出場チーム紹介

出場チーム紹介/日本大学

DB#4下水流 裕太(2年)
アメリカンフットボールにおいて『鉄壁の守備』という形容詞が聞かれると、真っ先にDLが連想される。しかしながら真に鉄壁な守備を構築するには、守備の最後尾で『守護神』として活躍するDBの存在が不可欠である。
今季の日大フェニックスで、守護神として成長著しいのが、DB#4下水流裕太だ。大産大附高ではチームのクリスマスボウル出場に貢献し、昨年はU-19世界選手権にも出場。ベスト11にも選出される程の存在感を示した。

166cmと小柄な体格だが、プレーリード、スピードにも優れ、今季のリーグ戦でも相手のビッグプレーを阻止し続けた。決して派手なプレーが多い選手ではないが、相手WRを的確にカバーし、ビッグゲインを許さない。
そうした持ち味が発揮されたのが、法政大と対戦した関東大学選手権・あずまボウルだ。法政大が反撃を仕掛けた2Qに、相手に傾きかけた流れを断ち切るパスインターセプトを決め、接戦の勝利に大きく貢献をした。

甲子園で雌雄を決する関学ファイターズは、伝統のパス攻撃が看板のチーム。今季も関西学生リーティングパサーのQB#11斎藤から的確に放たれるパス攻撃で、パス獲得ヤードがリーグ1位となった強敵である。
関学攻撃を封じ込めるにはライン戦でプレッシャーをかけることもさることながら、WRの動きを、徹底してマークしつづけなければならない。そのためにはリーグ戦やあずまボウルで見せた下水流の活躍が不可欠となる。
ボウルゲームではビッグプレーが生まれることで、試合の流れが大きく変わる。『守護神』として下水流がビッグプレーを演じれば、日大フェニックスの日本一が大きく近づくことだろう。

DL#92松尾 佳郎(4年・副将)
今季のリーグ戦で大勝を続けてきた日大フェニックスだが、その試合ぶりは決して危なげないというものではなかった。
象徴的だったのは開幕戦のファーストプレー。春のプレシーズンマッチでもほとんど出場のなかったルーキーQB高橋(遼)が投じたパスは、横国大守備の手の中へ。いきなりのターンオーバーで不安を抱かせる立ち上がりとなった。だが2プレー後にLB#47佐藤のインターセプトで攻撃権を奪い返し、そのまま完封勝利へと繋いだ。
この守備陣の活躍がなければ日大の東日本王者の座は危うかったかもしれない。その日大守備陣を副将として束ねるのがDL#92松尾佳郎である。

ノーズガードとして守備の最前線で相手オフェンスラインをコントロールし、#13岩本や#41趙といった若手LB陣が自由に動ける状態を作ってきた松尾(佳)。開幕戦のLB佐藤のインターセプトも、松尾(佳)の働きがあってこそ。関東大学選手権・あずまボウルでは、LB岩本が相手QBに襲い掛かりファンブルさせたボールを的確にリカバー。試合残り時間5分でのこのプレーが、法政大の息の根を止め、日大を2年ぶりとなる関東制覇に導いた。

東日本代表校決定戦となる東北大との戦いで、チームは今シーズン4回目の完封勝利を収めたが、そのプレーぶりに「ハードタックルを目標にしていたが、達成できていない。満足度は低い」と、反省しきりの松尾(佳)。来るべき関学戦に向けてのプランを問われると「関学オフェンスは本当にいいチーム。前回の甲子園では24点取られてショックだったが、今回は思い切り自分たちのフットボールをしたい」と語る。
甲子園ボウルを知らない若手プレーヤーたちが躍動し、日大が甲子園ボウルを制覇するためには、副将・松尾(佳)の働きが不可欠である。

#41趙 翔来(1年)
『攻撃的な守備』。一見矛盾するこのフレーズが今季の日大守備にはしっくりくる。リーグ戦7試合で奪ったターンオーバーは19。関東大学選手権・あずまボウルで2つ、東日本代表校決定戦では4つと、ターンオーバーを量産してきた攻撃的な日大守備を象徴するのがLB#41趙翔来である。
積極的にスクリメージラインを越えてボールキャリアに襲いかかるプレーで、リーグ戦7試合で記録したQBサック6回、ロスタックル14回はともにリーグ最多。QB#19高橋と並ぶ1年生らしからぬ活躍で、日大の東日本制覇の原動力となった。

そんな趙の活躍が特に光ったのが第4節の専修大戦だった。この試合の趙はQBサック1回、インターセプト1回。どちらのプレーも、味方の反則により専修大にダウン更新を許した直後のプレーであり、ビッグプレーで流れを日大に引き戻した。大勝ペースの試合でも気を緩めず、流れを相手に渡さないプレーぶりは、王者の風格を感じさせた。

関東大学選手権・あずまボウルでは、法政大のプレースタイルを封印。フィールドを左右に使ってくる法政大攻撃に対し、スクリメージラインを越えずに外側のプレーをケア。法政大の菅原監督代行に「あれでウチの持ち味が出せなかった」と嘆かせた動きで、リーグ戦1試合平均472ヤードを獲得してきた法政大攻撃にロングゲインを許さず、13−6での勝利に貢献した。

相手のプレーに対応する能力も見せたLB趙が、甲子園ボウルで関学の攻撃に対しどのようなプレーを見せるか。日大守備陣の対応が試合のキーとなるだけに、LB趙のプレーにかかる期待は大きい。

OL#77岩井悠樹(4年・主将)
チームの大黒柱である岩井悠樹は、強烈なキャプテンシーを持ったリーダーシップ溢れる選手だ。
法政大との関東大学選手権・あずまボウルを制した後のインタビューで、内田正人監督は「いい主将がいて、いい選手がいて、いいコーチがいたことが勝因」と、真っ先に岩井を称えた。
あずまボウル前の記者会見で岩井は「(法政大より)1点でも多く点を取りに行く」と今年のチームカラーである粘りを強調。さらに「(100人を超えるほど)部員が多いので、発言しない選手がいないように、一人ひとりに声掛けをしてきた」と、精神的な支柱としてチームをまとめてきた。
「監督、コーチに教えてもらったことを、やってきたことを出すだけ」。
その結果、コーチらチームスタッフと選手が一体となって、名門・日大フェニックスを2年ぶりの関東制覇に押し上げた。

プレーヤーとしては学生界屈指の攻撃ラインマン。186cm、112kgの恵まれた体躯を生かし、左タックルを務め、新スターターの1年生QB高橋(遼)の、ブラインドサイドを守り抜く。
岩井は「目標はライスボウル制覇。それを目指して絶対に負けない」と宣言する。その目標に向かい学生日本一を賭けて、甲子園ボウルで昨年の学生王者・関学と戦う。

1990年に学生日本一を獲得してから23年間遠ざかっている学生頂点の座。復活した不死鳥の王座奪還に向けて、主将・岩井がチームを牽引する。

QB#19高橋遼平(1年)

1年生ながら名門・日大フェニックスのスターターQBを担う高橋遼平。岩井主将をはじめとする大型ラインが揃う攻撃ハドルのなかで、身長168cmという小兵ながらショットガンから思いっきりのいいパッシングオフェンスを展開。主将OL岩井も「タイミングのいい、思い切ったパスを投げる」と高く評価する。
ヘルメットを脱ぐと1年生らしい初々しさも見せる高橋(遼)だが、大阪ベンガルズでフットボールを始めて以来、QB経験は13年目のベテランでもある。

秋季リーグ戦の7試合全てに先発出場。パス成績は、142回試投97回成功(成功率68.3%)、1,556ヤード19TDを獲得、QBレイティング201.7でリーグ唯一の200越えを達成し、史上最年少の関東学生リーグのMVPに輝いた。
またパスだけでなく、ランプレーの切れ味も鋭く、1回平均獲得4.9ヤードの脚力で、数々のチームの窮地を救ってきた。
「このシーズンで周りを見られるようになったと思う」と高橋(遼)。自分のクォーターバッキングを「QBとしては肩が強いわけでもないので、当たり前のことをやるしかないと思う」と語る。リーグ戦では「上級生のおかげでのびのびプレー出来た」と、1年生らしからぬプレーで攻撃を指揮してきた。

宿敵・法政大との関東大学選手権・あずまボウルでは、パスをDLに叩き落とされる場面もあったが、それでも果敢にパスを投じ、WR#26岩松へ決勝点となる66ヤードTDパスをピンポイントで決める勝負強さをみせ、2年ぶりの関東制覇に貢献した。

「甲子園ボウルは小さいころからのあこがれの場所」という高橋(遼)。聖地・甲子園で学生王座奪還のために、高橋(遼)が躍動するとき、日大は1990年以来遠ざかっている甲子園ボウルでの勝利を手中におさめることになるはずだ。

WR#22松尾 海太(4年)
日大フェニックスと甲子園ボウルの歴史を紐解くと、エースQBの#10と同様、ファンの記憶に残る番号がある。それは#22だ。歴代のエースレシーバーが背負ってきた番号を今季身に付けるのはWR松尾海太。日大三高を卒業後、日大へ入学。驚異的なスピードを武器に、下級生の頃から活躍してきた松尾(海)だが、今季の活躍はまさに圧巻である。
リーグ戦で1790ヤードを稼いだ日大のパス攻撃。そのうちの40%近くの729ヤードを獲得したのが松尾(海)だ。さらにTD獲得数も11を記録し、多くの試合でチームの勝利に貢献。持ち前のスピードを成長させ、まさに攻撃の大黒柱としてチームを支えてきた。
今季QBを務めたのが、経験の浅い1年生QB高橋(遼)だったため、攻撃面を若干不安視された今季の日大だったが、結果的には最上級生の松尾(海)らがチームを牽引し、関東最強のパス攻撃ユニットを作り上げていった。

大接戦となった法政大との関東大学選手権・あずまボウルでは、法政大の徹底したカバーにより、なかなか持ち味を活かすことが出来なかった。それでも要所で、相手守備陣のマークを上手く引きつけ、他の選手を活かすプレーで貢献。チームの2年ぶり関東制覇に繋げた。

日本一まであとひとつとなった日大だが、その前に大きく立ちはだかるのが関学ファイターズ。関学もパス守備が関西学生リーグ1位チームであり、まさに最強の矛と最強の盾のぶつかり合いとなった。

松尾(海)に過去のレジェンドプレーヤーに続くようなビッグプレーが生まれれば、日大悲願の日本一奪回を、文字どおり『掴み取る』ことが出来るに違いない。


記事;松川達也(関東学生アメリカンフットボール連盟)、小坂茂之、門棚丈二(スポーツライター)
写真;関東大学アメリカンフットボール連盟
編集;畠中隆好(officeNEAR/甲子園ボウルPJT)
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