3年連続48回目の甲子園ボウル出場を果たした関西学院大学ファイターズ。
昨年の絶対的エースQB畑が卒業し、その穴をいかに埋めるかが最大の課題だったが、シーズン前には鳥内監督が「斎藤が一歩抜け出た」と評価し、リーグ戦で試合を重ねるごとに成長を果たしてきた。
昨年から一番成長したのは、判断力が早くなったこと。齋藤自身が「メンタルの部分で弱い」と、自らを分析するほど大舞台で緊張することが多かったが、昨年の立命館戦や甲子園ボウルでの経験が活かされ、ゲームメイクできるQBに成長してきた。
肩の強さや、球筋など練習では畑よりも上回っていたことも多かっただけに、甲子園ボウルでも鳥内監督は「オフェンスでは斎藤がキーになる」と、大いに期待を寄せる。
また、そのQB斎藤を支えるOLも昨年からのメンバーが数多く残り、安定感を見せる。パスプロテクションやランブロックなどQB斎藤が安心してプレー
できる環境を整えている。
パワーランナーのRB望月の抜けた穴は、鷺野、飯田、野々垣、梶原、三好らが、それぞれの特性を生かしてカバーしてきた。ただ望月のように、どれだけディフェンスが強くても、必ず3~5ヤードを前進できるという圧倒的な力を持つ選手は見当たらないだけに、OLと一体になって前進あるのみだ。
レシーバー陣は、4年のWR梅本を中心に3年の木戸、大園ら、能力の高い選手が空中戦をコントロールする。また松島、樋之本ら大型
TEもブロック力、パスキャッチ能力に長けており、ここ一番のプレーで活躍する可能性も高い。
一方、ディフェンスは堀口コーチが担当に復帰し、チーム力で勝負に挑む。
個々のメンバーを見ると、昨年のDLの方が能力は高いが、DB池田をLBにコンバートするなど随所に工夫を凝らし、また副将DB鳥内もナイスタックルを見せ、モメンタムを引き寄せることに貢献する。
失点の許されなかった立命館戦でも、LB池田がプレッシャーをかけ続け、
QBサックをするなど、ランプレーを0ヤードに抑え込み強さを見せつけた。
今シーズンの関学は、悪い流れもディフェンスで断ち切って、オフェンスにつなげるという戦いを展開してきただけに、甲子園ボウルの舞台でも、ディフェンスの奮闘に期待が寄せられる。
今シーズン、最大の課題とされていたのがエースキッカーの存在だ。K三輪は、リーグ戦で6回挑戦して一度も決めることができなかった。
リーグ最終節の立命館戦でも、0-0のままの終了間際にゴール前まで攻め込みながらも“大事をとって”あえて蹴らせずにゲームをコントロールした。
だがようやく西日本代表校決定戦で、名城大を相手に4本のフィールドゴールを決め、鳥内監督も「あれで自信を取り戻したやろう」と、
安堵の表情を浮かべた。
甲子園ボウルでは、日本大の強力ディフェンスを相手に、TDが簡単に奪えない展開も予想されるだけに、攻撃で最低3点を奪えるK三輪の復活は大きい。
“オフェンス・ディフェンス・キッキング”がようやくそろった関学。試合は「第4Qが勝負」(鳥内監督)とみて、様々な展開を見せながら、
我慢のフットボールで日本大を翻弄し、3年連続26回目の勝利をもぎ取りたい。
記事;江田政亮(スポーツライター)
写真;P-TALK
編集;畠中隆好(officeNEAR/甲子園ボウルPJT)