聖地奪還へ。蒼の戦士が甲子園に帰ってきた
第61回毎日甲子園ボウルの関西代表は5年ぶりに関学となった。関学の甲子園ボウル出場は44回目。これまで18勝21敗4分という成績を収めている。
61回行われる大会で、44回も出場するということは、関学フットボールの歴史が、甲子園ボウルの歴史そのものを刻んできたと言っても過言ではない。
特に、初出場となった1949年の第4回大会から、1981年の第36回大会までの33年間は、関学が関西代表として連続出場。毎年、関学が甲子園ボウルに出場することが当然のことだと思われていた時代が確かにあった。
その後は京大の台頭で連続出場記録は途絶え、90年代からは立命が台頭。甲子園への切符ともいえる関西学生リーグ制覇にも苦しむことになる。
ただ、昨年まで4年間連続して甲子園へ出場できなかったことは、関学史上初めての出来事で、当然のことながら現役部員に甲子園を知る者はおらず、自他共に、このことが「屈辱」だと騒がれた。かつての栄光とは真逆の日々を過ごすことになる。
関学に、その初体験の「屈辱」を味わわせたのが立命だ。
2002年に14−48の大敗を喫してから、毎年のように「打倒立命」を掲げてきたが、豊富な人材と、オクラホマ大から入ってくる最新の戦略を駆使するこの大学に、常に僅差ではあったが苦汁を飲まされてきた。
2年前、関学はリーグ戦では立命に勝利したが、続く京大戦でまさかの敗北を喫し、6勝1敗で立命と並んだ。
甲子園出場を懸けた雨中のプレーオフは延長戦の末、21−24で敗れた。
昨年も試合終了間際にも猛追。エンドゾーンまで残り1ヤード付近まで攻め込んだが、そこでタイムアップ。最後の1ヤードが届かなかった。
当時の主将松本はこの試合後「関学史上初めて甲子園を知らない世代ということを背負って生きていきます」と涙を呑んだ。
今季、チーム目標を「聖地奪還」と定め、秋季リーグが始まると順調に勝ち星を重ねていく。しかし、立命も同じように勝ち進んでいた。
両校全勝での対決となった11月26日のリーグ最終戦。春の成績、リーグを通じての戦いぶりから下馬評は立命にあった試合を、関学らしい底力で立命を突き放し、悲願であった甲子園への切符を手に入れた。
今季は試合ごとに東京からコーチとしてベンチに駆けつけ、後輩を見守った前主将の松本は「僕らがした思いをあいつらがせんかっただけ良かったんちゃいます」とクールに話したが、目は赤く安堵の表情を浮かべていた。
鳥内監督も「4年間、出られなかった奴らのぶんまでやらなアカンかった」と背負ってきた思いを吐露した。
様々なものを背負い、関学がついに甲子園に帰ってくる。
「出られるだけで喜んでいてはアカン」(鳥内監督)。主将の柏木も「春のリベンジもあるし、チームの気持ちを一つにもっていきたい」と意気込む。
対戦する法政とは甲子園ボウルの通算成績、2勝2敗1分と全くの五分。「勝つならギリギリ。負けるなら大差」と鳥内監督は予想している。
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