<関西学院大学ファイターズ>
宿敵立命を倒し、5年ぶりに甲子園ボウルの出場権を手にした関学。立命有利の下馬評を覆し、関西学生リーグを2年ぶりに制覇。聖地に戻ってきた。最後に出場した2001年と同様、関東代表の法政と対戦する。
今春、関学は法政とすでにヨコハマボウルで対戦しているが、3−45と大敗を喫している。
関学の小野オフェンスコーディネーターは「準備不足だったとはいえ、あそこまでボロ負けするとは思ってなかった」と振り返っているように、圧倒的なワンサイドゲームだった。まさに「ユニット、個人技ともに法政が上」(鳥内監督)。そんな法政と関学はどう戦うのだろうか。
まず、伝統的に「パスの関学」と呼ばれてきたが、そのパスプレーの主役であるQBとWRに注目。この二つポジションの主力は、関学高等部時代に高校日本一を経験してきた2、3年生が多くを占める。彼らは入部当初から随時試合に出場し、活躍してきた。
その一人であるWR榊原は「ビデオを見て相手の動きやスピードは把握した。ユニットとしてQB、WRのプレーへの理解度が高まってきている」と自信を覗かせる。
また、今季の関学の特徴として、伝統的なパスにとどまらず、ランプレーの比率が例年に比べ高いことが挙げられる。リーグ戦を通してのパス総獲得ヤード数が1289ヤードなのに対し、ランが1299ヤード。ほぼ、半々になっている。その中心を担ったのが古谷、稲毛のRBコンビ。甲子園ボウル当日は降雨が予報されており、ボールが滑りやすくなる。雨の中行われた立命戦がそうだったようにランプレーの重要さが増してくる。そうなると彼らの出番だ。
パス、ランプレーを陰で支えるのがOL。あまり目立たないポジションだが、オフェンスを成立させる上でなくてはならない存在だ。その一人、生田は法政ディフェンスの組織力の高さを警戒するが、「(スカウティングを通して)イメージは出来てきた」という。
一方、ディフェンスは法政が繰り出すショットガン攻撃にどう対処するのか。選手、首脳陣が話す「相手のリズムでプレーをさせない」というところが最も重要になってくるだろう。
もともとはDLだがLBとして出場することが濃厚な國方は「法政QB菅原に余裕をもってパスを投げさせない」とラッシュをかけて行くことを示唆。スピードと攻撃バリエーションの多い法政オフェンスを崩すには、スピードとパワーを併せ持つ彼の活躍がディフェンスの鍵を握る。
選手の多くが、接戦を経験した有無を重要視していた。今シーズン、関学は関大、立命との接戦を制して関西王者となった。「この経験をいかしたい」と選手は口を揃える。
今回は劣勢が予想される。しかし歴史上幾度となく、相手が強ければ強いほどそれを覆してきた足跡が関学にはある。
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