラー3人を振り切って66ヤードを独走TD。14-34と、追いすがる。
しかし第4Q、関学大はK安藤がこの試合3本目となる25ヤードFGを蹴りこんで37-14とする。
第4Q、早稲田はエンドゾーンに切れ込んだWR遠藤に25ヤードパスが決まりTD。2ポイントコンバージョンを試みたがパス失敗。結局、20-37でタイムアップとなった。
鳥内監督は「学生たちがよくがんばってくれた。もっともつれる試合になると思っていたが、守備ラインががんばってくれて、点を取ってリズムができたのが大きい。秋の京大戦からチームのモードが変わった。春はここまで来れるとは思っていなかった。早稲田の守備にはオフェンスが止められ苦しめられた」と、何度もTDチャンス阻まれたことを反省していた。
早稲田の高岡勝監督は「得点差以上に実力差があった。関学大は速くて正確でよく訓練されたいいチーム。(甲子園ボウルで勝利するための)いろいろな課題がみえてきた」と、この貴重な敗戦を来年以降に生かす決意だ。
記事;福武金二(スポーツジャーナリスト)
写真;P-TALK
http://www.p-gallery.jp/stm_shimizu.html
編集;畠中隆好(officeNEAR/甲子園ボウルPJT)