2012.12.20
【法政大かく戦えり】
号泣する選手達の中で主将DL#44蔀は涙を見せなかった。
残り2秒。じわりじわりと攻める関学大がキックを決めた。
ゴールポストを前に、あずまボウルに続く奇跡を願ったトマホークスと法政大サポーター。しかし二度目の奇跡は起こらなかった。
法政大レシーブから始まった試合。トマホークスは開始直後、RB池田が16ヤードのランを見せるがファンブル。主導権はいきなり関学大のものとなるかに思われた。
だが、ここでDL#79天野がQBサックを決め、法政大に流れを取り戻す。その後はQB#17QB近藤のパスやRB#24笹尾のランで敵陣21ヤードまで攻め込み、リーグ戦での平均失点が2.7点の関学大ディフェンスから先制のチャンスを得る。
しかし、K#98谷澤のFGは強い風に阻まれ得点することができなかった。
2Qが始まると、QB#16寺村が34ヤードのランプレーを成功させ、またしても敵陣深くまで攻め込む。しかし、ここでもK谷澤がFGを外し無得点。この日2度目となるキックの不成功に暗雲がたちこめた。
法政大がモメンタムを掴みきれずに苦しむ中、先制したのは関学大。FGをきっちりと決められ、3点を奪われる。その後のシリーズではダウンの更新ができず前半戦を終了した。
後半戦が始まっても、関学大の勢いを止めらない。キックオフリターンTDを決められ、わずか16秒で追加点を奪われる。
だがこれで奮起した法政大は反撃に出る。QB近藤のパス、QB寺村のランといった今年のチーム特徴でもある二人のQBの使い分けで相手を翻弄。最後はQB近藤からWR#11松永へのTDパスが決まり、点差を3点へと縮める。
大きく試合が動いた4Q。パスでリズムを作っていくと、QB近藤からRB#22池田へのパスが決まり、14-10とついに関学大を勝ち越すことに成功する。
その後、今度はQB寺村が53ヤードのランでチャンスを作る。ここでK谷澤が33ヤードのFGを成功させ、序盤の借りを返した。
しかし、法政大が7点リードを奪ったのはたった数分のことだった。
関学大がここでエースQB畑を投入すると、試合は一気に関学大のものに。
48ヤードにおよぶTDパスが決まり、同点とされてしまう。
ここからは時間との闘い。残り5分。スパイクなどで時間を支配し、じわりじわりと敵陣に攻め入った関学大。これまで吹いていた風は、無情にもここでピタリとやんだ。
ラスト2秒、2万9千人の観衆の眼差しが降り注ぐ中、放たれたキックは、放物線を描き、きれいにゴールポストの上へと運ばれた。
試合終了後、号泣する選手たちの中でひとり、主将の蔀は涙を見せなかった。
「よっ」と言って、スポーツ法政の取材班の肩をたたいた主将。努力に裏打ちされた強さが、彼の目には確かに宿っていた。
日本一をめざし、勝ち進んできた法大。学生王者の夢はあと2秒のところで儚くも散った。
記事;中西菜摘(スポーツ法政新聞会)
編集;畠中隆好/OfficeNEAR(甲子園ボウルPJT)
写真;小田切直也・大石翔太(スポーツ法政新聞会)
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