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法政大を下し、勝利の瞬間喜びを爆発させる日大TE吉田武蔵(写真/土田麻子)

 不死鳥復活のカギは伝統と革新の融合

 「甲子園は絶対に勝たなければならない場所。いまの選手はそれをしっかり理解してくれている」。
 クラッシュボウルを終えた内田監督から発せられた言葉は、奇しくも故・篠竹監督が常日頃から口にしていた言葉だった。甲子園ボウル優勝20回、ライスボウル優勝4回と日本フットボール界に金字塔を打ち立てた日本大学フェニックス。しかし90年代から低迷し、一時は入替戦に出場するなど、あるまじき非常事態が続いていた。
 そんな逆境の最中、2003年にこの常勝軍団復活の重責を担うため、監督に就任したのが内田正人氏だ。内田監督は就任後さまざまな改革に着手した。その一つが選手のリクルートだ。監督自らしっかり選手をチェックし、選手と直接対話して有力選手の獲得に尽力した。
 今季4年生としてチームを引っ張るメンバーは「今のチームは1からスタートしたチーム。1年生のころから厳しく育ててきた」と、語る内田監督が文字通り手塩にかけて育ててきた選手たちだ。

 こうした内田監督の取り組みは素晴らしい。しかし今の日大はチームのマネジメントを監督一人に任せるチームではない。高橋ヘッドコーチや須永オフェンスコーディネイターなど、かつての黄金期に甲子園で活躍した名選手たちがコーチとして母校に戻り、選手育成に力を注いできた。
 「東大戦を終えたあたりからはチームの強さを感じた。もう自分が現場の心配をしなくても大丈夫だと思った」(内田監督)。
 これは日大に新しいコーチングシステムが形成されたことを意味している。
 このような取り組みによって急速に力を伸ばしてきた日大だが、なかなかリーグ戦の壁を突破することができず、同時に生みの苦しみも味わっていた。そんなチームに最後の1ピースを埋めたのが、今季の主将・鈴木だ。

クラッシュボウルMVPのトロフィーを受け取る鈴木主将
(写真/土田麻子)

 「フットボールは、人間の人格が出る競技だと考えている。だから自分の私生活からしっかり意識することがフットボールにも繋がる。自分は直接篠竹さんと会話をしたことはないが、(篠竹さんは)そういったことを選手に伝えたかったのではないか」と、鈴木主将は語る。
 「法政は自分たちのプレーに自信を持っていた。法政にはいままで日大に勝ってきたという経験があるから。でも自分たちにはそれがない。だから日ごろの挨拶など小さいことを意識して取り組むことで自信をつけ、それが勝利に繋がると意識させたかった」(鈴木)。
 かつて故・篠竹監督が掲げた「犠牲・協同・闘争」というスローガンに繋がる取り組みを、コーチからでなく選手の側から始めたことで、鈴木は日大から薄れつつあった「王者の風格」を蘇らせた。内田監督が作り上げた新しい土台に、伝統の魂が吹き込まれたのだ。
 心技体ともに充実した日大は、ついにクラッシュボウルで法政大を下した。だがまだ完全復活を宣言することはできない。かつてのホームグラウンドである甲子園ボウルで勝利してはじめて宣言できるのだ。
 甲子園ボウルの対戦は、待ち望んだ相手が待っている。宿敵・関西学院大学ファイターズだ。常勝軍団復活のための決戦、赤い不死鳥が冬の長居スタジアムにいま舞い降りる。

記事:早坂茂

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