やはり最後はブルーとマルーンの一騎打ち。西日本代表校決定戦。リーグ最終戦で敗れ、リベンジに燃える関西学院大学。対するは3年連続で甲子園ボウルへの道を関学大に閉ざされた立命館大学。晴れ渡った秋空のもと、彼らのプライドをかけた戦いは始まった。

まずは関学大の攻撃。だが開始早々からDL#94濱口がQBサックを決めるなど、ライン陣を中心とした立命館の守備の強さが目立ち、関学大の第1シリーズはあっさりと攻守交替。しかし立命館の攻撃もすぐさま抑えられた。

続いての関学大。タイトフォーメーションの攻撃隊形から、RB#21三宅がボールを持つと右へ右へと展開。そのまま独走状態で71ヤードを走りきりTD。関学大が試合開始4分もたたないうちに先制点を決めた。

その後、立命館はパスキャッチなどで自らののミスに苦しみ、なかなかゲインをすることができない。

一方の関学大は、QB#14中岡が司令塔の位置につき、エースRB三宅にボールを再び託す。RB三宅が立命館フロント陣の間をするりと抜けると、そのままスピードに乗りこの試合2本目のTD。立命館を突き放す。さらにロングゲインを狙った立命館QB#19荒木のパスをDB#42宮城がインターセプト。鳥内監督に「出来すぎやった」と言わしめるほど、トントン拍子の関学大に対し、立命館は無得点のまま第1Qを終えた。

第2Qに入ると、互いに均衡した状態が続く。得点につなげたい立命館はタックル回数チームトップのDL#56加藤を筆頭に守備が踏ん張りを見せる。前半残り2分を切る中、立命館は攻撃にも良い流れが響き、WR#14木村が走りダウンを更新。QBサックを受けファンブルする場面もあったが、なんとか立て直してK#9花岡が37ヤードのFGを決め、追いあげにかかる。

だが、一度負けた執念を抱く関学大はそんなに甘くない。後半最初のキックオフ。K#8安藤が誰もが予想だにしないオンサイドキックを蹴り、カバーチ-ムの#10北川がリカバー。あっという間に関学大の攻撃が始まった。

度肝を抜かれた立命館に対し、関学大の勢いは止まることなく、ランとパスを織り交ぜながらゴール前2ヤード。ダイブフェイクからがらりと空いた右側にQB#3奥野が放ったパスをTE#98亀井がキャッチしてTD。関学大が追加点を得て、21-3となった。

このまま負けるわけに行かない立命館。4thダウン3でギャンブルを仕掛ける。しかし1ヤードしか進まず失敗。なかなか優位なプレー展開にすることができない。

だが再びチャンスが訪れる。ボール1つ分もない3rdダウンショートから、RB#42立川が中央へ飛び込む強靭なプレーを見せ、ダウン更新。続いてWR#11森岡が片手でボールをキャッチし、最終Qへとつなげた。
立命館の勢いは続き、着々と陣地を進めレッドゾーンに入ると、立命館サイドの観客席からのタッチダウンコールが沸き起こる。期待に応えるかのように、WR木村が関学大DB陣の隙をついたパスをキャッチしてTD。10-21と追いすがる。

残り時間がなくなっていく中、両者白熱したプレーを見せる。

関学大はDB#20松本が、QB荒木のパスを宙に浮かびながらインターセプト。

その後、関学大の攻撃陣は4thダウンでギャンブルプレーを行うも、立命館DL陣が身体を張った粘り強さで中央ランを阻止。わずかにダウン更新には足りず、立命館はオフェンスに頼みの綱を託した。

しかしここで大黒柱のQB荒木が負傷退場。交代出場したQB#16野沢のパスが決まり始めるも、関学大LB#44海崎が勝負を決めるインターセプト。関学大は時間を消費しながらプレーを進め、再び立命館に攻撃権が移るものの得点には至らず。このまま21-10で試合終了。結果、関学大が4年連続53回目の甲子園ボウル出場を果たした。

試合後、4年連続関学大に敗北を喫した立命館の主将DL#99鈴木は観客に「1年間。最高の応援、ありがとうございました」と大声で感謝を伝えた。真剣な表情に涙を浮かべ、ひしひしと悔しさを噛みしめる立命館の選手たち。彼らに向け、古橋監督は「前を向け」と何度も何度も繰り返した。その言葉は勝ち負け以上に戦ったことの意義を伝えていた。
一方、西日本王者の座を守った関学大の鳥内監督は「4年生の意地がだいぶ見れた。前回は不甲斐なかったラインもよく頑張ってくれた」と選手たちを讃えた。そして「立命館のような強いチームがいるからこそ、我々も頑張れて人間的成長につながっている」と同じく日本一を目指してきた立命館を賞賛した。

学生日本一まであと一歩。次に戦うは昨年同様、関東王者の早稲田大学だ。寺岡芳樹主将は「立命館の分まで勝って、日本一になる」と決意を表した。甲子園の地で日本一になるのは負けの悔しさを知り、勝利の喜びを知る関学大なのか。最終決戦に期待したい。

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記事;南優希(スポーツライター)
写真;Pump Up 学生アメフト MIKANO , Kengo Matsushima
編集;畠中隆好(甲子園ボウルPJT)