出場チーム紹介/日本大学

DB#9森 亮輔(4年)
 今シーズンより1部リーグを再編し、上位8チームによるTOP8の優勝校が、全日本大学選手権に出場することになった関東学生リーグ。2年連続で関東を制覇し、甲子園ボウルまで進んだ日大にとっても決して楽な試合ばかりではなかった。特に第3節の早大戦は1TD差で終盤へもつれ込んだ。その状況の中で、エンドゾーンを狙った早大のパスをあわやインターセプトというプレーでパスカット、チームを救ったのが森である。
「ランが止まらず苦戦した」とこの試合を振り返った森だが、1インターセプト、2パスカットと、最後の砦としてエンドゾーンを守った。森の活躍で全勝をキープした日大は、続く慶大戦に快勝。続く立教大、明治大戦にも連勝。全勝同士の優勝決定戦となったリーグ最終戦、法政大戦を迎える。「(法大は)他とは違う雰囲気がある。昨年は勝利しているが、今年も挑戦者の気持ちで臨んだ」と森が語るこの試合も接戦となったが、法政大攻撃を2TDに抑えた守備陣の活躍が関東連覇の原動力となった。
 チームとしても、パス喪失ヤードは972ヤードとリーグ最少、9個のインターセプトを奪っている日大守備陣だが、「ウチのレシーバーは強いのでいい練習ができている」と、森は語る。2年連続の対戦となる関学の印象を聞くと「毎年強いが、今年はOLがいい。QBの斉藤は個人の力でパスを決めてくるし、レシーバーもいい」と警戒を怠らない。
日大の内田監督は「このままでは勝負にならない。この2週間でいかに上積みができるか」と、甲子園ボウル出場を決めた直後に危機感を露わにした。
関東屈指の陣容を誇る攻撃陣との日々の練習で鍛えあげられた自信を胸に、甲子園ボウルに向かう森のチームを救うプレーが出れば、日大の24年ぶりの王座が見えてくる。

DL#90宮田 直人(4年・主将)
「高橋宏明助監督、森琢ヘッドコーチがチームをいい方向にもっていってくれ、それを3、4年生が支えてチーム力が向上した。そのなかでも、春から今季を通じて宮田主将が一番伸びた選手」と、内田正人監督が高く評価する。
関東学生リーグでロスタックル回数が昨年は5回だったが、今季は倍の10回をあげ、リーグ1位。またファンブルフォースも昨年はゼロだったが、今季は2回記録している。この記録は、宮田がどれだけ日大守備陣の要として、リーグ戦でいかに活躍したかを現している。
特に2回のファンブルフォースは、全勝対決となったリーグ最終節・法政大との一戦で記録したもの。法政大から日大守備陣が奪った4回のロスタックル中2回を宮田が奪い、いずれもファンブルフォースに仕留めた。地味なプレーだが、関東2連覇の影の立役者といえる。
連覇は、大きな目標である「日本一」へのひとつ過程。昨年を超えるさらなる一歩を踏み出すため「今季はミーティング時間を増やした。部員数が多く、1年から4年までのコミュニケーションをとるため、部員一人一人に積極的に声をかけあってチームとしての意識を植え付けた」という。
甲子園ボウルで2年連続対戦する関学に対して、「挑戦権を獲得できてうれしい。自分たちが関学のプレーを徹底に止める。そしてミスにつけ込みたい。課題だった得点力が昨年より向上している。それだけに守備から攻撃につなげ、得点する流れを作り出していきたい」と話す宮田。「昨年はFG1本、最後にTDをとっただけ。今回はTDを取って勝つことを追求したい」と強く宣言する。
宿敵・関学には2007年、2011年、2013年と甲子園ボウルで対戦し、1度も勝てていない。守護神であり、チームをまとめる宮田の情熱が、24年ぶりの栄冠を引き寄せる。

LB#33趙 翔来(2年)
昨年は新人ながらリーグ戦で6回のQBサックを奪い、リーグ1位の成績を残したアスリート。「アグレッシブで能力の高い選手。加えてリーダーシップもある。うちにとって大事なメンバー」(森琢ヘッドコーチ)ということもあって、今季はアウトサイドからインサイドに転向した。
「昨年は自由に動かせてもらっていた。でも今季はフィールド全体をみながら動くポジションなので、やりずらさがかなりあった」と新しく任されたポジションに馴染むのに時間がかかった。そこで同ポジションでコンビを組む副将LB佐藤にプレーに関するあらゆる悩みを相談し、アドバイスをもらった。リーグ戦終盤になって「だいぶ慣れてきた」という。
全勝対決となった法政大、同点のピンチに昨年並みの彼らしいビッグプレーをみせた。法政大が日大陣6ヤードからの攻撃。リバースプレーからパスを投げようとした法政大WR恒吉に襲い掛かり、13ヤードのロスタックルに仕留めた。「あのタックル一発で吹っ切れたし、自信にもなった。昨年は結構の思いっきりのいい、気持ちいいタックルがあったから」と、趙自身が持つ本来の強烈なタックルがやっと蘇ってきた。
昨年の甲子園ボウルは初めての関西遠征だったこともあって、何もわからないうちに終わったという。「甲子園ボウルでの僕の仕事は、関学攻撃のキーであるRB陣を止めること。そのために自分たちがしっかり準備できるかが、ポイントだと思う」。若き不死鳥が甲子園球場を縦横無尽に暴れ回れば、24年ぶりの栄冠も見えてくる。

WR#22岩松 慶将(3年)
 エースレシーバー松尾が抜けて、戦力ダウンといわれた今年の日大レシーバー陣。その中で「僕と西村ら3年生主体で強いチームを作る」と決意した岩松。
 岩松は昨年、法政大と戦った関東大学選手権で、QB高橋からのパスをキャッチして66ヤード独走の逆転TDを奪うビッグプレーで、2年ぶりの関東制覇に貢献。同大会の最優秀選手に選ばれたほど能力の高い選手。
「今年は昨年以上にQB高橋とレシーバー陣との信頼関係ができ、ここに投げてくれるという段階まできている。練習では高橋のパスが乱れた時、プレー後じっくりと話し合って修正を重ね、完璧なプレーを目指してきた。また寮では作戦面などコミュニケーションを取り合って完成度を向上させてきた。貪欲にやってきた」と自信をみせる。
 その甲斐もあって岩松は、絶対エース松尾の残した成績にはTD数、獲得ヤードなどは及ばなかったものの、関東学生リーグTOP8レシーバー部門1位の成績をあげた。そして関東学生リーグ最優秀選手に選出された。
 法政大との関東学生リーグ最終戦、東北大との東日本代表校決定戦と、2試合連続TDキャッチはないが、日大のエースレシーバーナンバー「22」を松尾から受け継いだ岩松は、試合の要所でチームを救うプレーをみせている。
 昨年の甲子園ボウルでは、甲子園球場の雰囲気と関学の応援団に圧倒され、「コテンパンにやられた」と振り返る。「ずっと打倒KGを考えてきた。西村とともに経験もあるし、落ち着いてプレーできると思う。チーム力、組織力があって隙がない関学守備陣、でも決してうちの攻撃陣は劣っていない。僕たちレシーバーが関学大守備陣を切り崩して、絶対に勝つ」と力強く宣言した。

RB#34高口 和起(3年)

関西勢に比べてスピード派のRBが多い関東学生リーグ。その中でどちらかというと関西勢に近いパワー派のRBとしてフェニックスを甲子園に導いた高口。一瞬でエンドゾーンまで駆け抜ける派手さはないが、QBから託されたボールを死守し、OLのこじ開けたわずかな穴から突破。相手の激しいタックルを浴びながらも力強く前に運び、日大ランニングアタックの大黒柱としてプレーを続けている。
今季の日大は、看板のパスアタックが機能し、毎試合大量得点を重ねてきた。しかしリーグ戦で強豪校と対戦する際は、どのチームも相手も対策を練ってくる。そうした中で重要になってくるのがランニングアタックだ。
パスが手詰まりになった展開でも、ランで着実にゲインができればチーム全体としてボールを前に運ぶことができる。
法政大とのリーグ最終節でも、後半はパスが不発になり、攻撃が手詰まりになる時間帯があった。しかし高口らの粘り強いランプレーで着実に陣地を進めた。この試合ではボール所有時間でも法政大を上回り、接戦での勝利に大きく貢献をした。
 迎える甲子園ボウルでも、リーグ戦終盤のように、パスを封じられた際のランプレーが鍵となる。関学の強力ディフェンスを攻略するためには、ランプレーでのノーゲインやターンオーバーは許されない。高口の力強いランプレーで活路を見出し、そこからオフェンスの選択肢を広げて行きたい。
 高口は昨年の甲子園ボウルで、孤軍奮闘し敢闘賞を受賞した。高口がリーグ戦のようなプレーを続けることができれば、敢闘賞だけでは、チームを日本一の栄冠に導くことができるだろう。

QB#18高橋 遼平(2年)
ルーキーイヤーの昨年、伝統校・日大のQBとして鮮烈なデビューを果たした高橋。しかし聖地甲子園で浴びた洗礼は凄まじく、決してイメージ通りのプレーはできなかった。その悔しさをバネにして成長を続け、一回り大きくなって甲子園へと還ってきた。
 今季はリーグが再編成され、強豪校同士の対戦が増えた関東学生リーグ。昨年よりも激しい試合が増えたが、そのなかでも高橋は昨年の経験を活かし、2年生とは思えない安定したプレーで白星を重ねてきた。リーグ戦序盤こそ西澤と併用される機会が続いたが、リーグ山場の早大戦、法政大戦では、ほぼ一人でクオーターバッキングを行い、チームを勝利に導いてきた。
特に法政大戦では、最初の攻撃シリーズで思い切りのよいパスプレーからTDに繋げ、幸先良い先制点を挙げた。途中攻めあぐねる場面もあったが、冷静にプレーを続けて、難敵との厳しい戦いを制した。結果として、関東学生TOP8のチーム記録で、唯一パス獲得2000ヤード超えを果たした。
 甲子園ボウルでは、昨年同様に関学との対戦となった。関西学生リーグ4連覇の関学は、昨年同様に強固なディフェンスを擁している。前回のようにDL陣のパスラッシュの前に高橋が屈することがあれば、勝利を掴むことは困難になる。しかしリーグ戦でも見せたように、パスプロテクションが崩されても冷静なプレーを続けることができれば、大きく勝利に近づく。
2度目の甲子園、パスアタックにさらなる磨きをかけた高橋が、WR岩松、西村ら関東屈指のレシーバー陣に、鋭くパスを通して蒼い壁を次々と切り裂いていくとき、成長を遂げた小さな巨人がその腕で、フェニックスを勝利に導くことだろう。

記事;松川達也(関東学生アメリカンフットボール連盟)、小阪茂之、門棚丈二(スポーツライター)
写真;関東学生アメリカンフットボール連盟
日本大学アメリカンフットボール部櫻親会
HUDDLE magazine/Hirobumi Kamimura
http://www.fujisan.co.jp/product/1281696257/
編集;畠中隆好(officeNEAR/甲子園ボウルPJT)
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